【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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租税公課(個人事業者の勘定科目)

2022-02-05 13:01:00 | 所得税の確定申告
この勘定科目に該当する必要経費は非常に限定されていますので、該当する必要経費が何であるかを正確に理解したうえで処理してください。事業所得者の個別事情に照らしてこの勘定科目の金額が異常な場合、税務調査の際に調査項目とされます。

一般的に租税公課は「租税」と「公課」に分かれると解釈されています。

まずは「公課」から説明します。「公課」はいわゆる行政手数料であるとされています。許認可が必要な業種であれば登録や更新の際に必要となる手数料のことです。公課に各種団体の会費その他を含めるという考えもありますが、これらは含めないほうが無難です。税務署は各事業者に固有の公課について詳しく知ることはできませんので、高額な公課を租税公課に含めてしまうと税務署には異常に思われてしまいます。

「租税」とは税のことで、税であることからそれは法律で定められた税目に限定されます。公課と違って限定されていますので処理は簡単なように思えるかもしれません。しかし、税に関して難しいのは、事業者が納めた税の中には必要経費にならないものがあるということです。「税であればなんでも必要経費」という考えは危険だということです。

以下においては、「税に限定」して説明をいたします。

◆事業者が納める自身の所得税と住民税

ネットで検索して愕然とされた方も多いと思いますが、これらは必要経費にはなりません。税ですが必要経費にはならないのです。

◆事業者が納める源泉所得税と住民税の特別徴収

これも必要経費にはなりません。従業員から「預かった税」だからです。これらを納めても事業主には一切負担が生じていないのです。

◆事業者が「支払う」消費税

これも大変難しいです。あらゆる必要経費の領収書には「消費税額」が記載されていますが、この処理を巡って大いに悩む人が後を絶ちません。

事業者が仕入代金や諸経費の支払いに際して支払う消費税は租税公課にはなりません。いわゆる税込処理をしている場合には「各必要経費」に含めます。税抜処理の場合は「仮払消費税」で処理します。なお、免税事業者は税込処理しかできません。

◆課税事業者が「納める」消費税

課税事業者が税務署に納める消費税は税込処理と税抜処理で扱いが異なります。税込処理の場合は租税公課になります。税抜処理の場合は、仮受消費税(売上に関する消費税)と仮払消費税(仕入代金や諸経費の消費税)を相殺した差額を未払消費税に振替えますので租税公課という勘定科目は用いません。

これも難しいですが、自身が課税事業者で税込処理をしている場合にのみ租税公課になると覚えておいてください。

◆印紙税・固定資産税・自動車税など

説明は省略させていただきます。ただし、自宅兼事業所の固定資産税、事業と私生活で兼用している車両の自動車税に関しては一定割合しか必要経費にならないことにご留意ください。

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★租税公課はゼロ!

以上からすれば、このような個人事業者も相当数いると思います。

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