■3月1日/両国国技館/WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
前王者 ルイス・ネリー(メキシコ) VS WBC1位・元王者/リング誌王者 山中慎介(帝拳)

ドーピング違反に引き続き、今度は確信犯の体重オーバー。まったく酷い話である。悪質極まりないネリーのやり口に、呆れ果てて絶句するのみ。負けない為なら、どんな手段も厭わない。要するに、そういうメンタリティの持ち主ということだ。
当然のことではあるが、ネリーには当日計量が義務付けられ、58キロ(128ポンド)のリバウンド上限も設定されたというが、ネリーが守る保証などどこにも無い。かつてはライバルとして火花を散らし、日本タイトルマッチ史上に残る名勝負を繰り広げた岩佐亮佑とのダブルメインとは言え、興行の看板はあくまで山中とネリーの再戦。「キャンセルできっこない。」とメキシコ陣営がタカを括り、上限を平然とオーバーするのも想定の範囲内だ。
その時、山中と本田会長はどうするつもりなのだろう。今はただ、ネリーと彼の陣営に、「スポーツマンとしての最後の良心」を期待するほかない。何と情けない話だろうか。
そもそも、ドーピング違反の一件にしても、WBCのお手盛りぶりには開いた口が塞がらない。リナレスのWBC王座について書いた記事にも、ほんのさわり程度に付記したが、エリック・モラレスやフランシスコ・バルガスのケースと同様、WBCにはハナからネリーを処分する気など無かった。
WBCと手を組み、試合前後のランダム・テスト(抜き打ちの尿+血液検査)を担当するVADA(Voluntary Anti-Doping Association/在ラスベガスの民間検査機関)も、本番の数週間前に行ったテストの結果を、試合が終わった後に公表するというのは、いったいどういう了見なのか。
(人間のアスリートにとっての禁止)薬物に汚染牛肉を食べた?。ならば、WBCの世界ランキングに名前が載った選手たちに対して、メキシコ産牛肉を食べては駄目だと通達を出せばいい。WBCのアンチ・ドーピングへの取り組みは、メキシコの有力選手にはまるで用を為さないことがはっきりした。メキシコの王者とトップレベルのボクサーたちは、WBCからドーピングし放題のお墨付きを貰ったに等しい。
だらしが無いのは、JBCも大同小異だ。タイトルを承認するかしないかは、確かに認定団体の個別専権事項であり、WBCがネリーの王座を継続承認するのは勝手である。しかし、公式裁定をどう扱うのかは、開催地を所管する地元コミッションの権限ではないか。何故、試合結果をノーコンテストに改めなかったのか。WBCへの遠慮なのだろうが、安河内事務局長はこれだから信用できない。
具体的に動こうとしなかった、本田会長も同罪には違いないが、多くの心あるファンの皆様には勘違いしないで頂きたい。認定団体が公式裁定に口を挟むことはあってはならないし、仮にJBCが結果をノーコンテストに訂正しても、WBCに拒むことはできないのだ。
いずれにしても、本件に関して正しい在り方を毅然と示したのは、速やかに山中を王者として再承認した上で、自ら作成発表している階級別ランキングから、ネリーを抹消したリング誌のみ。WBCも本来こうあるべきだ。


※参考映像:前日計量の様子
山中慎介vsルイスネリ 前日計量で衝撃の結果が
https://www.youtube.com/watch?v=AeluF1rWcS0
※拙ブログを訪れていただいた皆様には、ネリーの頼りなげな細い上半身を、どうか記憶に止めておいていただきたい。今晩国技館の特設リングに登場するネリーの上半身が、どれほど分厚く変貌していることか。精一杯戻してS・フェザー~ライト級の間がやっとと思われる山中は、S・ライト~ウェルター級まで増量し、溌剌とパンチを振るうであろうネリーと対峙する。
では、テヴィン・ファーマーに判定勝ちを収めてIBF王座を持ち帰りながら、禁止薬物の陽性反応が出てしまった尾川堅一はどうなのか?。あのネバダ州が未だに結論を先延ばしにしているのが不思議でならないのだが、常識的に考えれば、試合結果の訂正と王座のはく奪は止むを得ない。
医療行為が原因だとの尾川の主張に、おそらくウソは無いと思う。けれども経緯がどうであれ、結果的に事前の報告を行わなかったのは事実。「ネバダ州の担当官が話す英語がよく理解できず、医師の診断書と治療に使用した薬物のリストを提出し忘れました。」では通らない。ネリーと山中のリマッチも、日本国内ではなく、カリフォルニアかネバダでやって欲しいと思っていたくらいだ。
ネバダ州が禁止薬物の陽性反応を黙ってお目こぼしするとは思えないが、もしも尾川が無罪放免になれば、画期的な(あってはならない?)判断ということになる。IBFには、アミル・カーンとの再戦に備えた任意のランダム・テストで陽性となり、試合が中止されたラモント・ピーターソンの王座を追認した前科があるけれど、尾川にはどうするだろう。
ピーターソンも陽性反応の原因を医療行為(腕の怪我)だと言い、なおかつそれが第1戦の前に行われたものだと釈明。ピーターソンはあれやこれやと言い訳を繰り返し、ネバダ州の召還を拒否し続けた。WBAは第1戦で敗れたカーンを王者として再承認したが、第2戦を所管していたネバダ州の最終決定を待たず、勝手にやったという点ではIBFと同じムチャクチャな裁定。また、問題の第1戦を所管したワシントンD.C.(ピーターソンのホームタウン)の管理部局は、試合結果を訂正しなかった(公式記録はカーンの1-2判定負け)。
ネバダ州は、2015年の秋以降ドーピング違反の罰則を強化しており、尾川がクロ認定を受けた場合、初犯でも3年のサスペンド(資格停止)+罰金(ファイトマネーの50%以上)を申し渡される。公式裁定はノーコンテストではなく、負けに変更されてしまう。最悪(尾川にとって)の場合、ファーマーが逆転白星で王座に就く可能性も有り。
結論をなかなか出さない状況を考慮すると、何らかの軽減措置も考えられなくはないが、基本的に尾川はサスペンドが明けるまで、アメリカのリングには上がれなくなる。それぐらい、ネバダ,カリフォルニア,ニューヨーク3州の決定は重い。果たして、どんな沙汰が下されるのだろうか。
この話を続けていると、いつまで経っても本題に進まないのでこれぐらいにするが、本来ドーピングテストはコミッションが全責任を負って行うべきもので、有力プロモーターと呉越同舟(ズブズブ)の認定団体が手を出すからややこしくなる。
我らがJBC(日本ボクシング・コミッション)は、事実上JPBA(日本プロボクシング協会=会長さんたちの親睦団体)の下部組織と表してよく、JPBAの実権を握る会長さんたちの顔を潰すような真似はやらないのが通例。海外の統括機関にあれこれ意見できる立場にはないが、ここまで自主性を発揮しないのも困りものだ。
閑話休題。
さて、ネリーの当日計量だが、今日の正午に予定されている。管理栄養士(?)の指導でウェイト調整に取り組み、計量前日までは元気一杯。体重超過は栄養士の指導ミスだと報じられているが、何を調子のいいことを言ってるんだと思う。ネリーのウェイトオーバーは、確信犯(予定通り)の行動と見るのが常道。
※王座はく奪のネリ、栄養士の指導で減量失敗
2月28日/イーファイト
http://efight.jp/news-20180228_280524
ガックリとうなだれているネリーの様子も、写真と記事で伝えられている。だが、こんなポーズにうっかり騙されてはいけない。

