先月の筑後市長選(いきなりネタがローカル過ぎ・・・・)は新幹線新駅誘致賛成派と反対派が真っ二つに分かれての激戦でした。「新幹線、駅がなければ止まれない」のは一面の真理ですが、駅間距離が短すぎるとその持てる性能が封殺されるのも事実です。そんな訳で高速鉄道ヲタクの私は反対派を支持したのですが・・・・
近隣の市長選でも読みが当たらないのに、ちょろっと旅行に行った国の、ましてや地方首長選のことなど判る訳でもないのですが、昨晩Tipei Times紙の社説を10分くらい眺めておりましたので、その件を続けましょうか。
◆Editorial: The DPP receives a stern warning(Taipei Times)
◆統一地方選で敗北、台湾行政院長が総統に辞意(読売)
◆台湾国民党・馬英九主席、強まる存在感 首相ポスト要求も「第2野党」吸収へ(産経)
■ 民進党は台湾北部で全滅
ethnic様のブログ(超特選ブログ)の図を見ると一目瞭然なのですが、統一地方選は野党KMTの地滑り的圧勝と与党DPPの大敗という結果となりました。Tipei Times紙の社説(日本語訳)によりますと、DPPは16年その座を死守してきた重要拠点の台北県や、伝統的な牙城の宜蘭県(24年間死守)でもポストを失うなど、北部は全滅という有権者の大変厳しい審判が下されたようです。
詳細はよく判りませんが、改めて米在住の作家Cao Changching氏の寄稿(記事)や選挙日前日の同紙の社説等を眺めて見ますと、「与党DPPに業を煮やして有権者がお灸をすえた」といったところだったのかもしれません。
前述の新幹線新駅の件で気づいたのですが、地方首長選挙という性格を考えると、「中国か台湾か」という二者択一が全土に共通する争点足りえたとは必ずしも言えないでしょう。(ローカルな地域事情を色濃く反映するのが地方首長選の性格であるならば、総統選での有権者の動きはまた違うはずです)
「清廉を売り物にした陳水扁政権であったが、1期目の4年間でそのイメージも大きく変わった。清廉さが売りであっただけに世論の失望も大きく、ギャップが特に際立った感が強い」
と『台湾総統列伝』(本田前彦著)には記されているのですが、04年の2期目の選挙前にこのように評されていて、ましてや選挙直前に汚職(記事)だ何だと芋づる式に出てきたのであれば、今回の地方選はDPPの自滅といったところでしょうか。(Cao Changching氏はDPPの支持層に投票を呼びかける内容を投稿をしていましたので、棄権したコアなDPP支持者もかなりの数にのぼったのかもしれません)
それにしても、「清廉さを売り物にした陳水扁政権」の刺客となったのが、金やオンナの醜聞に今のところ無縁で「清廉なイメージ」(同著)の中国国民党新党首の馬氏だったというのは何とも皮肉な話です。 KMT自体そんなに褒められたものかという気もするのですが、「黒が近くにあれば、灰色も白く見える」のも真理でしょうしね。
Tipei Times紙は、近年の問題点を顧みて党改革を推進し、態勢を立て直すようDPPに対し社説で訴えています。<親海洋派>のDPPは原点に戻って捲土重来を期して欲しいものです。
■ Cao Changching氏の視点から今後を占うと?
