私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

台湾を外交的に承認せよ:ボルトン前米国連大使

2008年04月01日 | 台湾

昨日は月末、期末、年度末でしかも月曜日という〝四重苦〟でやれやれでしたが、新年度の話題は何といってもガソリン価格でしょうか。昨年までなら「四月馬鹿」と一笑に付されるような事態が現実化した格好ですが、車に乗らない身としてはやはりピンと来ませんね。むしろ、北米方面の航空券を調べておりまして、燃油サーチャージと空港税等の額に眩暈がしそうになったのですが、こちらも何とかならないものやら・・・・

◆Ambiguous ties between U.S., Taiwan seen as 'dangerous'(Taiwan News)
◆前米国国連大使:台湾と米国は国交回復すべき(台湾週報)

<Now that the voters in Taiwan have elected Kuomintang candidate Ma Ying-jeou (馬英九) as their new president, the U.S. should "reaffirm clearly and unequivocally that it supports the expression of the people's will in Taiwan's elections and will continue to stand beside its longtime ally, including through necessary military assistance," Bolton urged. According to Bolton's observation, Ma's election victory over Frank Hsieh (謝長廷) of the Democratic Progressive Party does not mean that Taiwan is shifting from seeking independence from China to the opposite - reunification with the Chinese mainland - because the majority of its people prefer to maintain the status quo, meaning that the island is a sovereign state.>
(台湾の有権者が国民党の馬英九候補を次期総統に選出したこの段階で、アメリカ合衆国は「総統選で示された台湾の民意を支持し、軍事面での協力も含め、長年にわたる同盟国台湾の味方であり続けることを明瞭、かつ明確に再び主張する必要があります」とボルトン氏は強調する。氏の所見によると、馬氏が民主進歩党の謝長廷氏に選挙で勝利したことと、独立志向から中国本土との再統一へ民意が移ろったことは同義でない。国民の多くは台湾を主権国家とする現状維持を望んでいるからである)

「台湾海峡の両岸すべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であると主張している」状態に復したことで、合衆国筋はさしあたって安堵しているでしょうね。彼らが定義するところの台湾海峡の現状変更は、陳総統の「四不一没有」の公約が破棄される事態、すなわち台湾が国民投票等を実施し、一中憲法の改正(領土の規定の変更)と国号変更に踏み込むことであり、それを「正式な独立」の要件とみなしている(「台湾の法的地位は未定」というのが合衆国の公式見解であることからも明らかですが)ことがうかがえます。
この〝現状〟こそが台湾の国際社会における認知を阻む元凶であり、「正式な独立」によってこれを解消すべしという急進的な主張もありますが、仮に台湾が対中戦争も辞さずと(経済・通商面での致命的な壊滅も覚悟のうえで)米国その他の反対を振り切って、「独立を宣言」したとしても、現状何も変わりません。チェコのハヴェル前大統領は、台湾が〝中華〟の看板を下ろせば承認が可能である旨を匂わせたそうですが、〝中国版ハルシュタイン・ドクトリン〟の下で、そのような動きはほとんど期待できず、とりわけ先進諸国の(再)承認を得ることは絶望的でしょう。
かように、台湾、および周辺各国にとって「百害あって一利なし」という事態が予想されるだけに、このような急進的な主張はおよそ支持できませんが、ボルトン前米国連大使(この人、メリケン版〝ハマコー〟といったキャラか?本家〝ハマコー〟も昔日中国交反対で暴れていたようですが・・・・)は、合衆国の台湾への支持表明の最良の手段は、'Full diplomatic recognition'(『完全な外交的承認』)であると主張しています。

<"Recognition (of Taiwan) would bring stability and certainly, thus actually lowering the risks that Beijing will misinterpret the U.S. position and threaten or actually commence military action to regain Taiwan," Bolton wrote. "Extending diplomatic recognition would no more prejudice the U.S.' 'one-China' policy (itself an exercise in confusion and ambiguity) or the ultimate issue of reunification than did U.S. recognition of the two Germanys during the Cold War," he added.>
(「(台湾の)承認は安定性と確実性をもたらします。即ち、中国が合衆国の立場を誤解して、台湾を恫喝したり、併合を目論み軍事行動に出たりする危険性の低下に寄与するのです」と、ボルトン氏は記すとともに、「台湾の外交的承認が合衆国の「一つの中国政策」(これ自体不明瞭かつ曖昧さの体現だが)や、終極的な(中台)統一問題を毀損するものではありません。それは冷戦期に東西ドイツを承認したことと同じ類のものです」と付け加えている)

〝中国版ハルシュタイン・ドクトリン〟の打破を合衆国が先導して二重承認の途を開けという氏の主張は、三つの米中コミュケと台湾関係法からなる、「一つの中国政策」を放棄せよとワシントンに迫ることと同義なのですが、「国務省以外ではいいかげんな解釈がなされるようになってきている」(ヘリテージ財団主任研究員・ジョン・タシクJr氏)という「一つの中国」政策の現状が垣間見えるようでもあります。
ワシントンから見て、台湾のポジションは曖昧なままの現状がいいのか否かという点に関しては、見解が分かれるところです。キーティング太平洋司令官(海軍大将)は、防衛面からは中台の主権が曖昧な現状が望ましいという見解を述べていました。安全保障面でのフリーハンドが認められず、合衆国に依存せざるを得ない台湾の現況は、米軍産複合体に莫大な利益をもたらしていますし、反共防波堤としての対中カードをキープすることは、合衆国自身の国益でもあります。言葉は悪いですが、「台湾は活かさぬように、殺さぬように」といった塩梅が合衆国にとっては一番具合がいいのでしょうね。

とはいえ、急進的な台独論や、このような政策提言に全く意味がないとは思いません。「毒を以って毒を制す」というのはこれまた言葉が悪いですが、台湾の急進的な統一派や米国内の親中派に対する牽制作用が期待できますし、望ましいシナリオをあれこれ思い描く姿勢は外交当事者に不可欠な要素であると思うからです。

   



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