減量のキツいネリーは、追い込みの最終段階でリミットまで絞ることを諦めた。山中を返り討ちにする為に、ベルトと引き換えにコンディションを残したのだ。ステロイドの力を借りて世界タイトルを獲り、118ポンドまで身体を削ったら、ヘロヘロに消耗して山中にリベンジされかねないと、平気で王座を放棄する。この程度のチンピラ・ボクサーに、チャンピオンを名乗る資格はない。
「ふざけるな!」
山中でなくとも、まともな神経をしているファンなら、誰もが皆そう叫ぶだろう。
棄権を巡る騒動の責任を取る形で、大和心トレーナーはチーフの座を降り、今回は田中繊大トレーナーがコーナーを率いる。山中はこれまで通りのチーム継続を希望したらしいが、アシスタントへの降格を余儀なくされた。
「山中が引退するなら、自分も辞めようと思っていた。」
進退について悩み苦しんでいたのは、大和トレーナーも同じ。1歩引いたポジションでサポートするのは、当然本意ではないだろうが、事の結末を同じリング上で迎えることが、共に歩んできた戦友のあるべき姿だと、その一線を譲ることだけはできなかったに違いない。


※【神撃 再び】〈上〉山中慎介、3週間悩み現役続行「勝つのがみんなの、僕の幸せ」
2月27日/スポーツ報知
http://www.hochi.co.jp/sports/boxing/20180226-OHT1T50207.html
ウェイトオーバーでコンディションを残し、58キロまでの猶予を与えられたネリーに、山中は勝てるのか?。「有機食品を中心にしたメニューで、汚染の可能性があるメキシコ産の牛肉は食べていない。」とのことだが、いったい誰がそんな戯言を信じるというのか。2月上旬、メキシコ国内でネリーに対するドーピングテストが行われ、陰性だったとの報告もあるが、どんな状況で行われたのかもわからないテスト結果を信用しろとでも?。
自主性の欠片もないJBCの下で試合が行われる以上、WBCが主導するランダムテストなど、もはや何の意味も持たない。ネリーは禁止薬物(ジルパテロール)を使い放題なのだ。ドーピングの専門家が傍にいて、マスキングまで含めた指導をしていると疑ってかかるべき。
こんな馬鹿げた条件下で、山中がボクサー人生の集大成を戦わなくてはならないなんて、あっていい筈がない。怒りとやるせなさとで、まともに考察を述べる気が失せる。ネリーという救い難いボクサーの本質を見抜くことができず、睡眠時間を削って複数の録画映像を繰り返し確認しながら、真剣に試合の行方を考察した己の愚かさを恥じる。今宵の山中に、どうか真の正義が行われんことを切に願う。そして真のチャンピオンに、幸多からんことを。
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□予備検診と前日計量
<1>前王者 ネリー(23歳)/前日計量:120.8ポンド(54.8キロ)
※1回目:123ポンド(55.8キロ)
※2時間後の再計量までに1キロしか落とさず失格,王座はく奪/当日計量の実施と58キロのリバウンド上限が設けられた
戦績:25戦全勝(19KO)
身長:165センチ
リーチ:169センチ
首周:39.5センチ
胸囲:91.5センチ
視力:左右とも1.5
ナックル:左右とも28.5センチ
血圧:128/56
脈拍:60/分
体温:37.0度
<2>前王者 山中(35歳)/前日計量:117.5ポンド(53.3キロ)
戦績:30戦27勝(19KO)1敗2分け
身長:170センチ
リーチ:174センチ
首周:37センチ
胸囲:88センチ
視力:右1.2/左1.5
ナックル:右27.5/左28センチ
血圧:142/82
脈拍:76/分
体温:36.7度

