私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

馬氏は日本の『に』の字も言わなかった:都知事会見

2008年05月25日 | 台湾

7月20日迄ROC総統府の平日見学会は中止となっているようですが、「総統府1階展示フロアなど、改修整備のため」(台湾観光協会)というその理由が注視されるところです。〝大陸同胞〟の観光誘致を目玉にしたい馬政権にしてみれば、〝中華民族〟の団結に具合が悪い1945年以前の台湾の痕跡を消し去って(=戦前の台湾総督関連の展示を全て撤去して)「新装開店」したい思惑があるのではないでしょうか。

◆日台関係思わぬ「つまづき」(産経)
◆【石原都知事会見詳報(2)】「馬新総統は、日本の『に』の字も言わなかった」(産経)
◆【1都4県 週刊知事】東京 石原慎太郎知事 台湾の新政権に距離感(産経)
◆日本政府から馬英九総統へ両岸直接対話を望む書簡が送られる(台湾週報)

この件(1)平沼氏は直接的な表現で苦言を呈したのか、婉曲に嫌味を言ったのか、(2)平沼氏の発言を台湾側通訳が誤訳したのか、その場ではあえて無視したのか、といったあたりが同じ産経の報道でもニュアンスが違う(この辺の事実関係は重要なんだからしっかりしてくれよ・・・・)のですが、何れにせよ、「演説ですべての国名を挙げることはできない。日本の代表団とは昼食をとり、日台関係の重要性を強調した」(馬英九代表)、「馬総統は就任演説の中で、台米関係について多くを語ったが、これは台米関係が近年、多くの齟齬が生じていることからであり、決して台日関係を重視していないという意味ではない」(葉非比・外交部報道官)といったリアクションが見られる点から、双方にすきま風が吹いているのは否めないようです。
『背景には、馬総統の「親中、反日」イメージへの懸念をぬぐえない日本側と、日本の姿勢にいらだつ台湾側との認識ギャップがある』(産経)という分析は正鵠を射たものでしょう。「72年以来最良の関係にある」と称される両国関係ですが、皮肉にもその日華断交後の両国関係を担ってきた、自民党(日華懇)-国民党の政党間交流のパイプがこの8年ですっかり疲弊してしまっている実態が暴露された象徴的な光景だったとも言えるのではないでしょうか。両者を結び付けていた「反共イデオロギー」という共通項はもはや昔日のものです。

<We congratulate Ma Ying-jeou on his inauguration. We look forward to working with Taiwan’s new leaders and maintaining the vibrancy in our economic and people-to-people relationship. We welcome initiatives to reduce tension in the Taiwan Strait. As President Bush said after the March vote, “The election provides a fresh opportunity for both sides to reach out and engage one another in peacefully resolving their differences.”>
(馬英九氏の就任に祝意を表したいと思います。合衆国は台湾の新たな指導者と協調するとともに、経済面や人的交流面での活況が引き続き維持されるよう希望します。ブッシュ大統領は3月の選挙後に「今回の選挙は両岸の距離を近づけ、双方の齟齬を平和的に解決する新たな機会をもたらした」と述べましたが、台湾海峡の緊張緩和に向けた馬氏の構想も歓迎しています)

国務省のマコーマク報道官はこのように新政権への期待をにじませていますが、馬氏は努めて「知日派」になろうとしているのに、かような米国と比べ日本はつれない、胸襟を開こうとしないといった不満をKMT政権側も抱いているようです。就任演説の一節だけに過敏に反応し、粘着し過ぎるのは(現時点では)いささか大人気ない気がいたしますし、「今後の日台関係を占うボールは日本側にある」(国民党幹部)という指摘はある意味正しいでしょう。(日本に言及していないといえば、FTA締結の件も気にすべきかと・・・・)
一方で馬政権側の現状認識にもいささか疑問符が付きます。新政権が相対的に米華関係を重視しているのは間違いないありませんが、それが「日本は米国に倣う」という判断に基くものだとすれば、今後の外交は大味な展開になりかねません。台湾の国連加盟を巡る福田訪中時の発言(記事)のように、日本はこのところ中台双方に配慮する言動を見せていますし、先頃は「パンダ外交」の裏で航空安全に関する協定締結(共同)という実務交渉が行われていた(自身この直後に華航を利用しただけに、「パンダ何かより遥かに重要だわ」と切実に思いましたが・・・・)事実も注目に値します。「72年以来最良の関係にある」というのは、前DPP政権の自画自賛ではないのです。

やはり双方問題点を内在している(記事)という点を印象付けられますが、「馬政権は遠巻きに眺め、中台関係の動向にのみ関心を払っておけばよい」(日本側)、「対米関係を修復すれば、そのうち日本もなびいてくるだろう」(台湾側)といった空気が蔓延し、日台関係を如何に維持・発展させていくかという論点が相互になおざりにされかねない懸念も抱きますね。

ま、フツーに短期間放浪する分にはどうでもいい話ですが、旅行者の視点としては総統府の「新装開店」の件がやはり引っ掛かりますな・・・・

    



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんなことなら3月にイッときゃよかったかな・・ (高雄人的横)
2008-05-26 00:39:26
総統府、韓国のように解体は無いだろうと思っていたので、前回は見学しなかったんですが・・
ちょっと後悔しております^^;

政治は難しくてよく判りませんが、日本人旅行者や、在台日本人駐在者に不利益にならないような日華関係の構築を政治家の皆さんにはお願いしたいですね。
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あ、そういえば・・・・ (tsubamerailstar)
2008-05-26 01:20:43
>高雄人的横様

あ、

>「1945年以前の台湾の痕跡を消し去って「新装開店」したい

って件、内部見学したことなければ韓国大統領府と同じように誤解されちゃいかねない表現ですね。他にも誰かに見られる可能性があるからしれっと直しておこう。(汗)

KMTの連中は、戦後台湾に来た(不法占拠しにやってきた)際に日本時代の遺跡や碑等を根こそぎ破壊しました。発想は同じだと思いますが、具体的には戦前の台湾総督関係のパネル展示はすべて撤去されるだろうと予想しています。

そうなれば当然「反日的動き」として、日本のマスコミは「待ってました!」と大騒ぎになるのは必至でしょう。杞憂だといいんですけどね・・・・
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うーん、、、 (惠鈴)
2008-05-27 00:06:46
大陸同胞 に中華民族、、、。
いやな方向に行かなければいいのですが、、、
反日色がこれ以上色濃くなるのはかんべんですね。
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確かに・・・・ (tsubamerailstar)
2008-05-27 19:28:12
>惠鈴様

昨日留学生氏に「競馬オタ的にこういう展開が予想される。ま、俺の予想がバシバシ当たるなら仕事などやってない訳だが・・・・」と申しましたところ、「え~、台湾の反日は無理ですよぉ。馬さん一人でしょう」と笑っていました。
ま、日本留学組はそもそも親日ですからねぇ。(汗)
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