昔
小学校の通学路の途中に
みんなが「13階段」と呼んでいる階段があった
土手の下から上に抜ける階段で
普段は使わないけど家から駅への近道になっているのだった
みんなの話では
下から一段ずつ数えていって13で登りきると死ぬ、不幸になる
とか
本当は14段だとか
時によって段数がかわるとか
いろいろなうわさがあった
ある日の夕方
僕はお母さんにお使いを頼まれて近所のコンビニに行ったけど
お目当てのものがなくて
店員さんがスーパーならあるよと教えてくれたのでスーパーにいくことにした
「しかたないからあそこ通ってくか」
その時僕ははじめて「13階段」を通った
階段のしたには知らないおじさんが立ってて携帯をいじっていた
ちょっとまよったけど数えながら登った
あと一段で12になった
あれこのままだと13段になっちゃう
足が止まった
黙っていちばん上に足をおいたら
「じゅうさん」
とうしろから小さく誰かが言う声がした
振り向いたけどそこにはだれもいなかった
さっきのおじさんはいたけど男の人の声ではなかった
背中の汗が一気に冷たくなった
家で待つお母さんの顔が浮かんだ
僕は
その男の人が女の子の声色で「じゅう」さん(たぶん韓国の人だ)という名前の人に呼び掛けたのだ
と思い込むことにしてその場をあとにしたのだった
がくぶる
昔の実家の二階部分にいつの間にかホームレスの女性が入り込んでいて亡くなってた夢
高校を卒業するまで住んでいた部屋の天井付近の壁に赤茶色のシミと異臭がして
営繕の人に連絡してみてもらうと
(声はなぜか事務の男性Hだった)
ひとつ上のフロアの空き部屋に
いつの間にかホームレスの女性が
入り込んでいて
押し入れに足を突っ込んだまま亡くなっていて
その死体の液のシミだという
そういえば昔の実家では日中いつも留守でも家の鍵開けっぱなしだったなとか思った
夢の中のせいかそこまでひどい臭いではなく
また亡くなってから腐敗するまでの時間のつじつまとかが合わない気もするが
そのあとなぜかその空き部屋に今の職場の利用者(男性K氏)が入所していて
私はオムツ交換に入ったりしていた
扉が勝手にパタンて閉まったり
その男性利用者も
この部屋なんか気味悪いな
なんて言ってたりしたけど
腐乱死体があった痕跡というか雰囲気はあるが
(まだクリーニングされてない? っていうか連続した時空だった)
若干、汚染されているという感じのレベルだった
高校時代の自分と父となぜか今の自分の職場のことが
ごっちゃになっていた
現実ならかなり洒落にならないシチュエーションの夢だった
介護職にいちばん必要なものは
「初心」だ
就職してはじめての現場で
はじめて誰かの介護するとき
すごくドキドキして
相手のちょっとした表情や言葉にも
敏感に反応するはずだ
この関わりかたでいいのかなって
常に考えているはずだ
長く介護の仕事してると
それが当たり前になって
介護される相手がひとりひとり
違う人間なんだということを忘れてしまいがちになる
介護が単なる作業になる
だから
初心わすれるべからず
ということを
ときどき自分についても考えるのだ