「どこから?」と聞かれ、「南信州から」と答える人がいずれは多くなるのだろうか。昨日「南信州ってどこだ」に書いたが、信州の南の方ならそういう答えもあって不思議ではないし、飯田下伊那の今の流れを見ていれば当たり前のようにそう答える日は遠くないのかも。市町村合併が進んで市域が大きくなることで、この「どこから?」という問いかけにすんなり住んでいる市名を答える人は多くなっているはず。ようはこの問いかけに躊躇する、いわゆる市ではないところに住んでいる者の気持ちは解ってもらえなくなる、ということだ。ほかの地域を訪れた際に、いいや、住んでいる地域でそう問われた時に、どう答えるか、一定の認知度を自分の中で考慮してその答えは出される。今日も安曇野市穂高に立ち寄った際に、おじいさんにそう問われた。まず最初に「伊那から来ました」と答えると、「箕輪のあたりかな」と再度問われる。「箕輪か?」と聞かれるとそれは正しくないので、もう少し具体的に「飯田に近い方です」と答える。それ以上問われなかったのでそれ以上の詳細は口にしなかったが、こんな会話をすることはよくある。地域名称として何を使うべきか、そんな悩みは多々ある。今住んでいるところは下伊那郡北部、いわゆる市域ではない。誰でも知っていそうな「伊那」とか「飯田」という名称を口にすることで、おおよその位置情報は伝わる。このとき市域に住んでいる方なら、「伊那市からです」、あるいは「飯田市からです」と答えれば、それ以上詳細な場所を聞かれることはないだろう。もちろん相手がその地に詳しければ、例えば「伊那のどこかな」と聞かれることはあるだろうが、よその地域を訪れた場合は、地域情報はその程度で話はエンドとなる。しかし、郡部に住んでいる者はどう答えるべきか、と相手の様子をうかがいながら答えを出すことに。
わたしが伊那谷以外の地でそう問われると、「伊那谷です」と答えることはけっこう多い。しかし伊那谷は広いので、その先に問が進むことはよくある。では「伊那谷」よりもう少し解りやすい答えとなると、やはり「伊那」か「飯田」のどちらかを答えにする。エリアとすれば「飯田」なので「飯田」と答えればよいのだが、「伊那」と答えることもたびたび。答えは常に変化する。そのこころ模様の底に何があるのか自分でもわかりかねるが、市域に住まないものの悩みである。市域に隣接していれば例えば「飯田の近所」と答えるのだろうが、そうでもない。とりわけ飯田からも遠い県境域に住んでいる人なら、どう答えるものか。意外にそんな人たちは、郡部でも具体的な町村名を答えるのかも。具体的な市域に挟まれた中間帯だからこそ、悩みとなるのかもしれない。
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