ネリーが当日体重を守らなかった時、浜田代表はどうするのだろう。試合をやらざるを得ない状況は理解するが、本当にそれで良いのか。58キロをオーバーしてきたら、山中は試合をキャンセルすべきだと、個人的にはそう考える。
◎王座剥奪のルイス・ネリは57.5キロ 当日計量、上限を下回る
3月1日/産経ニュース
http://www.sankei.com/sports/news/180301/spo1803010019-n1.html
リバウンドの上限は守ったとのことだが、この後しっかり食べて、さらに体重を増やしてネリーはリング・インする(おそらくS・ライト~ウェルター級)。プロとしての義務と責任をしっかり果たした山中は、目一杯戻してS・フェザー~ライト級の間が限度(推定)。本当なら、リング・イン直前(開始ゴング30分前)にもう一度計量するぐらいじゃないと、本質的にペナルティの意味を為さない。
こともあろうに、ネリーが「体重は作った。」とホザいたそうだ。山中が聞いたら何と思うだろう。「お前、正気か?。」と胸倉を掴んで詰め寄っても不思議じゃない。確信犯のウェイトオーバーが横行する現状について、山中が「ルール(罰則規定)をもっと厳しくしてもいい。」と発言したそうだが、200%同意する。
※目に涙ためた山中慎介「もっとルールを厳しくしてもいいかなと思うし、悔しかった」
2月28日/産経ニュース
http://www.sankei.com/sports/news/180228/spo1802280036-n1.html
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□オフィシャル
主審:マイケル・グリフィン(カナダ)
副審:
アラン・クレブス(米/ワシントン州)
ケヴィン・スコット(米/ノースカロライナ州)
デヴィッド・サザーランド(米/オクラホマ州)
立会人(スーパーバイザー):ドゥエイン・フォード(米/ネバダ州/NABF会長,元公式審判員)
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□TV中継
<1>地上波:日本テレビ系列/19:56~20:54
※番組公式ホームページ
http://www.ntv.co.jp/wpboxing/
<2>BS日テレ:18:00~19:55
※番組公式ホームページ
http://www.bs4.jp/guide/sports/worldpremium/
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□トラヴィエソ”が来日
今回王者陣営には、あのホルヘ・アルセが帯同している。ハードヒットのニュースターが、山中を返り討ちにして初防衛。祝賀ムードに華を添えるべく、トップアイドルの筆頭に位置していたアルセを、メキシコ国内に中継を行うTV局(アステカTV)が送り込んだという次第。

ネリーが連れてきた”新恋人”が一部で話題になっているが、アルセに取材を申し込む国内メディアはおそらく皆無。専門2誌に、短いインタビュー記事が掲載されるのが精一杯か。
ウェイトオーバーによる王座はく奪は、後援するTV局とアルセにとって大きなハプニングだったと推察する。しかし、階級アップを目論むに違いないネリー陣営に必要なのは、ベルトではなく勝利。その為なら、どんな手法も厭わない。
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■ダブル・メインと主なアンダーカード
<1>IBF世界J・フェザー級タイトルマッチ12回戦
王者 岩佐亮佑(セレス) VS IBF13位 エルネスト・サウロン(比)

数多の名勝負,好勝負,熱戦が繰り返されてきた日本タイトルの歴史上、紛れも無くトップクラスの評価を受けて然るべき、屈指の激闘を競った岩佐と山中が、共に世界タイトルを懸けて同じリングに上がる。
昨年3月、山中のV12戦(カルロス・カールソンを5度倒して7回TKO勝ち)に参戦。アンダーカードながらも、2人の揃い踏みが実現した。しかし両雄の立場には、後楽園ホールを熱狂させた決戦(2011年3月)を境に、明と暗に大きく乖離した。
世界に雄飛した山中の後継王者として日本タイトルを獲得し、OPBFのベルトも巻きはしたものの、減量に苦しみ精彩を欠いた試合が続く。そしてようやく実現した世界タイトルマッチ。渡英してリー・ハスキンスに挑むも、王者得意の左フックをまともに浴びて6回TKO負け。
※詳細を見る
□予備検診と前日計量
<1>王者 岩佐(28歳)/前日計量:121.7ポンド(55.2キロ)
戦績:26戦24勝(16KO)2敗
身長:171センチ
リーチ:180センチ
首周:37.5センチ
胸囲:88センチ
視力:左右とも1.2
ナックル:右27.5/左27センチ
血圧:123/97
脈拍:71/分
体温:36.8度
左ボクサーファイター
<2>挑戦者 サウロン(28歳)/前日計量:121.3ポンド(55.0キロ)
戦績:24戦21勝(8KO)2敗1分け
身長:166センチ
リーチ:172センチ
首周:37センチ
胸囲:89センチ
視力:右1.0/左1.5
ナックル:左右とも27センチ
血圧:122/59
脈拍:66/分
体温:37.6度
右ボクサーファイター
□オフィシャル
主審:ケヴィン・チェヴァリエ(シュヴァリエ,米/メリーランド州)
副審:
グレッグ・オルテガ(比国)
中村勝彦(日/JBC)
イアン・スコット(ニュージーランド)
立会人(スーパーバイザー):ベン・ケイティ(豪/IBF Asia担当役員)
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<2>62キロ(136.7ポンド)契約10回戦
元2階級制覇王者 粟生隆寛(帝拳) VS 元WBC S・フェザー級王者 ガマリエル・ディアス(メキシコ)

