10月25日、東京都ではじまった子供・子育て会議を、メンバーのひとりが傍聴してきました。その模様を、レポートしてもらいました。
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運よく抽選にあたって、東京都子供・子育て会議の傍聴にいってきました。
ドキドキしながら会議室に入ると、約30人の会議メンバー、さらに大勢の都職員や議会関係が…。そのすぐ後ろに、傍聴者のイスが30席ほど並べてありました。まるで会議メンバーの一員と錯覚するほどの近さでした!
≪ 豊富なデータと待機児童対策について ≫
いちばんの収穫は、詳細な資料がもらえたこと。イスの上に、どさっとおいてありました。たとえば、都内の子育て世帯について、こんなデータありました。
●共働きの子育て世帯が、どんどん増えています。
2002年 40.5% 2007年 46.1% 2012年 53.8%
●保育サービスの利用率も、増えつづけています。
2003年 27.8% 2008年 30.2% 2013年 36.0%
●さらに、就学前の子ども自体が増えていました。
2003年 58万6千人 2008年 59万2千人 2013年 62万人
以上の結果、保育への需要は、急激にふえていると言えます。保育施設もふえてはいますが、ペースが追いついていません。待機児童数は7~8千人で推移し、今年は860人もふえました。
しかも、妊娠・出産前後に4割をこえる女性が退職しており、その26%は「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」と回答。保育への潜在的需要は、かなりあると言えるでしょう。
討議では、こんな発言もありました。
「幼稚園は3歳があふれている。文京区でも、3歳で入れない子どもが200人をこえている」(文京区長)。
足立区でも、保育園に入れず、幼稚園に預けざるをえなかったという話をよく聞きます。待機児童問題のしわ寄せが、幼稚園にまでおよんでいるのです。
問題の解決には、保育施設の中核である認可保育園をふやすことが、もっとも効果的と痛感しました。しかし会議では、この点を主張する人は誰もおらず、非常にもどかしかったです。
子ども・子育て新制度では、地域のニーズをふまえて保育施設を整備計画をつくるとしています。認定こども園なども大切でしょうが、父母のニーズがもっとも強い認可保育園の整備こそ、その中心にすえてほしいと思います。
≪ 認証保育所について ≫
討論でもっとも白熱したのは、認証保育所の位置づけをめぐってでした。
認証保育所の経営者から、こんな発言がありました。
「認証保育所を、新制度でどう位置づけるのか。もし国がこのまま位置づけなかったら、都が従来の補助を続けるだけでいいのか。そういう姿勢では、会議に出続ける理由がなくなってしまう」。
子ども・子育て新制度で、国は現時点では、認証保育所を位置づけていないそうです。どう対応するかは、自治体の裁量にまかされます。横浜などで、認可保育園や認定こども園への移行支援もおこなっているようですが、今回、都職員からは、そうした提案がありませんでした。
迫力をもって何度も発言されていて、新たな支援を求める経営者の必死さを感じました。別の保育事業者からも、補助金の上乗せやバウチャー制度の導入など、事業拡張をみこした提案がありました。
子どもと親の立場から、さらに議論が深められることを願います。
≪ 認定こども園について ≫
認定こども園の経営者から、運営への戸惑いの一端も出されました。
「幼稚園と保育園の両方の認可をとってやっているが、そうすると園長は2人いる。幼稚園と保育園での親の負担の格差も、はっきりと見えてきたが、どうしたらいいのか。教員と保育士のバランス、それぞれのとらえ方など、運営ではちょっと課題を残している。学校と学童の関係のようにしていくかなど、いろいろ試行錯誤している。この会議で、自分としても、認定こども園という形へのヒントをいただきたい」
もともと性質のちがう幼稚園と保育園をいっしょにするのは、本当に大変なことだと思います。戸惑い、課題、試行錯誤が絶えない様子でしたが、そのもとで、子どもたちがどうなっているのか、非常に気がかりでした。
≪ 会議の運営をめぐって ≫
会議は全体として、一般論や状況説明に終始し、都側のシナリオどおり淡々とすすみました。それ以外のメンバーの発言時間は、わずか1~2分ずつ。議論が深まったとは、とても言えないものでした。
ある参加者から、こんな趣旨の発言もありました。
「せっかくの会議を、審議会にしないでほしい。聞かれたことに答えてあとは行政にゆだねるという従来のやり方ではなく、少子化を克服したフランスに見習って、子育てのすべての関係者、とくに子育て当事者が入って決定し、すばやく動いてほしい」
多くの人が共感したと思いますが、決められたのは、次回会議は来年4月ということでした。専門部会も2つ作られましたが、うち1つは、国の動きを見定めてから始めるということでした。子育て当事者の思いにこたえて主導的に切り開くという雰囲気が、ほとんど感じられませんでした。
もちろん、まだ始まったばかり。問われるのは、これからと思います。子ども・子育て新制度では、主役は、市区町村と決められています。足立区でもこれから議論が始まりますので、子どもや親の思いがきちんと反映されるように働きかけたいです。それぞれの地域の努力があわさって、東京全体で子育て施策が前にすすめばと思います。
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運よく抽選にあたって、東京都子供・子育て会議の傍聴にいってきました。
ドキドキしながら会議室に入ると、約30人の会議メンバー、さらに大勢の都職員や議会関係が…。そのすぐ後ろに、傍聴者のイスが30席ほど並べてありました。まるで会議メンバーの一員と錯覚するほどの近さでした!
