「ひいちゃん」がガラクタ(アタシから見ればだが…)のいっぱい入ったおもちゃ箱に顔を突っ込んで何か探している。
『何、探してるの?』
『マイクが無い~』
そうか、またコンサートが始まるのか。
最近「ひいちゃん」は、お菓子が入っていたマイクを持ち、本屋さんで買った音楽の流れる本(本屋さんで売っているから本と呼ぶが、物は音楽の勉強をするような知育玩具と呼ぶのがふさわしいくらいだ)で童謡を流して、コンサートのように唄うのが好きなのだ。
以前は本を読むように座って唄っていたのに、何でそうなったのだろう。
テレビで見た音楽番組の真似なのか、それとも「ふうちゃん」「みいちゃん」にばかり向けられている目を自分に向けたいからなのか、その辺はよく判らない。
もし自分に目を向けて欲しいという理由であれば、コンサートだけでは難しい。
なぜなら「ひいちゃん」が唄い始めると「ふうちゃん」も一緒になって唄い出す。
もっと注目を浴びようと「ひいちゃん」が振り付けをして唄えば「ふうちゃん」も踊りだすからである。
結局「ふうちゃん」のほうが目立ってしまうのだが、歌が上手なのは断然「ひいちゃん」の方だ。
でも『歌を習いに行く?』と聞いても『やらない…』と答える。家以外では大きな声で唄うのは恥かしいらしい。
やっぱり内弁慶な「ひいちゃん」なのでありました。