全世界が注視するメイウェザー VS パッキャオ戦の前夜、同じラスベガスのザ・コスモポリタンのリングに上がり、確信犯のウェイトオーバーにステロイドまで使っていたとは言え、二回りは大きいレイ・ベルトランの強打を浴び、僅か2回で撃沈してから2年10ヶ月。
大きな故障(左足首の腱脱臼=しっかり治さないと癖になり再発を繰り返す)により、長期のリハビリを余儀なくされた粟生は、本田会長から引退を勧められたが、「このままでは引き下がれない。」との思いが強く、地道なトレーニングを継続。ようやく再起に辿り着いた。
そしてその相手は、WBC S・フェザー級王座を奪われたガマリエル・ディアス。指名挑戦者ターサク・ジャンディーン(タイ)の挑戦を受け、自身最高の出来と評しても間違いのない、それは見事なボクシングで完封した後、4度目の防衛戦で迎えたのがディアスだった。
当時のディアスはWBC4位。だがしかし、磐石の安定政権を築くWBA王者,内山高志との統一戦が具体化の兆しを見せていた粟生にとって、ほとんどチューンナップに等しい位置づけ。KO防衛への期待が高まる中、難敵ターサクを撃退した勝利がウソのように粟生は鈍く、ディアスが仕掛けるクリンチ&ホールド上等の乱戦に巻き込まれ、小差ではあったもおの、0-3の判定で大番狂わせの判定負け。
もともと好不調の波が激しく、不出来な試合も少なくなかった。それでもやはり、万が一にも負けてはいけない相手であり、コンディショニングに失敗した粟生に対する本田会長の怒りは、尋常なものではなかったらしい。
9ヶ月のスパンを開け、ライト級に上げた粟生はカリフォルニアで復帰戦を行い、4連勝(2KO)をマーク。4つ目の勝利は、ファン・カルロス・サルガドを中~大差の3-0判定に下したもので、3階級制覇への揺ぎない確信を抱いてラスベガスに渡ったのだが・・・。
ベルトランのドーピング違反が発覚し、試合結果は2回KO負けからノーコンテストに訂正されたけれど、グウの音も出ないほど叩きのめされた現実は、三十路に突入した粟生に重く圧し掛かる。念願していたディアスとのリマッチは、2015年11月にセットされた復帰戦で実現する筈だったのだが、上述した通り足首の大怪我で流れてしまう。
135ポンドでは小兵の部類に入る為、計量後に150ポンド超までリバウンドする選手が珍しくないライト級のトップグループの中で、140ポンド前後のS・ライト級で本番のリングに上がる粟生がやっていけるのか。
62キロ(136.7ポンド)の契約体重は、「今後の主戦場(130 or 135ポンド)を見極める。(粟生自身のコメント)」為の戦いでもある。
※関連記事
<>最終章の始まり――粟生隆寛と八重樫東
2月23日/スポーツニッポン
https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2018/02/23/kiji/20180222s00021000220000c.html
一方のディアスは、初防衛戦で三浦隆司のボンバー・レフトを浴び、早々と王座から転落すると、以降は完全なアンダードッグ路線に入った。ダンテ・ハルドン,エミリアーノ・マルシリ,テヴィン・ファーマー(尾川堅一との決定戦が記憶に新しい),ボブ・マンザナレス,クリスチャン・チンパ・ゴンサレスらに手堅く(?)白星を献上。
ディアスの現状は、リベンジの意味を見い出すことすら困難と言わざるを得ず、5年前余り前の第1戦以上に、「勝って当たり前」「倒して当たり前」の状況が、粟生の心理にどんな影響を与えるのか。
デビュー以来ずっと苦手にしてきた、ラフ&タフの乱戦に再び巻き込まれるようでは、勝敗の結果はともかく、先行きは一気に暗くなる。この日に向けて、初防衛戦が決まった村田諒太、予期せぬドーピング違反騒動が勃発した尾川賢一とともに、年明け早々、沖縄国頭村で走り込みのキャンプを敢行。ハードな9日間を振り返り、「本当にキツいけど、試合が決まって充実していた。」と破顔一笑。
気になるコーナーだが、田中繊大トレーナーが付くのだろうか?。イスマエル・サラスが来日したとの一報は、今のところ無い。
◎粟生(33歳)/前日計量:136.75ポンド(62.0キロ)
戦績:31戦27勝(12KO)3敗1分け1NC
アマ通算:79戦76勝 (27RSC・KO) 3敗
習志野高/高校6冠達成
身長:168.5センチ,リーチ:174センチ
※ディアス第1戦時の予備検診データ
左ボクサーファイター
◎ディアス(37歳)/前日計量:136.75ポンド(62.0キロ)
戦績:61戦40勝(19KO)18敗3分け
身長:174センチ,リーチ:174センチ
※粟生第1戦時の予備検診データ
右ボクサーファイター
※関連記事
<1>2年10カ月ぶり復帰戦へ 粟生隆寛「ここまでやってきたことを無駄にしたくなかった」
2月8日/スポーツニッポン
https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2018/02/08/kiji/20180208s00021000208000c.html
<2>粟生隆寛2年10カ月ぶり復帰へ、因縁の相手と対戦
2月7日/ニッカンスポーツ
https://www.nikkansports.com/battle/news/201802070000812.html
<3>村田諒太、「しんどい中でも動ける体ができた」100キロ超走破の沖縄合宿から帰京
1月18日/スポーツ報知
http://www.hochi.co.jp/sports/boxing/20180118-OHT1T50153.html
前王者 ルイス・ネリー(メキシコ) VS WBC1位・元王者/リング誌王者 山中慎介(帝拳)

