■1月7日/キャピタル・ワン・アリーナ,ワシントンD.C./WBA世界ライト級タイトルマッチ12回戦
WBA正規王者 ジャーボンティ・ディヴィス(米) VS WBA S・フェザー級王者 エクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ)
思わぬ場外トラブルで開催が危ぶまれかけたものの、迅速なリカバリーで現地入りしたディヴィスの視線は、本命と目される「もう1人のガルシア」に向けられている。
この試合を問題なく乗り切った後、オスカー・デラ・ホーヤが溺愛する長身痩躯のハンサム・ボーイ、”キング(King Ry)”を名乗るライアン・ガルシアとの注目の一番が内定済み。
双方のハンドラー(ゴールデン・ボーイとアル・ヘイモン&メイウェザー)が根深い対立関係にあり、バックに付くメディア(DAZNとShowtime)の問題も絡んで、昨年10月にこのカードが発表された際には、「本当にできるの?」といぶかる声があちこちから聞かれた。
最終的に陽の目を見ることはできなかったが、パッキャオが自ら立ち上げたMPプロモーションズを足場にしてPBCに移ったのは、メイウェザーとのリマッチを何としても実現したかったからに他ならない。
切望して止まないエロール・スペンスとの統一戦が一向に進展せず、業を煮やし続けたテレンス・クロフォードも、GBPと共同戦線を張るトップランクとの契約満了を待って、ボブ・アラムとの関係を清算している(残念なことにそれでもスペンス戦は決まらない)。
試合中継を巡るDAZNとShowtimeの利害調整は、「円満に解決した」と公表されただけで詳細は不明のまま。資金調達に四苦八苦する(?)DAZNが放映権をShowtimeに金銭譲渡したとか、いやその逆だとか、無責任な風聞も漏れ伝わっては来る。
常識的に考えれば、HBOとShowtimeが共同で中継したメイウェザー VS パッキャオ,レノックス・ルイス VS マイク・タイソンの例に倣い、DAZNとShowtimeの共催に落ち着く以外にないけれど、幾ら注目度の高いマッチアップと言っても、今のディヴィスとライアンのPPVセールスは、前述した4強とは比べるべくもない。
600万人とも800万人とも言われるライアンのフォロワーが、そっくりそのままPPVを購入してくれれば、デラ・ホーヤの秘蔵っ子は明日にでもカネロを超えるボクシング長者になれるのだが・・・。
また、G・ディヴィス VS R・ガルシア戦が具体化するのと前後して囁かれ出したのが、メイウェザーとディヴィスの関係解消に関する話題だった。
アル・ヘイモン(PBC)が主要な面子のほとんどを抱えるウェルター級と違って、ライト級の主な顔ぶれはアラム&デラ・ホーヤ連合軍(とエディ・ハーン)が握っている。メイウェザーの傘下に収まっている限り、デイヴィスが望むビッグマネー・ファイトが陽の目を見る公算は皆無に等しい。
「ああ、やっぱりそうなったか。」
昨年暮れ、遂にメイウェザー・プロモーションズからの離脱が伝えられると、多くのファンと関係者が納得した。
◎Gervonta Davis Confirms Split From Mayweather Promotions
2022年12月6日
https://boxing-social.com/news/gervonta-davis-split-from-mayweather/
悪ガキそのままのディヴィスがメイウェザーへの感謝を述べ、円満な契約満了を匂わせているのに加えて、トラッシュトークなら誰にも負けないメイウェザーも、ディヴィスに関してはさほど多くを語っていない。
本当のところがどうなのかはわからないが、今のところ明確な亀裂は表面化しておらず、「ライト級をシメた後の元サヤ」も有り得えるとの印象もありやなしや・・・(?)。
そして、2人のガルシアを首尾良く片付けたあかつきには、マッチルームUSA(DAZN)が誇る統一チャンプ,デヴィン・ヘイニーとの最終決戦が待っている(筈)。
「話し合いは簡単じゃない。誰が135ポンドのNo.1なのか、ヤツが一番良くわかっているからな。でも大丈夫だ。遅かれ早かれ、オレとやらなきゃ済まなくなる。」
気の早いディヴィスは当然ヘイニー戦にも言及しているが、段取り良く進むかどうかは、すべて今回の一戦次第という訳で、直前のオッズを見てみよう。
□主要ブックメイカーのオッズ
<1>BetMGM
ディヴィス:-1200(約1.08倍)
ガルシア:+700(8倍)
<2>5dimes
