私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

五輪ボイコットの可能性も排除せず:KMT馬英九候補

2008年03月19日 | 台湾

台湾総統選と同時に、国連加盟(復帰)の是非を問う住民投票も実施されます。今回のチベットの件で、国連が屁の突っ張りにもならない存在であると痛感した有権者もいたかと思いますが、中国が安保理の一角を占めているのがその最大の元凶である(したがって、住民投票の結果如何に関わらず台湾の国連加盟の芽は100%あり得ない)ことは疑う余地がありません。「第二国連論者」の私は、共和党のマケイン候補の持論を以前から支持していますが、さし当たって「リットン調査団」のようなものすらチベットに派遣できない現状は何とかならないものか・・・・

◆Wen blames Tibet unrest on Dalai Lama(FT.com)
◆Taiwan frontrunner rebuts Wen on vote(FT.com)

<In response to a question from the FT, Mr Wen ruled out direct talks with the Dalai Lama unless he renounced all Tibetan independence activities and recognised Tibet and Taiwan as inalienable parts of China.>
(温首相はファイナンシャルタイムズ紙の質問に対し、ダライラマが独立に向けた活動の全てを放棄し、チベットや台湾が中国の不可分な領土の一部であることを認めれば、対話に応じる用意があるという考えを示した)

チベットはともかく、仮に、ダライラマ氏が台湾を中国の一部であると認めたところで、具体的に何がどうなるのか皆目理解できません。(中共の独善的なメンツは満たされるでしょうが)
イスラエルのスタンプがアラブ諸国の出入国時に問題となる事例を聞いたことはありますが、こんな調子なら、パスポートに押された中華民國の判子を認めた入国審査官が、「台湾は中国の一部であることをここに宣誓し、署名せよ」などとワケのわからん要求を言い出しかねませんね・・・・

<Mr Wen on Tuesday restated China’s opposition to two referendums on UN membership that are to be held alongside Saturday’s election. He called on voters to reject the proposals and said regional peace and security would be threatened were they to pass.>
(火曜日に温首相は、土曜日の総統選と同時に実施される国連加盟の是非を問う二つの住民投票に対する中国の反対を再度表明した。温首相は有権者に拒絶するよう呼びかけるとともに、住民投票が成立すれば地域の平和と安全への脅威となるという考えを示した)

そういえば、「全人代」という名の土匪の集会が催されてことをすっかり失念していました。選挙とは無縁の輩が、民主的な手続きを指して「地域の平和と安全への脅威」などと妄言を。「反国家分裂法」を念頭においた発言でしょうが、「ダライラマの分離・独立活動が諸悪の根源」と寸分違わぬ屁理屈であり、その侵略主義的性向には改めて反吐が出ます。<暴支膺懲>という言葉も脳裏に浮かびますね・・・・

<Mr Ma called Mr Wen’s remarks “barbarically unreasonable, arrogant, stupid and self-righteous”. In addition, he threatened to boycott the Beijing Olympics over the recent violence in Tibet. “If the Chinese authorities continue to suppress the Tibetan people and the situation in Tibet worsens, I do not exclude the possibility to cancel sending a delegation to the Beijing Olympics if I become the president of the Republic of China,” he said.>
(馬氏は温首相の見解を、「野蛮で不合理、尊大で非常識かつ独善的だ」断じた。さらに、このところのチベットに対する中国の暴力行為を巡って、北京五輪のボイコットをちらつかせた。「私が中華民國総統に就任し、その時点でも中国当局の抑圧の継続とチベットの状況悪化が認められれば、北京五輪への代表団派遣を取り止める可能性も排除しない」と述べた)

   (東森頭條新聞)

ETTVを眺めていて、馬氏が発した〝ダライラマ〟という言葉に反応した次第(=それ以外はサッパリ)ですが、馬氏の「対中強硬発言」が報じられています。
(1)ワシントン(国務省)の許可は得たんですか?(得てないでしょ?) (2)ボイコットするとして、日本と中国が対戦する局面ではどちらを応援すんの?(どうせ中国でしょ?)と瞬間思った次第ですが、英FT紙は馬氏のこの発言を、「選挙戦略上の方便に過ぎない」と分析しています。
「~可能性も排除しない」という婉曲な表現で思い出すのは、二年前の旅行中に台湾で見た意見広告──「自由時報」紙に「KMTは台湾独立の選択肢も排除しない」という文言が記されていましたが、これは(も)観測気球に過ぎなかったようです。
ま、馬氏のことですから、総統に就任した暁には、北京五輪ボイコットの〝公約〟を遵守してくれることでしょう。

英FT紙では、台湾名義での国連加盟の是非を問う住民投票を打ち出すDPPに対抗し、KMTが中華民國名義での国連復帰案を提案するといった対抗措置の〝最新版アップデート〟といった類であるとも説明もされていますが、馬氏のこの発言を受け止める台湾の最新の〝空気〟や、氏に去来する心象風景は如何なものでしょうか・・・・
JRA実況風に言えば、ゼッケン2番の〝マーク・マー号〟は中山のG前の急坂で〝イッパイイッパイ〟(=鞭を入れるタイミングが後手に回り焦っている)なのか、それとも〝二の足〟を使って逃げ切りを図る余力がまだ残っている(=DPPのお株に輪をかけた「対中強硬発言」を見せ付ける余裕がある)のか──まさに〝馬券〟的にはここが運命の分かれ目であり、手に汗握る瞬間なんですよね。(何のこっちゃ?)

選挙戦略が絡む面も多分にあるとはいえ──日米の為政者のそれと比較すれば尚更──台湾政府や陳総統、そして与野党の両総統候補が異口同音に毅然とした非難声明を発しているのは立派だと思います。「やはり台湾は中国と違う」と内外に印象付ける副次的効果もあるでしょうね。


中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄 国境なき記者団  



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2 コメント

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Unknown (ピア)
2008-03-19 23:23:07
こんばんわ。

私もこの馬候補の発言を聞いて「どの口が言う?」と
思った次第です。

ただ、最後におっしゃっている通り、日本とは違うなぁ・・・
と痛感しますね。普通の国で日本ほど経済力があれば
言って当然のことなんですがね。
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情けないですよね (tsubamerailstar)
2008-03-21 15:23:20
> ピア様

台北タイムズ紙が、今日の社説で馬氏の発言を評価していました。同紙にしては珍しい・・・・

日本も、コキントーどころじゃないでしょうって。ホントしょうもないですね。
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