ドーピング違反に引き続き、今度は確信犯の体重オーバー。まったく酷い話である。悪質極まりないネリーのやり口に、呆れ果てて絶句するのみ。負けない為なら、どんな手段も厭わない。要するに、そういうメンタリティの持ち主ということだ。
当然のことではあるが、ネリーには当日計量が義務付けられ、58キロ(128ポンド)のリバウンド上限も設定されたというが、ネリーが守る保証などどこにも無い。かつてはライバルとして火花を散らし、日本タイトルマッチ史上に残る名勝負を繰り広げた岩佐亮佑とのダブルメインとは言え、興行の看板はあくまで山中とネリーの再戦。「キャンセルできっこない。」とメキシコ陣営がタカを括り、上限を平然とオーバーするのも想定の範囲内だ。
その時、山中と本田会長はどうするつもりなのだろう。今はただ、ネリーと彼の陣営に、「スポーツマンとしての最後の良心」を期待するほかない。何と情けない話だろうか。
そもそも、ドーピング違反の一件にしても、WBCのお手盛りぶりには開いた口が塞がらない。リナレスのWBC王座について書いた記事にも、ほんのさわり程度に付記したが、エリック・モラレスやフランシスコ・バルガスのケースと同様、WBCにはハナからネリーを処分する気など無かった。
WBCと手を組み、試合前後のランダム・テスト(抜き打ちの尿+血液検査)を担当するVADA(Voluntary Anti-Doping Association/在ラスベガスの民間検査機関)も、本番の数週間前に行ったテストの結果を、試合が終わった後に公表するというのは、いったいどういう了見なのか。
(人間のアスリートにとっての禁止)薬物に汚染牛肉を食べた?。ならば、WBCの世界ランキングに名前が載った選手たちに対して、メキシコ産牛肉を食べては駄目だと通達を出せばいい。WBCのアンチ・ドーピングへの取り組みは、メキシコの有力選手にはまるで用を為さないことがはっきりした。メキシコの王者とトップレベルのボクサーたちは、WBCからドーピングし放題のお墨付きを貰ったに等しい。
だらしが無いのは、JBCも大同小異だ。タイトルを承認するかしないかは、確かに認定団体の個別専権事項であり、WBCがネリーの王座を継続承認するのは勝手である。しかし、公式裁定をどう扱うのかは、開催地を所管する地元コミッションの権限ではないか。何故、試合結果をノーコンテストに改めなかったのか。WBCへの遠慮なのだろうが、安河内事務局長はこれだから信用できない。
具体的に動こうとしなかった、本田会長も同罪には違いないが、多くの心あるファンの皆様には勘違いしないで頂きたい。認定団体が公式裁定に口を挟むことはあってはならないし、仮にJBCが結果をノーコンテストに訂正しても、WBCに拒むことはできないのだ。
いずれにしても、本件に関して正しい在り方を毅然と示したのは、速やかに山中を王者として再承認した上で、自ら作成発表している階級別ランキングから、ネリーを抹消したリング誌のみ。WBCも本来こうあるべきだ。


※参考映像:前日計量の様子
山中慎介vsルイスネリ 前日計量で衝撃の結果が
https://www.youtube.com/watch?v=AeluF1rWcS0
※拙ブログを訪れていただいた皆様には、ネリーの頼りなげな細い上半身を、どうか記憶に止めておいていただきたい。今晩国技館の特設リングに登場するネリーの上半身が、どれほど分厚く変貌していることか。精一杯戻してS・フェザー~ライト級の間がやっとと思われる山中は、S・ライト~ウェルター級まで増量し、溌剌とパンチを振るうであろうネリーと対峙する。
では、テヴィン・ファーマーに判定勝ちを収めてIBF王座を持ち帰りながら、禁止薬物の陽性反応が出てしまった尾川堅一はどうなのか?。あのネバダ州が未だに結論を先延ばしにしているのが不思議でならないのだが、常識的に考えれば、試合結果の訂正と王座のはく奪は止むを得ない。
医療行為が原因だとの尾川の主張に、おそらくウソは無いと思う。けれども経緯がどうであれ、結果的に事前の報告を行わなかったのは事実。「ネバダ州の担当官が話す英語がよく理解できず、医師の診断書と治療に使用した薬物のリストを提出し忘れました。」では通らない。ネリーと山中のリマッチも、日本国内ではなく、カリフォルニアかネバダでやって欲しいと思っていたくらいだ。
ネバダ州が禁止薬物の陽性反応を黙ってお目こぼしするとは思えないが、もしも尾川が無罪放免になれば、画期的な(あってはならない?)判断ということになる。IBFには、アミル・カーンとの再戦に備えた任意のランダム・テストで陽性となり、試合が中止されたラモント・ピーターソンの王座を追認した前科があるけれど、尾川にはどうするだろう。
ピーターソンも陽性反応の原因を医療行為(腕の怪我)だと言い、なおかつそれが第1戦の前に行われたものだと釈明。ピーターソンはあれやこれやと言い訳を繰り返し、ネバダ州の召還を拒否し続けた。WBAは第1戦で敗れたカーンを王者として再承認したが、第2戦を所管していたネバダ州の最終決定を待たず、勝手にやったという点ではIBFと同じムチャクチャな裁定。また、問題の第1戦を所管したワシントンD.C.(ピーターソンのホームタウン)の管理部局は、試合結果を訂正しなかった(公式記録はカーンの1-2判定負け)。
ネバダ州は、2015年の秋以降ドーピング違反の罰則を強化しており、尾川がクロ認定を受けた場合、初犯でも3年のサスペンド(資格停止)+罰金(ファイトマネーの50%以上)を申し渡される。公式裁定はノーコンテストではなく、負けに変更されてしまう。最悪(尾川にとって)の場合、ファーマーが逆転白星で王座に就く可能性も有り。
結論をなかなか出さない状況を考慮すると、何らかの軽減措置も考えられなくはないが、基本的に尾川はサスペンドが明けるまで、アメリカのリングには上がれなくなる。それぐらい、ネバダ,カリフォルニア,ニューヨーク3州の決定は重い。果たして、どんな沙汰が下されるのだろうか。
この話を続けていると、いつまで経っても本題に進まないのでこれぐらいにするが、本来ドーピングテストはコミッションが全責任を負って行うべきもので、有力プロモーターと呉越同舟(ズブズブ)の認定団体が手を出すからややこしくなる。
我らがJBC(日本ボクシング・コミッション)は、事実上JPBA(日本プロボクシング協会=会長さんたちの親睦団体)の下部組織と表してよく、JPBAの実権を握る会長さんたちの顔を潰すような真似はやらないのが通例。海外の統括機関にあれこれ意見できる立場にはないが、ここまで自主性を発揮しないのも困りものだ。
閑話休題。
さて、ネリーの当日計量だが、今日の正午に予定されている。管理栄養士(?)の指導でウェイト調整に取り組み、計量前日までは元気一杯。体重超過は栄養士の指導ミスだと報じられているが、何を調子のいいことを言ってるんだと思う。ネリーのウェイトオーバーは、確信犯(予定通り)の行動と見るのが常道。
※王座はく奪のネリ、栄養士の指導で減量失敗
2月28日/イーファイト
http://efight.jp/news-20180228_280524
ガックリとうなだれているネリーの様子も、写真と記事で伝えられている。だが、こんなポーズにうっかり騙されてはいけない。

