中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

釣り味・食い味 ~その1(マダイ編)

2013-04-13 12:30:00 | 釣り一般
■長らく釣りを続けていると…■

 今年で齢(よわい)50年。思えば人生の半分はとうに超えたはもちろんのこと、もしかすると3分の2を越えたのかも知れず、自分の”オッサンさ”を改めて理解するのだが、重ねた年齢の中で釣り人だった時間は30数年に達している。
 しかし、何分にも飽き性なので同じ魚を狙って釣りを続けてきたワケではない。
 小学3年生に近所の港でアジ・サバ・イワシを狙っての”サビキ釣り”から始まった釣りは、中学生になって、夏場はキス、冬場はカレイやアブラメ(関西の方言で、アイナメのこと)を狙う「投げ釣り」に発展し、高校生前半には防波堤からの「夜釣り」でチヌを狙うようになっていた。
 ここまでが青少年期で、しばらく”陸釣り?”が忙しくなって、数年のブランクがあったが、20代中盤に防波堤でのチヌ、グレ釣りから再びチャレンジが始まった。そこから次第にそれらを磯釣りで狙うようになり、それと並行して底物のイシダイ釣りにもチャレンジしていたり、ブラックバスを狙って滋賀県の琵琶湖や奈良県の池原ダムへボートを車に乗せて通っていた時期もあった。そして、近頃の船釣り(沖釣り)や渓流釣りと、覚えた釣りは多岐にわたり、釣り上げた魚の種類は外道を含めると相当な数に昇っている。

 そんな釣り歴を歩んできたから、一部に存在する、「自身のやっている釣りを絶対化して、その中での価値観で他の対象魚や釣法を下に見る」釣り人とは対照的な目を持っていると自負している。
 また、基本的に「釣った魚は食べる」主義だから、ある魚が季節や産地によって、世間で思われているほど、ウマくなかったりすることもよくあるし、その逆もあることを知っているつもりだ。
 そこで今回から数度にわたり「釣り味・食い味」と題して、大胆にも対象魚についての、ボクなりの総合評価をしてみようかと思っている。
 釣り味は個人の性格や趣向で大きく変わるので、「簡単だけど、奥が深くて面白い」という釣り人いて当然だし、魚によっては「食い渋った状況」では全く違う習性になることがある。
 また、食味についても同様に趣向があるし、季節によって評価が大きく変わることもある。だから、ツッ込みたくなるようなこともあろうかと思うが、あくまでも釣り味は標準的な活性時についての話であり、そのランク付けに関しては「獲るための難易度が高く、釣り人側の努力がより必要になる魚」ほど高くしている。
 そして食味は、季節ごとの違いに触れた上での「淡泊な味よりも、ハッキリとした味が好み」であるボクの舌での判断であること、更に付け加えるなら、ボクが魚類学とは無縁であることは言うまでもないだろうから、まぁ、その辺はご理解のほどを…。


 そして今回はマダイから…。

■マダイの釣り味■

 マダイと言えば、「めでたい」の語呂合わせからか、相撲の優勝力士がこの魚を手に持って満面の笑顔で記念撮影をしていることもあるし、七福神の「えべっさん(恵比寿様)」が左手に持っていることからも、象徴的な魚であり、魚の王様(赤いから女王様?)とも言われている。だが、本当にマダイの存在は王様級なのだろうか?。
 面白いことに王様=キング、魚=フィッシュ、すなわちキング・フィッシュとは、ニュージーランドあたりではヒラマサのことを指すから、少なくともその地に住む人にとっては王様でないことは確かなのだが…。