ディヴィス:-1500(約1.07倍)
ガルシア:+1000(11倍)
<3>betway
ディヴィス:-1587(約1.06倍)
ガルシア:+1000(11倍)
<4>ウィリアム・ヒル
ディヴィス:1/14(約1.07倍)
ガルシア:7/1(8倍)
ドロー:20/1(21倍)
<5>Sky Sports
ディヴィス:1/12(約1.08倍)
ガルシア:8/1(9倍)
ドロー:16/1(17倍)
唖然とするほどのワイド・マージン。ディヴィスの前評判が高くなるのは仕方がないにしても、ガルシアを過小評価し過ぎなのでは?。
ディヴィスが力尽くの突貫スタイルで一気に潰しにかかると、手痛い逆襲を食らって慌てる可能性は低くない。珍しく再戦を口にしたイサック・クルス以上に苦しむ展開も、十二分に想定できると個人的には考えている。
Boxrecの身体データをどこまで信用するのかは別にして、体格差はさほど問題にはならない。140ポンドで戦ったマリオ・バリオスにも、簡単に押し負けなかったフィジカル&パワー以上に、ディヴィスのスピードがサイズの不利を克服してしまう。
タンク必殺のアッパーが今回もまた威力を発揮しそうな反面、ガルシアの鋭い左右の打ち下ろしがディヴィスの顎を撃ち抜き、大きくグラついてたたらを踏むシーンも想像できなくはない。
余り目立たないけれど、ガルシアが放つ右リードの精度も侮れない。内・外を丁寧に打ち分けるだけでなく、角度とタイミング,強弱の変化も巧くて、うっかりしていると強いストレートやフックに変わって飛んで来る。
拙ブログの勝敗予想は、一応ディヴィスの中差3-0判定としておくけれど、超特大のアップセットに期待を抱きつつ試合を見守りたい。
◎ファイナル・プレス・カンファレンス
◎デイヴィス(27歳)/前日計量:134ポンド
現WBAライト級正規(V2),元WBA S・ライト級(V0/返上).元WBA S・フェザー級スーパー(第1期:V2/第2期:V0:返上),元IBF J・ライト級(V1/はく奪:体重超過)王者
戦績:27戦全勝(25KO)
アマ通算:206勝15敗
2012年ナショナル・ゴールデン・グローブス優勝
ナショナルPAL優勝2回
ナショナル・シルバー・グローブス3連覇(ジュニア)
ジュニアオリンピック優勝2回
※アマ時代(シニア)のウェイト:バンタム級
身長:166(168)cm/リーチ:171(175)cm
※Boxrecの身体データが修正されている/()内はM・バリオス戦当時の数値
好戦的な左ボクサーファイター
◎ガルシア(31歳)/前日計量:134ポンド
現WBA S・フェザー級王者(V0)
戦績:19戦16勝(10KO)3NC
アマ戦績:300戦超
2016年リオ五輪代表(初戦敗退)
2015年パン・アメリカン・ゲームズ(トロント/カナダ)銀メダル
2015年パン・アメリカン選手権(バルガス/ベネズエラ)銀メダル
2014年中米&カリビアン・ゲームズ銀メダル
階級:バンタム級
身長:175センチ,リーチ:170センチ
左ボクサーファイター
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■リング・オフィシャル:未発表
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◎ALL ACCESS: Davis vs. Garcia(Full Episode)
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■主なアンダーカード
次期スーパースター候補の1人に数えられるウェルター級の俊英ジャロン・エニス(25歳/29勝27KO1NC)が、ウクライナ出身のカレン・チュカジァン(26歳/21勝11KO1敗)を相手に、IBFの暫定王座決定戦に臨む。
S・ミドル級に転じたデメトリウス・アンドラーデは、2021年11月以来となる復帰戦が168ポンドの初陣となった。相手のデモンド・ニコルソン(29歳/26勝22KO4敗1分け)は、メリーランドの中堅選手。
ウェルター~S・ウェルターで世界を狙うヴィト・ミエルニッキー、同じく東海岸からウェルター級のトップを覗うラシディ・エリス、S・ライト級のライジング・スター,ブランドン・リーらが登場予定。
38歳になるラモント・ピーターソン(元IBF J・ウェルター級王者)が、2018年から2019年に喫した連敗の後、およそ4年ぶりの実戦復帰。6回戦からのやり直しだが、勝算がどこまであるのかは・・・。