減量のキツいネリーは、追い込みの最終段階でリミットまで絞ることを諦めた。山中を返り討ちにする為に、ベルトと引き換えにコンディションを残したのだ。ステロイドの力を借りて世界タイトルを獲り、118ポンドまで身体を削ったら、ヘロヘロに消耗して山中にリベンジされかねないと、平気で王座を放棄する。この程度のチンピラ・ボクサーに、チャンピオンを名乗る資格はない。
「ふざけるな!」
山中でなくとも、まともな神経をしているファンなら、誰もが皆そう叫ぶだろう。
棄権を巡る騒動の責任を取る形で、大和心トレーナーはチーフの座を降り、今回は田中繊大トレーナーがコーナーを率いる。山中はこれまで通りのチーム継続を希望したらしいが、アシスタントへの降格を余儀なくされた。
「山中が引退するなら、自分も辞めようと思っていた。」
進退について悩み苦しんでいたのは、大和トレーナーも同じ。1歩引いたポジションでサポートするのは、当然本意ではないだろうが、事の結末を同じリング上で迎えることが、共に歩んできた戦友のあるべき姿だと、その一線を譲ることだけはできなかったに違いない。


※【神撃 再び】〈上〉山中慎介、3週間悩み現役続行「勝つのがみんなの、僕の幸せ」
2月27日/スポーツ報知
http://www.hochi.co.jp/sports/boxing/20180226-OHT1T50207.html
ウェイトオーバーでコンディションを残し、58キロまでの猶予を与えられたネリーに、山中は勝てるのか?。「有機食品を中心にしたメニューで、汚染の可能性があるメキシコ産の牛肉は食べていない。」とのことだが、いったい誰がそんな戯言を信じるというのか。2月上旬、メキシコ国内でネリーに対するドーピングテストが行われ、陰性だったとの報告もあるが、どんな状況で行われたのかもわからないテスト結果を信用しろとでも?。
自主性の欠片もないJBCの下で試合が行われる以上、WBCが主導するランダムテストなど、もはや何の意味も持たない。ネリーは禁止薬物(ジルパテロール)を使い放題なのだ。ドーピングの専門家が傍にいて、マスキングまで含めた指導をしていると疑ってかかるべき。
こんな馬鹿げた条件下で、山中がボクサー人生の集大成を戦わなくてはならないなんて、あっていい筈がない。怒りとやるせなさとで、まともに考察を述べる気が失せる。ネリーという救い難いボクサーの本質を見抜くことができず、睡眠時間を削って複数の録画映像を繰り返し確認しながら、真剣に試合の行方を考察した己の愚かさを恥じる。今宵の山中に、どうか真の正義が行われんことを切に願う。そして真のチャンピオンに、幸多からんことを。
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□予備検診と前日計量
<1>前王者 ネリー(23歳)/前日計量:120.8ポンド(54.8キロ)
※1回目:123ポンド(55.8キロ)
※2時間後の再計量までに1キロしか落とさず失格,王座はく奪/当日計量の実施と58キロのリバウンド上限が設けられた
戦績:25戦全勝(19KO)
身長:165センチ
リーチ:169センチ
首周:39.5センチ
胸囲:91.5センチ
視力:左右とも1.5
ナックル:左右とも28.5センチ
血圧:128/56
脈拍:60/分
体温:37.0度
<2>前王者 山中(35歳)/前日計量:117.5ポンド(53.3キロ)
戦績:30戦27勝(19KO)1敗2分け
身長:170センチ
リーチ:174センチ
首周:37センチ
胸囲:88センチ
視力:右1.2/左1.5
ナックル:右27.5/左28センチ
血圧:142/82
脈拍:76/分
体温:36.7度