 まずは釣り味を検証してみる。
 これは釣り雑誌のカメラマンから聞いた話だが、水族館のエサやりで、撒かれたエサの中へ真っ先に突っ込んで来てガバガバと口を使うのがマダイだそうだ。そしてそれは釣り人としても頷ける話だ。
 例えば山口県萩沖ではウキ流し釣りといって、オモリ負荷70号以上でサイズは1mほどもあるウキを使って釣ることが多いが、この大ウキをスポンスポンと沈めてくれる魚の一つがこのマダイであるし、磯からのフカセ釣りでは小型のウキを目にもとまらぬ速さで引き込み、同時に竿、あるいは釣り人の腕ごと引っ張り込んでゆく魚でもある。そして、勿論、船からの天秤ズボ釣りその他でも大きく竿を絞り込んでくれる。だから、食い意地の張った魚であることは間違いなく、その意味では決してハリを口に掛けることが難しい魚ではない。
 では、その先の、掛けてからのやり取りではどうだろうか?。
 マダイを船から狙う場合、日本海の若狭湾周辺では5~6号のハリスが中心で、それ以上になると食いが極端に悪くなる。上述の萩沖では8~10号でも入れ食いということもあるし、逆に関東では2.5~4号というから、全国平均は5号といったところだろうか。
 しかし、磯釣りでのやり取りを経験したことがある人だと解ると思うが、マダイは根(水中の岩礁)に向かって走り込んだり、あるいは根そのもの潜ったりする習性はないので、リールから道糸を大きく送り出してやっても「根に擦れて仕掛が飛ぶ」ことは少ない。したがって走りたいだけ走らせて弱らせれば、後は比較的簡単に獲れる魚だ。だから、もっと細い糸でも獲れる確率は高い。しかも、間違って指を口に入れると指が潰れるかというほど噛む力がありながら、歯自体は鋭くもなくザラついてもいないため、ハリを飲まれていてもハリスが擦れて切れる率は高くない。
 その実、ボクの細糸記録だと長崎県五島列島の福江島でグレを狙っていて獲った75cmは1.7号ハリスでのやり取りだったし、その昔、取材で訪問した徳島県古牟岐の磯ではグレ釣り名人の小里哲也さんが、チヌ狙いの1.2号ハリスで85cmをボクの目の前で仕留めている。(しかも、驚くことに冗談を言って笑いながら…)
 しかも、この魚は水圧の変化に弱い。船から狙った場合だと、エサをとった(ハリを咥えた)層で一旦フルスピードで疾走した後は一度休憩したかのように失速する。そこから中層まで引き上げると再び抵抗するが、始めの勢いはなく、そこから更に引き上げると頭を振るだけになる。そして、水面近くまで引き上げてくると浮き袋が膨れてしまい、完全にバランスを失った姿勢になって「ただ重いだけ」に変わる。
 これが磯から狙った場合になると、掛けた層からの水深差が船よりも少なく、ハリスが細いので、もう少し抵抗時間が長くなるが、他の磯釣り対象魚と比較しても、最初のスピード以外は抜きん出るようなファイト感はない。
 また、数ある釣り対象魚の中でもマダイは、大型に出会い易い魚の一つだと思う。個体数は稚魚放流その他の努力で安定していて、それらが順調に育つことも多いのか、船で狙う限りであれば、通ううちに大型の80cm級を手にする確率は高い。それは、例えば舞鶴辺りの釣り船が発進しているホームページ内の釣果欄で、春の乗っ込みと秋の落ち前のシーズンの釣果を確認すればすぐに判る。定員4~5人という中、70cm級を2~3人が釣り、そのうち誰かが80cm級を釣っている写真は当たり前のように掲載されているのだ。(ただし90cmオーバーは極端に個体数が減るから、幸運が必要になる。)

 結果、上述した点から総合的に考えると、釣り味は10段階の6程度だと思う。(10が最高)

●昨年釣った73cmのマダイ●


■実釣時のエピソード■

 マダイには一定の割合で寄生虫が着いている。それは口の中にいるのだが、そいつが気持ち悪い。容姿は「歩いている状態のダンゴムシを平たくしたような」というべきか、「グソクムシのような」というべきか、はたまた「フナムシのような」というべきか、そんな形だ。色は「美白をした肌色」っぽいのだが、抱卵しているメスは青緑色の卵が透けて、より気持ち悪さを増している。そしてそのメスが大きく、大人の親指ほどのサイズで、周囲にそれよりも半分以下の小さなオスが、何匹か寄り添って、逆ハーレムのようになっていることが多い。(気持ち悪いので写真は載せないが…)
 正式名称は「タイノエ」と言うのだが、食べても害はない、と言うか、食べられる位置には着いていないので気持ち悪さは兎も角、安心して?それが着いていたマダイ自体は食べられる。
 そして、マダイ釣りのエピソードと言えば、ついこの寄生虫がらみの話を思い出してしまうのだ。それは愛媛県の日振島でのことだ。
 グレを狙っていた際、春先に入って食い渋るグレに反して、マダイのアタリが続いたことがあったのだが、数匹釣る内の一回でそれが起こった。例によってマダイのそれと解る、竿ごと引っ張り込むアタリがあって、しばらくやり取りした後に急に抵抗感が無くなってしまった。まさしくそれはハリのスッポ抜けだったのだが、そのハリ先にこの寄生虫だけがぶら下がっていたのだ。
 つまりは、「マダイがエサを食う→ボクがアワセを入れる→マダイの口腔内には刺さらず、寄生虫にハリ掛かりする→マダイが疾走する→やり取りが始まる→マダイが口を開ける→寄生虫だけが抜け出る」という流れでこうなったのだ。この時以外にも、もう一度だけ同じ体験をしているが、これも磯釣りでのことであることから、恐らくハリのサイズが船で使う際よりも小さいためであろう、と思っている。(大バリだと寄生虫ごと貫通するのだと思う。)
 ウソのようなホントの話だが、同様の経験をした釣り人の話を数回聞いているし、記事を読んだこともある。だから釣りをする人の間では、少しは知られた話ではあるのだが…。