前述したCao Changching氏(記事)はDPPが敗北した場合に想定される好ましからざる状況を四点に分けて述べていましたが、(1)は早速図に当たりましたね。
「陳政権への批判」を「KMTの中台融和路線が支持された」と読み替えた馬氏は、早速行政院長その他閣僚のポストを要求してきたようです。
北京の胡錦濤氏も我が手柄とばかりにほくそ笑んでいるでしょう。
来年の旧正月期間の中台直行チャーター便は規模も期間も拡大されるようですが、来春の実績をふまえ、貨物も含め定期便化が早々に決定されるかもしれません(それを期に中国からパンダ受け入れか?)。陳総統自身元々就任当初に中国との三通(通信・通商・通行)の全面解禁を検討していたようですから、中台直行便が定期便されたらこれも案外急転直下に決まるかもしれませんね。
中台の人的・物的往来に関しては、野党が成立を目論む「海峡両岸和平促進法」で近未来の思惑が明らかになるでしょう。
(3)の米国はしばし「経過観察」といったところでしょうが、安全保障上の懸念は高まるでしょう。日本も台湾からの渡航客にビザが恒久免除となり、相互の往来が100万人時代を迎えた矢先だったのですが、これまた皮肉なものです。
00年に発足した当初の陳政権は、政権基盤の弱さをカバーすべく、国防部長の国民党員・唐飛氏を行政院長に迎え入れ「全民政権」を志向したようですが、自らが選択した「新中間路線」から一転、今度は屈辱的な形で国民党に譲歩を迫られるのは必至のようですね。
※写真・・・・投票所で、統一地方選の投票のため列をつくる有権者。(3日、台湾・台北:時事)
「馬の手綱」を締められるのは石原都知事なのでしょうか・・・・
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それまで苦汁を味わってきた民進党が、台湾を国民と一緒になって自分たちの台湾にしようと決意したそのとき、実際の行動はできないけど支援をしていこうと思ったものです。だから総統選挙の時も台湾の友人と一緒に応援してきました。
そんな日本人もたくさんいるし、何より台湾人が民進党に期待をしていたはずです。
今回の結果は、大敗したものの、陳水扁総統と民進党に「もう一度原点に戻りがんばってくれ!」という批判票であればいいなと思っているところです。
直ちに台湾が中国に傾斜するということは今のところないでしょうけれど、そういう事態も想定しながら戦略を練るべしという警告にはなったのかもしれません。
話は思いっきり変わりますが…。
>駅間距離が短すぎるとその持てる性能が封殺されるのも事実です。そんな訳で高速鉄道ヲタクの私は反対派を支持したのですが・・・・
そこで「千鳥停車」ですよ。いや、もちろんそんなにいっぱい駅いらないですけど。大体、新鳥栖と久留米が近すぎる。
しまったという感じが否めません。
早急な中国化はないと感じますが、
以前のように親日という雰囲気は薄まり、
それが台湾化という形にすすめばよいの
ですが馬氏は明らかにそれを望んでいる
ようには思えません。
台湾と大陸の関係が経済主導で進み、
そのボーダーラインが薄まってしまった
時、台湾は終焉すると思います。
残念ですが、台湾は独立を20年遅らせて
しまったのではないかと個人的には
感じております。その責任の一端には
陳総統率いる民主党、そして日本政府が
あると思いますが。
台湾の与党は完全に失速した感じですが、ちょっと気になる点もありました。
それは昨日4日に行われた香港デモのことです。主催者側は当初5万人程度と予想していたようですが、予想は大きく外れて25万人に達したそうです。参加者人数も予想外なのですが、その他にも気になる点がありました。2003年以前のデモでは、「天安門を忘れるな」、「行政長官は辞めろ」、「景気を何とかしろ」という具体的なスローガンが多かったように思うんですが、今回のデモでは、「告別中共」、「迎接民主」、「天滅中共」なというスローガンが非常に目立っていたことです。(どこかのニュース写真で目撃)
つまり「中国共産党自体が嫌いだから滅亡してくれろ」という、非常にわかりやすいスローガンが増えたのかなぁ?ということを感じたのですが、今後時代の空気を読むのが上手な馬英九がどのようなスタンスで中共と付き合っていくのかが注目されます。
日本のマスコミの注目も大変なものでしたが、「陳政権への批判票」→「民意は中国傾倒」というようなメッセージを外向けに発するような形となってしまったのは甚だ残念です。
Cao Changching氏が危惧していたとおり、馬A級もそれを「民意は中台融和を指向」と都合良く解釈し、早くも居丈高に出てきました。
台北時報の社説はDPPに向けたものでしたが、有権者自身も「宴の後」で我に帰って辺りを見回す向きも多いのではないでしょうか。
平凡会社員様と同様、私も香港の普通選挙を求める民主化デモは絶妙のタイミングで起こったなとニュースを見た瞬間思いました。
「第二の香港化の末路はあれだよ」と言うのでなく、むしろ、かつて自分たちもああして民主主義を勝ち取ったのだという原点を思い出していただけたらなぁと思った次第です。
天安門の翌年、万年国会の解散等民主化を求める学生の座り込みが中正祈念道で行われたそうですが、それを戦車で押しつぶすのではなく、代表を総統府に呼ぶ李登輝という指導者がいたことがどれだけ有り難かったことか。
その時座り込んだ学生達が三十代半ばの働き盛り世代なのですから・・・・