ネリーが当日体重を守らなかった時、浜田代表はどうするのだろう。試合をやらざるを得ない状況は理解するが、本当にそれで良いのか。58キロをオーバーしてきたら、山中は試合をキャンセルすべきだと、個人的にはそう考える。
◎王座剥奪のルイス・ネリは57.5キロ 当日計量、上限を下回る
3月1日/産経ニュース
http://www.sankei.com/sports/news/180301/spo1803010019-n1.html
リバウンドの上限は守ったとのことだが、この後しっかり食べて、さらに体重を増やしてネリーはリング・インする(おそらくS・ライト~ウェルター級)。プロとしての義務と責任をしっかり果たした山中は、目一杯戻してS・フェザー~ライト級の間が限度(推定)。本当なら、リング・イン直前(開始ゴング30分前)にもう一度計量するぐらいじゃないと、本質的にペナルティの意味を為さない。
こともあろうに、ネリーが「体重は作った。」とホザいたそうだ。山中が聞いたら何と思うだろう。「お前、正気か?。」と胸倉を掴んで詰め寄っても不思議じゃない。確信犯のウェイトオーバーが横行する現状について、山中が「ルール(罰則規定)をもっと厳しくしてもいい。」と発言したそうだが、200%同意する。
※目に涙ためた山中慎介「もっとルールを厳しくしてもいいかなと思うし、悔しかった」
2月28日/産経ニュース
http://www.sankei.com/sports/news/180228/spo1802280036-n1.html
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□オフィシャル
主審:マイケル・グリフィン(カナダ)
副審:
アラン・クレブス(米/ワシントン州)
ケヴィン・スコット(米/ノースカロライナ州)
デヴィッド・サザーランド(米/オクラホマ州)
立会人(スーパーバイザー):ドゥエイン・フォード(米/ネバダ州/NABF会長,元公式審判員)
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□TV中継
<1>地上波:日本テレビ系列/19:56~20:54
※番組公式ホームページ
http://www.ntv.co.jp/wpboxing/
<2>BS日テレ:18:00~19:55
※番組公式ホームページ
http://www.bs4.jp/guide/sports/worldpremium/
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□トラヴィエソ”が来日
今回王者陣営には、あのホルヘ・アルセが帯同している。ハードヒットのニュースターが、山中を返り討ちにして初防衛。祝賀ムードに華を添えるべく、トップアイドルの筆頭に位置していたアルセを、メキシコ国内に中継を行うTV局(アステカTV)が送り込んだという次第。

ネリーが連れてきた”新恋人”が一部で話題になっているが、アルセに取材を申し込む国内メディアはおそらく皆無。専門2誌に、短いインタビュー記事が掲載されるのが精一杯か。
ウェイトオーバーによる王座はく奪は、後援するTV局とアルセにとって大きなハプニングだったと推察する。しかし、階級アップを目論むに違いないネリー陣営に必要なのは、ベルトではなく勝利。その為なら、どんな手法も厭わない。
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■ダブル・メインと主なアンダーカード
<1>IBF世界J・フェザー級タイトルマッチ12回戦
王者 岩佐亮佑(セレス) VS IBF13位 エルネスト・サウロン(比)

数多の名勝負,好勝負,熱戦が繰り返されてきた日本タイトルの歴史上、紛れも無くトップクラスの評価を受けて然るべき、屈指の激闘を競った岩佐と山中が、共に世界タイトルを懸けて同じリングに上がる。
昨年3月、山中のV12戦(カルロス・カールソンを5度倒して7回TKO勝ち)に参戦。アンダーカードながらも、2人の揃い踏みが実現した。しかし両雄の立場には、後楽園ホールを熱狂させた決戦(2011年3月)を境に、明と暗に大きく乖離した。
世界に雄飛した山中の後継王者として日本タイトルを獲得し、OPBFのベルトも巻きはしたものの、減量に苦しみ精彩を欠いた試合が続く。そしてようやく実現した世界タイトルマッチ。渡英してリー・ハスキンスに挑むも、王者得意の左フックをまともに浴びて6回TKO負け。
※詳細を見る
□予備検診と前日計量
<1>王者 岩佐(28歳)/前日計量:121.7ポンド(55.2キロ)
戦績:26戦24勝(16KO)2敗
身長:171センチ
リーチ:180センチ
首周:37.5センチ
胸囲:88センチ
視力:左右とも1.2
ナックル:右27.5/左27センチ
血圧:123/97
脈拍:71/分
体温:36.8度
左ボクサーファイター
<2>挑戦者 サウロン(28歳)/前日計量:121.3ポンド(55.0キロ)
戦績:24戦21勝(8KO)2敗1分け
身長:166センチ
リーチ:172センチ
首周:37センチ
胸囲:89センチ
視力:右1.0/左1.5
ナックル:左右とも27センチ
血圧:122/59
脈拍:66/分
体温:37.6度
右ボクサーファイター
□オフィシャル
主審:ケヴィン・チェヴァリエ(シュヴァリエ,米/メリーランド州)
副審:
グレッグ・オルテガ(比国)
中村勝彦(日/JBC)
イアン・スコット(ニュージーランド)
立会人(スーパーバイザー):ベン・ケイティ(豪/IBF Asia担当役員)
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<2>62キロ(136.7ポンド)契約10回戦
元2階級制覇王者 粟生隆寛(帝拳) VS 元WBC S・フェザー級王者 ガマリエル・ディアス(メキシコ)

