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1089美術部OBOGのブログ

メタボに特効薬?

2009年08月28日 17時36分04秒 | Weblog
メタボに特効薬!? 化合物を発見…京都大など

 脂肪の合成を妨げ、過食による体重増加を抑える化合物を、京都大と東京大などの研究チームが発見した。メタボリック症候群を改善させる薬の開発につながる成果。28日、米専門誌に発表する。

 京大物質―細胞統合システム拠点の上杉志成(もとなり)教授らは、同大学にある約3万種類の化合物の特性を調べるなかで、培養した細胞内で脂肪の蓄積を阻害する物質を発見。「ファトスタチン」と名付けた。

 遺伝子操作で食欲を抑えられないようにした肥満マウスは、体重が約1か月で25グラムから36グラムに急増し高血糖や脂肪肝になったが、ファトスタチンを注射した肥満マウスは、1か月間餌を食べ続けても体重が32グラムに抑えられ、血糖値も正常だった。肝臓などの細胞内で、脂肪が合成されるのに不可欠なたんぱく質に結合し、働きを抑えているらしい。

 上杉教授は「ファトスタチンの構造を一部変化させた物質を作り、安全性を高めれば、糖尿病や脂肪肝などの病気の薬としても利用できる」と話している。

(2009年8月28日 読売新聞)

タミフル 安価な合成法開発した。

2009年08月02日 10時50分38秒 | Weblog
タミフル、安価な合成法 原料供給安定 岡山大グループ
2009年7月30日12時21分(アサヒコム)
 岡山大大学院教育学研究科の石川彰彦准教授(有機合成化学)らのグループが、抗インフルエンザウイルス薬タミフルを安価な原料で合成する方法を開発した。タミフルの製造は植物由来の原料が使われ、供給が不安定で原料代は高騰しがち。石川准教授らは、実験室レベルで2通りの原料から合成に成功。いずれも、原料が安定して入手でき、安価なことが特徴という。

 タミフルは、シキミ科の植物トウシキミから抽出されるシキミ酸を原料に合成。トウシキミは主に中国で栽培されているが、天候に生産量が左右されるうえ、タミフルの需要増加により、枯渇する可能性が指摘されている。

 石川准教授らは、食品添加物に使われる有機化合物「D―酒石酸」と、点滴や錠剤などに使われる糖類「D―マンニトール」から、それぞれタミフルを合成する方法を開発した。石川准教授によると、シキミ酸から合成する場合と比べ、工程数は7~9工程とほぼ変わらず、D―マンニトールの場合は原料価格が3千分の1に抑えられるという。今後は実用化に向け、合成の効率を高めるなど改良を重ねるという。

 タミフルは2017年ごろには特許が切れ、後発医薬品(ジェネリック)としての製造販売が可能になる。国内外で10以上のグループが、シキミ酸を用いない新規合成法の開発に取り組んでいる。

「虫下し」特効薬となるか

2009年08月02日 10時46分19秒 | Weblog
「虫下し」特効薬となるか
 がん治療に新たな可能性
 慶大と国立がんセンター
 回虫とがん細胞 体内生存に共通戦略
 現代の日本人には縁遠くなった、回虫の「虫下し」のための薬が、がんの特効薬として復活するかもしれないー。そんな可能性を示す成果を、慶応大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)や国立がんセンター東病院(千葉県柏市)の共同研究チームがまとめた。回虫もがん細胞も、酸素が少ない体内で生き延びるのに似た戦略を取っている可能性が高いからという。
 今回の発見を可能にしたのは、細胞内にごく微量存在する分子を、一気に数千種類も計測できる「メタボローム解析」という最先端の技術。曽我朋義慶応大教授は「この解析手法は医薬や食品、農業、環境まで、生物に関するすべての分野に応用が可能です」と話す。
 メタボロームとは、細胞内で物質やエネルギーを作りだす代謝反応でできる物質の総称で、アミノ酸や糖、脂質などの低分子が主なもの。細胞内に数千種類存在するとされ、これらを網羅的に調べれば、細胞がどんな状態にあって、内部でどんな反応が起きているかを知ることができる。
 「メタボロームは、遺伝子やタンパク質が働いた結果の最終産物。わたしたちの体に起きる現象がダイレクトに見える」(曽我教授)
 ◇◆◇
 曽我教授らは、長さ約1㍍、直径約50マイクロ㍍のガラス製の毛細管を使った解析装置を開発。管の片方の端に、細胞から抽出した液を入れ、両端に3万ボルトの高電圧をかける。すると、代謝物が電荷や大きさによって分離され、内部に散らばる。これを反対側から取り出しながら、接続した質量分析装置に次々と送り込み、物質の種別や濃度を一気に測る仕組みだ。
 「質量は同じで性質が異なる『異性体』も区別できる。毛細管から質量分析装置への橋渡しも工夫をこらした」と曽我教授。江角浩安国立がんセンター東病院長も「世界の常識を超える新技術だ」とたたえる。
 江角院長らは2004年、培養した膵臓(すいぞう)がんの細胞を虫下し薬にさらすと死滅することを発見。がん細胞と回虫の共通点を調べ始めた。
 回虫は、酸素が豊富な場所にいる際は、酸素呼吸するほかの生物と同様の代謝でエネルギーを生産する。しかし酸素の少ない小腸では、特殊な代謝を利用するよう代謝経路を切り替える。
 ◇◆◇
 研究チームは「がん細胞が酸素の乏しい環境下でも盛んに増殖できるのは、回虫と似た代謝をしているためでは」と推測。大腸がんと胃がんの患者から切除した組織で、がん細胞と正常な細胞の代謝物を比較した。
 その結果、がん細胞には、回虫と同様の特殊な代謝をした場合にたまる「コハク酸」が蓄積していた。胃がんに比べ、より酸素の少ない環境にできる大腸がんの方が、コハク酸が多いことも判明した。虫下し薬は、特殊な代謝をブロックすることで、がん細胞を殺すらしい。
 曽我教授は「コハク酸を代謝する酵素を阻害する薬剤は、正常細胞には作用しないため、副作用の少ない抗がん剤につながる可能性がある」と期待している。
(静新平成21年8月2日(日)「科学」)