■マダイの食い味■

 続いて”食い味”つまりは食味の話に移ろう。どんな料理にも合う蛋白な味わいで、それでいて深みがあるというのがマダイの一般的な評価だと思う。しかし、ボクの場合は好みに合わないのか、それとも巡り合わせが不幸というべきなのか、「これはウマいっ!」と唸るほどのマダイに出会ったことがない。釣った場所は覚えているだけでも、若狭湾~福井沖の日本海をメインに、和歌山県紀伊半島沖、長崎県五島列島、山口県萩沖から瀬戸内海まで、各地に広がり、季節は四季の全てで釣っている。ただし、この中に高級マダイの産地である、紀淡海峡の加太あたりの魚が含まれていないから上述の感想になるのかも知れない。
 マダイの”食べ頃サイズ”は40~45cmと釣り人の間で言われており、それより小さければ食えるところが減って料理の種類が限られるし、逆に50cmを越えてくると全長に正比例して旨味が減って不味くなり、70cm以上は確実に筋張って食感も悪くなる。
 また、個体差があるものの、産卵期が5~6月なので、4月中旬から6月中旬までは、腹に抱えた真子(卵巣)や白子(精巣)の成長に合わせて栄養がとられて身の旨味が減り、真子や白子が最大に成長する頃には”はらす”と呼ばれる部分は「骨と皮」だけの状態になる。しかし、四季を通して一番大型が狙えるのが「乗っ込み」と呼ばれる、産卵のために浅場に入ってくる時期だから、釣り人はジレンマを抱えてしまうのだが…。
 マダイの旬は春と言われているが、上記の理由からそれは、初春の”腹が大きくなり始める直前”に限定した方がイイと思う。

 食味の評価は抱卵時期を除いた基本状態であり、個体差が判り易い刺身での判断を中心としているのだが、その刺身での味わいは、人によって「締めたての歯ごたえのある状態がイイ」とか、「一日あるいはもう少し寝かせた方がイイ」とか、意見がある。ボクはそれに倣って、ほとんどを試したことがあるが、歯ごたえ以外の旨味に関しては、言われたほどの差を感じることはなかった。また、最近の船長の中にはサービスで「神経締め(抜き)」と言われる方法で釣った魚の処理をしてくれる場合もあるが、ナイフによる「普通の締め」との差も大きく感じたことはない。

 また、食の好みは「年齢と共に変化する。」とよく言われるが、ボクがマダイを食う場合は、若い頃に好きだった刺身よりも煮付け、それも、最近ではあら炊き(あらの煮付け)が一番ウマく感じるようになっている。しかし、マダイの骨は硬く、特に頭は非情に硬い。したがって、あら炊きの下処理である兜割(かぶとわり)は大変な作業になる。また、ウロコ取りも大変な作業で、恐らく釣った魚の中で一二を争うほど硬くて周囲に飛び散るのがマダイのウロコだと思う。たから、三枚おろしを含めた料理全般の下処理で苦労する魚だ。(その他、刺身にしてもウマくない大型魚の身は、西京味噌を使った”味噌漬け”にすることをお薦めしておく。)

 そんなこんなを総合的に考えると、マダイの食味は釣り味と同じ10段階の6程度に評したい。一般の人やマダイを専門に狙う人にとっては意外な結果かもしれないが、要は「もっとウマい魚が他にもある」ということから、相対的に考えての結果だ。勿論、最初に記したように食味には好みの差があることは言うまでもないが…。


■標準点やや上の魚■

 奇しくもマダイは釣り味・食い味ともに「真ん中やや上」という評価になった。これを低いとみるよりも、「全ての魚の中心指標となる魚」捉えた方がイイのかも知れない。何度も言うとおり、ボクの、やや「独断と偏見」が作用しているために各人には反対意見もあるかと思うが、今後も様々な魚を評価してみたいと思うので、乞うご期待?を!。

 


 
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