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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

続々「犬神」前編

2023-05-01 23:39:15 | 民俗学

 

飯島町七久保新屋敷


 「犬神」については今まで3回触れている。知人から犬神について問い合わせがあって、あらためて犬神を振り返ってみた。『飯島町の石造文化財』(2006年 飯島町教育委員会)に記載のある「犬神」は、以前“続「犬神」”で触れた通り、田切3、飯島2、七久保6、本郷1、計12体ある。それらを一覧にしてみると下記のようである。

1.田切春日平 椰之脇唐沢氏裏田の畦 「犬神」
2.田切春日平 町谷 土村氏祝殿 「犬神」
3.田切中平 観音堂 「白犬㚑 十三年 下平氏」
4.飯島石曽根 諏訪神社 「犬神位」
5.日曽利 松福寺庭 「犬神 文政四辛巳年 二月吉日」(1821)
6.本郷日影坂 「犬神」
7.七久保高遠原 日向沢橋下西 犬霊
8.七久保高遠原 お観音様 「犬神 嘉永六年 丑八月建立」(1853)
9.七久保高遠原 お観音様 「犬神」
10.七久保上通り 中央道ガード西上 「犬神」
11.七久保上通り 大島製材所東方 「犬神」
12.七久保北村 秦野氏 犬神像 「永代守犬 文久元酉八月」(1861)

以上12基である。そして以前「犬神」及び「続犬神」で紹介した3基の「犬神」はこの一覧に記載がない。ただし、記載されている12基をすべて確認できないでいるので、もしかしたらこの12基とわたしの確認した3基には重複があるかもしれない。今後も記載されている12基について確認してみて結論としたい。

 さて、“続「犬神」”では写真で紹介しなかった「犬神」が冒頭のものである。現在の環境は南側が山林、北側が果樹園となっていて、山と里の境界域に建立されている。とはいえ、果樹園もかつては山林内だったのかもしれないから、必ずしも昔から境界域であったというわけではないだろう。しかし、まさに大と里の境界域という印象は強い。この西側の山林内には馬頭観音がまとめて祀られていたりしていて、かつとの道筋であったという印象もある。

 ちなみに「犬神」で紹介した1例目、台石の上に祀られている「犬神」は、昭和時代に隣の家で飼っていた大事にしていた犬が亡くなった際に、供養のために建てたものと言う。そして2例目の「犬神」は「昔からあった」といい、その謂れはわからないという。

続く


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