≪ 豊富なデータと待機児童対策について ≫
いちばんの収穫は、詳細な資料がもらえたこと。イスの上に、どさっとおいてありました。たとえば、都内の子育て世帯について、こんなデータありました。
●共働きの子育て世帯が、どんどん増えています。
2002年 40.5% 2007年 46.1% 2012年 53.8%
●保育サービスの利用率も、増えつづけています。
2003年 27.8% 2008年 30.2% 2013年 36.0%
●さらに、就学前の子ども自体が増えていました。
2003年 58万6千人 2008年 59万2千人 2013年 62万人
以上の結果、保育への需要は、急激にふえていると言えます。保育施設もふえてはいますが、ペースが追いついていません。待機児童数は7~8千人で推移し、今年は860人もふえました。
しかも、妊娠・出産前後に4割をこえる女性が退職しており、その26%は「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」と回答。保育への潜在的需要は、かなりあると言えるでしょう。
討議では、こんな発言もありました。
「幼稚園は3歳があふれている。文京区でも、3歳で入れない子どもが200人をこえている」(文京区長)。
足立区でも、保育園に入れず、幼稚園に預けざるをえなかったという話をよく聞きます。待機児童問題のしわ寄せが、幼稚園にまでおよんでいるのです。
問題の解決には、保育施設の中核である認可保育園をふやすことが、もっとも効果的と痛感しました。しかし会議では、この点を主張する人は誰もおらず、非常にもどかしかったです。
子ども・子育て新制度では、地域のニーズをふまえて保育施設を整備計画をつくるとしています。認定こども園なども大切でしょうが、父母のニーズがもっとも強い認可保育園の整備こそ、その中心にすえてほしいと思います。
≪ 認証保育所について ≫
討論でもっとも白熱したのは、認証保育所の位置づけをめぐってでした。
認証保育所の経営者から、こんな発言がありました。
「認証保育所を、新制度でどう位置づけるのか。もし国がこのまま位置づけなかったら、都が従来の補助を続けるだけでいいのか。そういう姿勢では、会議に出続ける理由がなくなってしまう」。
子ども・子育て新制度で、国は現時点では、認証保育所を位置づけていないそうです。どう対応するかは、自治体の裁量にまかされます。横浜などで、認可保育園や認定こども園への移行支援もおこなっているようですが、今回、都職員からは、そうした提案がありませんでした。
迫力をもって何度も発言されていて、新たな支援を求める経営者の必死さを感じました。別の保育事業者からも、補助金の上乗せやバウチャー制度の導入など、事業拡張をみこした提案がありました。
子どもと親の立場から、さらに議論が深められることを願います。
≪ 認定こども園について ≫
認定こども園の経営者から、運営への戸惑いの一端も出されました。
「幼稚園と保育園の両方の認可をとってやっているが、そうすると園長は2人いる。幼稚園と保育園での親の負担の格差も、はっきりと見えてきたが、どうしたらいいのか。教員と保育士のバランス、それぞれのとらえ方など、運営ではちょっと課題を残している。学校と学童の関係のようにしていくかなど、いろいろ試行錯誤している。この会議で、自分としても、認定こども園という形へのヒントをいただきたい」
もともと性質のちがう幼稚園と保育園をいっしょにするのは、本当に大変なことだと思います。戸惑い、課題、試行錯誤が絶えない様子でしたが、そのもとで、子どもたちがどうなっているのか、非常に気がかりでした。
≪ 会議の運営をめぐって ≫
会議は全体として、一般論や状況説明に終始し、都側のシナリオどおり淡々とすすみました。それ以外のメンバーの発言時間は、わずか1~2分ずつ。議論が深まったとは、とても言えないものでした。
ある参加者から、こんな趣旨の発言もありました。
「せっかくの会議を、審議会にしないでほしい。聞かれたことに答えてあとは行政にゆだねるという従来のやり方ではなく、少子化を克服したフランスに見習って、子育てのすべての関係者、とくに子育て当事者が入って決定し、すばやく動いてほしい」
多くの人が共感したと思いますが、決められたのは、次回会議は来年4月ということでした。専門部会も2つ作られましたが、うち1つは、国の動きを見定めてから始めるということでした。子育て当事者の思いにこたえて主導的に切り開くという雰囲気が、ほとんど感じられませんでした。
もちろん、まだ始まったばかり。問われるのは、これからと思います。子ども・子育て新制度では、主役は、市区町村と決められています。足立区でもこれから議論が始まりますので、子どもや親の思いがきちんと反映されるように働きかけたいです。それぞれの地域の努力があわさって、東京全体で子育て施策が前にすすめばと思います。
「東京都第1回子供・子育て会議」を傍聴しました。
こちらでも記事が書かれているので、リンクをはらせていただきました。
貴団体のブログを拝見し、コメントさせていただいたのですが、2回書き込みをしている状態になってしまいました!すみません!!
保育も学童保育も、共通の問題があると思っています。。