全世界が注視するメイウェザー VS パッキャオ戦の前夜、同じラスベガスのザ・コスモポリタンのリングに上がり、確信犯のウェイトオーバーにステロイドまで使っていたとは言え、二回りは大きいレイ・ベルトランの強打を浴び、僅か2回で撃沈してから2年10ヶ月。
大きな故障(左足首の腱脱臼=しっかり治さないと癖になり再発を繰り返す)により、長期のリハビリを余儀なくされた粟生は、本田会長から引退を勧められたが、「このままでは引き下がれない。」との思いが強く、地道なトレーニングを継続。ようやく再起に辿り着いた。
そしてその相手は、WBC S・フェザー級王座を奪われたガマリエル・ディアス。指名挑戦者ターサク・ジャンディーン(タイ)の挑戦を受け、自身最高の出来と評しても間違いのない、それは見事なボクシングで完封した後、4度目の防衛戦で迎えたのがディアスだった。
当時のディアスはWBC4位。だがしかし、磐石の安定政権を築くWBA王者,内山高志との統一戦が具体化の兆しを見せていた粟生にとって、ほとんどチューンナップに等しい位置づけ。KO防衛への期待が高まる中、難敵ターサクを撃退した勝利がウソのように粟生は鈍く、ディアスが仕掛けるクリンチ&ホールド上等の乱戦に巻き込まれ、小差ではあったもおの、0-3の判定で大番狂わせの判定負け。
もともと好不調の波が激しく、不出来な試合も少なくなかった。それでもやはり、万が一にも負けてはいけない相手であり、コンディショニングに失敗した粟生に対する本田会長の怒りは、尋常なものではなかったらしい。
9ヶ月のスパンを開け、ライト級に上げた粟生はカリフォルニアで復帰戦を行い、4連勝(2KO)をマーク。4つ目の勝利は、ファン・カルロス・サルガドを中~大差の3-0判定に下したもので、3階級制覇への揺ぎない確信を抱いてラスベガスに渡ったのだが・・・。
ベルトランのドーピング違反が発覚し、試合結果は2回KO負けからノーコンテストに訂正されたけれど、グウの音も出ないほど叩きのめされた現実は、三十路に突入した粟生に重く圧し掛かる。念願していたディアスとのリマッチは、2015年11月にセットされた復帰戦で実現する筈だったのだが、上述した通り足首の大怪我で流れてしまう。
135ポンドでは小兵の部類に入る為、計量後に150ポンド超までリバウンドする選手が珍しくないライト級のトップグループの中で、140ポンド前後のS・ライト級で本番のリングに上がる粟生がやっていけるのか。
62キロ(136.7ポンド)の契約体重は、「今後の主戦場(130 or 135ポンド)を見極める。(粟生自身のコメント)」為の戦いでもある。
※関連記事
<>最終章の始まり――粟生隆寛と八重樫東
2月23日/スポーツニッポン
https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2018/02/23/kiji/20180222s00021000220000c.html
一方のディアスは、初防衛戦で三浦隆司のボンバー・レフトを浴び、早々と王座から転落すると、以降は完全なアンダードッグ路線に入った。ダンテ・ハルドン,エミリアーノ・マルシリ,テヴィン・ファーマー(尾川堅一との決定戦が記憶に新しい),ボブ・マンザナレス,クリスチャン・チンパ・ゴンサレスらに手堅く(?)白星を献上。
ディアスの現状は、リベンジの意味を見い出すことすら困難と言わざるを得ず、5年前余り前の第1戦以上に、「勝って当たり前」「倒して当たり前」の状況が、粟生の心理にどんな影響を与えるのか。
デビュー以来ずっと苦手にしてきた、ラフ&タフの乱戦に再び巻き込まれるようでは、勝敗の結果はともかく、先行きは一気に暗くなる。この日に向けて、初防衛戦が決まった村田諒太、予期せぬドーピング違反騒動が勃発した尾川賢一とともに、年明け早々、沖縄国頭村で走り込みのキャンプを敢行。ハードな9日間を振り返り、「本当にキツいけど、試合が決まって充実していた。」と破顔一笑。
気になるコーナーだが、田中繊大トレーナーが付くのだろうか?。イスマエル・サラスが来日したとの一報は、今のところ無い。
◎粟生(33歳)/前日計量:136.75ポンド(62.0キロ)
戦績:31戦27勝(12KO)3敗1分け1NC
アマ通算:79戦76勝 (27RSC・KO) 3敗
習志野高/高校6冠達成
身長:168.5センチ,リーチ:174センチ
※ディアス第1戦時の予備検診データ
左ボクサーファイター
◎ディアス(37歳)/前日計量:136.75ポンド(62.0キロ)
戦績:61戦40勝(19KO)18敗3分け
身長:174センチ,リーチ:174センチ
※粟生第1戦時の予備検診データ
右ボクサーファイター
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<1>2年10カ月ぶり復帰戦へ 粟生隆寛「ここまでやってきたことを無駄にしたくなかった」
2月8日/スポーツニッポン
https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2018/02/08/kiji/20180208s00021000208000c.html
<2>粟生隆寛2年10カ月ぶり復帰へ、因縁の相手と対戦
2月7日/ニッカンスポーツ
https://www.nikkansports.com/battle/news/201802070000812.html
<3>村田諒太、「しんどい中でも動ける体ができた」100キロ超走破の沖縄合宿から帰京
1月18日/スポーツ報知
http://www.hochi.co.jp/sports/boxing/20180118-OHT1T50153.html