市販の妊娠検査キットの誤陽性・・・

申し訳ない事に清い関係なので、私には全く思い当たりが無いのだが・・・、そんな事を夕食時に質問されてドギマギしてしまう。鈍感な私だが、想像力は人並みレベルなので邪推が邪推を醗酵させていく。娘も一緒に囲む夕食の席で、いきなり衝撃のカミングアウトか？

急に高い山に登った時の様に、ナンダカ空気が薄く感じる。手足の血流不足か？手の平が冷たい。ジーンと急に耳鳴りが聞こえてくる。高山病だろうか？

精一杯平静を保ったツモリで、それは使用方法が間違っている場合が大部分だけれど・・・、そう云う事もある。で、どんな状況で、どうしたら、どうなったのかなぁ？と、ジャブを放つ。

「フカキョンが・・・」

へ？ナンでもドラマの中での話らしい。な～んだ、そうか！ナ～ンダ、ドラマのお話ね？

「ナンの話だと思ったの？」

あ、いや・・・、その・・・、あ！　生徒さんの話かと思って・・・、チョット娘さんの前だから狼狽えちゃって・・・ハハハハハハ

先ず、市販キットの説明書きには月経予定日の１週間後程度から検査可能となっている筈だけど、何かの原因で月経が遅れて排卵期と重なると排卵期に増える黄体ホルモンを胎盤から出るヒト絨毛ホルモンと間違えて交差反応する場合があるんだ。ホルモンって、成分と云うか組成なんかではなく３次元構造・・・と云うか立体の形こそが重要なんだけど、検知する試薬は化学的検知なので構造が違っても似ているホルモンでは誤反応・・・交差反応するんだ。確か、黄体ホルモンとヒト絨毛性ホルモンは、同じユニットと別々のユニットのヘテロダイマー・・・ヘテロ二量体・・・片側は同じユニットを使っているので量が多いと反応しちゃうんだ。

でも、想像妊娠では擬陽性には成らない筈。それと・・・、ドラマの核心に迫っては興冷めカモ知れないけど・・・ヒト絨毛性ホルモン産生腫瘍等が在れば、又は、腎臓疾患でタンパク尿が出ていると擬陽性に成るカモ？

「その後、産科に行って妊娠の兆候は無いと医師に言われているから・・・」

だったら、さっき云った黄体ホルモンとの交差反応か・・・、作用時間が長すぎたかカナ？

試薬だから、或る閾値で陽性反応が出る様に・・・作用時間を決めてある筈だけど、その作用時間を大幅に上回ると・・・閾値以下の成分・・・微量のヒト絨毛性ホルモンか、黄体ホルモンとの誤反応が起きてしまうだろう。産科に行ったって、いきなり超音波で微細な胎胞
を探したりしない。最初に妊娠検査キットで確認をする筈で、その場合は反応時間は厳格にするので・・・。

「ふ～ん」

ヤレヤレ・・・、何故だか判らないけどホッとした・・・