

等高線の図が完成したところで、実際の地図を合成してみた。かつてここで紹介した既存の図を利用して「ハザ干し段数」と「節分に魚を挿す木」を再作図したものがこれらの図である。稲架については、かつて“はさ干し“と題して何度か触れたし、また、「ハザ掛け」と題して下伊那地域の稲架を中心に事例を報告した。多段式と言えば阿南町門原の6段のもの、あるいは阿南町帯川の4段のものなどがあるが、何と言っても11段を数える木曽黒川のものは見事だ。図てもわかるように、バザ掛けの段数はも標高とは関係しないことがわかる。ようは標高が高くても陽当たりが良ければ、多段式にはならないというわけである。
これまで作成した図に、標高とかかわりがありそうな事例がなかなか見当たらないわけだが、無理やり合わせてみたのが、もう1枚の「節分に魚を挿す木」である。あえて言えば「かや・茅・榧」が1000m以上地帯との境界域に見られる。裏を返すと800m域にそれらは多く存在する。そして600m域には「豆殻・大豆の枝」が多い、と言える。

こうして重なりを見せられる図をいろいろ作成してみるのも、GISによる作図の利点である。とはいえ、その関係性を述べられるような地図はなかなか登場しないのが現実。手を掛けるほどに利用頻度は低いというわけだが、いっぽうでGISの利点を使う以上は、こうした重ね図をこの後も作成していかなくては意味がない、ということにもなる。重ね図という観点でもうひとつここに図を掲載した。標高1000m以上と800m等高線、加えてみたのは農振図である。重なりがあるため、農振図を上に載せた例である。南佐久や諏訪、木曽のような地域全体が1000mを越えるような地域はともかくとして、松本平や伊那谷は、標高800mラインが農振地域の境界になっている。同様な視点は、長野地域の東縁部にも言えるほか、上小地域の西縁部なども整合する。







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