ネットオヤジのぼやき録

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村田がV1に向けて出撃 - 横浜2大決戦プレビュー II -

2018年04月15日 | Preview
■4月15日/横浜アリーナ/WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦
正規王者 村田諒太(帝拳) VS WBA6位 エマニュエレ・ブランダムラ(伊)



ヌジカムとの再戦を制して、無事WBAのレギュラー王座に就いた村田が、いよいよ初防衛戦のリングに向かう。比嘉大吾の体重超過で騒然とする一幕もあったが、「平常心(邪念=余計な色気=を捨てる)」を強調しつつ、「準備に抜かりはない。」と落ち着いている。

直前の賭け率は大きく開いている。挑戦者の戦績(KO率の低さ+実績不足)と年齢(38歳)も影響はしていると思うけれど、スポーツ・ブック上はヨーロッパ・チャンピオンも形無しの体。

□直前のオッズ
<1>BOVADA
村田:-4000(約1.02倍)
ブランダムラ:+1300(14倍)

<2>5dimes
村田:-4750(約1.02倍)
ブランダムラ:+1900(20倍)

<3>Bet365
村田:1.02倍
ブランダムラ:13倍

<4>ウィリアム・ヒル
村田:1/33(約1.03倍)
ブランダムラ10:1(11倍)
ドロー:25/1(26倍)

<5>Sky Sports
村田:1/50(約1.02倍)
ブランダムラ:12/1(13倍)


18歳からボクシングを始めたというブランダムラは、一応アマを経験しているとは言え、大きな戦果を残してはいない。プロで鍛えられた選手と見て、まず間違いないだろう。2007年4月(27歳)に6回戦でデビューすると、7年間で22連勝(5KO)をマーク。WBCの地中海王座(Mediterranean)を経て、2014年7月欧州(EBU)王座を獲得。

しかし2014年12月、現WBO王者ビリー・ジョー・サンダース(英)の挑戦を受け、強烈な右フックを浴びて8回KO負け。サンダースのプレッシャーを受け続け、窮鼠猫を噛む格好で揉み合い込みの打ち合いに応じたが、基本的な体力+パワーの差に弾き返される。

無名選手との6回戦で再起したものの、2015年6月の欧州王座決定戦でまたも8回KO負け。コートジボワールから移住してきた黒人ホープ,マイケル・ソロの強打に耐え切れず撃沈。再び復帰して4連勝。欧州王座の奪還に成功して、キャリアの最終盤にビッグ・チャンスを得た。

KO率の低さから、当て逃げのボクサータイプを想像する方もいらっしゃるだろうが、ヨーロッパ(英・仏・伊)のトップ・ボクサーたちは、現代アメリカの黒人選手たちに比して、一般的に勇敢かつ積極的だ。



比嘉のボディアタックに屈したトマ・マッソン(仏)、井上尚弥に蹂躙されたヨアン・ボワイヨ(仏)も長身痩躯のボクサータイプだが、スタイルそのものは好戦的で打撃戦にも臆せず応じる。ブランダムラも同様で、フットワークや誤魔化しのテクニックが無い訳ではないけれど、ボクシングの上手さと狡さはヌジカムの水準にはない。

「ボクシングに最も大切なものは、パワーではなくインテリジェンス。」

チャンピオンズ・リーグの準決勝で、バルセロナを3-0で沈黙させたローマの快勝を引き合いに出し、「スポーツの世界では、番狂わせは日常茶飯。」とアピール。真剣勝負である以上、常に強者が勝つと限らないのは周知の事実。しかしながら、ブランダムラにどれだけ具体的な対策があるのかは未知数。

一定の距離を取りながらジャブとワンツーを散らし、村田が右を強振するタイミングを狙って、打ち終わりを左フックのカウンターで叩く。あるいは右ストレートを真ん中から突き返す。左ジャブに合わせて、ショートの右ストレートをクロス気味にぶつけて行く。尋常ならざる圧力で潰されたら、無理はせずにクリンチ&ホールド。その辺りが精一杯ではないかと、そんな印象が拭えない。

□チーム・ブランダムラ
左からエウジェニオ・アニュッツイ(チーフ・トレーナー),ブランダムラ,クリスティアン・ケルキ(マネージャー)



村田のスパーリング・パートナーたちにも、珍しく取材が行われている。皆一様にジャブの精度が増したことに加えて、ディフェンスの改善を口にしている。彼らの予想は中盤までに村田のKO勝ちとなっているが、確かにその通りだと思う。ただ勝つだけでは済まされず、内容(勝ち方)が問われる初防衛戦。WBO王者サンダースとの比較も不可避になる。

いつもの通りキツいプレッシャーをかけ続け、バタバタと慌て出す瞬間を待つ。サウスポーの現WBOチャンプは、ロープを背にして踏み込んで来るブランダムラめがけ、得意の左ストレートではなく右フックの強振1発で終わらせた。村田の右が、いつどのように炸裂するのか。崩しのお膳立て(追い詰めるまでのジャブ,追い詰めてからのボディ+上下のコンビネーション)も含めて、さらなる進境を見せて欲しい。

田中繊大トレーナーとの息も相変わらずバッチリで、公開練習では好調さをアピール。4人のパートナーを用意したスパーリングでの動きも良く、ヌジカム戦の時と比べても、追い込みの疲労は感じられない。これまでのところ、調整は順調で死角は無さそうに見える。



御大ボブ・アラムは今回も来日しており、村田の成長を直接その目で確認するつもり。「年内に東京ドームでのゴロフキン戦」をリップサービスしているが、時期はともかく、カネロとの再戦が消滅したGGGとK2プロモーションズにとって、村田とのメダリスト対決は大歓迎だろう。

傘下に収めているエスキーバ・ファルカオ(ブラジル/ロンドン五輪決勝で戦った相手)との激突が先になりそうだが、単なるアドバルーンではないという気も。すべては初防衛戦の出来と結果次第にはなるが・・・。




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□前日計量と予備検診

<1>王者村田(32歳)/前日計量:160ポンド(72.6キロ)
戦績:14戦13勝(10KO)1敗
アマ通算:138戦119勝(89KO・RSC)19敗
2012年ロンドン五輪金メダル
2011年世界選手権(バクー)銀メダル
※いずれもミドル級
南京都高→東洋大
身長:183センチ
リーチ:184センチ
首周:41センチ
胸囲:98.5センチ
視力:左1.5/右1.0
好戦的な右ボクサーファイター

<2>挑戦者:ブランダムラ(38歳)/前日計量:159ポンド1/2(72.3キロ)
戦績:29戦27勝(5KO)2敗
アマ通算:33勝8敗3分け
身長:178センチ
リーチ:179センチ
首周:39センチ
胸囲:99センチ
視力:左1.5/右2.0
右ボクサーファイター


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■オフィシャル

主審:ラウル・カイズ・Jr.(米/カリフォルニア州)

副審:
ロバート・ホイル(米/ネバダ州)
アルフレド・ポランコ(メキシコ)
カルロス・スクレ(ベネズエラ/米フロリダ州在住)

立会人(スーパーバイザー):ジョージ・マルティネス(カナダ/チャンピオンシップ・コミッティ委員長)
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