ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

牧歌劇「アミンタ」ってルネッサンスのラブコメ?

2023年04月10日 | 各話末エッセイ
【各話末エッセイ⑤の1】

 クレールさんが連れて来た白わんこ、
名前をティルシといいますが、
16世紀イタリアの詩人トルクァート・タッソ作の
「アミンタ」という劇の登場人物から取られています。

 この牧歌劇「アミンタ」は
タッソが仕えていたフェラーラ公国宮廷の
人々の前で初演されて大好評を博し、
その後イタリア全土へ、
更にはヨーロッパ中にも広まって行きました。



 牧人のアミンタと
狩りガールのシルヴィアは
幼馴染でいつも一緒に遊んでいました。
やがてアミンタはシルヴィアを
恋するようになります。

 ある時、二人がフィッリという少女と
木陰で休んでいた時、
フィッリが蜂に顔を刺されてしまいます。

 シルヴィアがフィッリの顔の傷に
唇を近付けて呪文を唱えると
痛みが消えてしまいました。

 それを見ていたアミンタが
自分の唇も蜂に刺されてしまったと
嘘を付いてシルヴィアからの手当を
求め、恋の傷を深めてしまうのです。

 思慕の痛みに耐えかね、
アミンタはシルヴィアに告白しますが、
彼女から避けられるようになり、
3年の月日が経過します。



 アミンタにはティルシ、
シルヴィアにはダーフネという
頼りになる兄貴分/姉貴分がいました。

 この二人が間に入って、
何とかアミンタの恋を実らせようと
策を練り、ティルシがアミンタに
決行をすすめるという、
ここまではラブコメっぽい流れ
行ってますが…。

 この後、トンデモ級の
大波乱が巻き起こります。


 途中にはダーフネとシルヴィアの恋バナも
ありますが、昔の内館牧子ドラマ(「ひらり」とかの
女子同士の)会話みたい…。😅


 それから、この話って
「ダフニスとクロエ」(ロンゴス作、私もシャガールの
挿絵みたいな絵が描けたらな〜)
「愛の妖精」(ジョルジュ・サンド作←男装の麗人で
ショパンの恋人だった人)
「潮騒」(三島由紀夫作、「その火を飛び越えてこい」
が出て来て「あまちゃん」にも繋がる)

ーの系統に含まれるっぽい雰囲気がある。

 クレールさんとこのティルシは
よく薬を買いに来た男性客が
亡くなった時に引き取った雑種犬で、
名前はその人が付けたようです。