【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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個人事業者の休業(必ず活動を再開してやる!)

2021-02-06 22:30:00 | 所得税の確定申告
個人事業者が「休業」する場合の税務手続

8年前にこのような記事を「何の気なしに」書きましたが、昨年4月以降アクセス数が急増しています。当然です。

今!新たな視点で、「休業」にとどまらず、「転業」「廃業」「活動再開」までについて書かせていただきます。

コロナ禍は必ず収束します!人々が肩を寄せ合う、向かい合う生活が必ず戻ります。

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◆休業する理由

休業をする理由には、次のとおり自発的なものと非自発的(強制的)なものがあります。

〇自発的なもの
店舗改装、長期休暇(充電期間)など
〇非自発的(強制的)なもの
災害、事業主の病気やケガ、公的な休業要請など

◆休業は活動再開を前提とする(税務署への届けは不要)

休業は廃業とは違います。休業は様々な事情で営業ができない状態で、事業主には廃業する意思はなく、活動の再開に備えて「設備」「人員」「取引先」は維持しています。休業は、新規開業前の準備期間と同じ状況なのです。

休業についての「届け」を税務署に提出する必要はありません。ただし、休業すると前年よりも収入(売上)が大幅に減りますので、青色申告決算書あるいは収支内訳書の「本年中における特殊事情」に休業した旨を具体的に記載しておく必要があります。

◆休業中でも生じる必要経費

休業中でも必要経費は認められます。休業は活動再開を前提としていることから、設備や人員は維持しておく必要がありますので当然これらについてのコストは生じます。このコストは将来の収益に対応するものなのです。また、「休業中だからこそ」生じる必要経費もあります。たとえば、設備を停止させるには設備を稼働させる場合とは違うコストが生じることがあります。

◆休業が長期化しそう(とりあえずは廃業の届けをする)

休業が長期化しそうな場合には、たとえどんなに活動を再開するという意志が強くても、確定申告においてはどこかで「廃業」と判断しなければなりません。1年の途中から終わりまで(例えば10月から12月)売上がないのであれば休業として確定申告をすればいいですが、確定申告の対象となる丸1年間(1月から12月)にまったく売上がない場合には廃業ということになります。廃業ですので必要経費の計上は認められません。(判断が難しいケースもあります。)

廃業の場合は税務署に下記の届けをしなければなりません。

個人事業の開業・廃業等届出書

◆許認可や資格との関係

営んでいる業種に許認可や資格が必要な場合には、休業する際に許認可や資格を管轄する役所や団体などへ所定の届けをしなければならないこともあります。

◆転業

転業後の事業内容が従来行っていた事業と全く異なる場合であっても、事業主は同一人ですので税務署への届けは一切不要です。ただし、転業後は申告内容(特に事業所得の計算内容)が従来と大きく異なるでしょうから、転業した旨を青色申告決算書あるいは収支内訳書の「本年中における特殊事情」に記載しておく必要があります。

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