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1089美術部OBOGのブログ

エフェドリンの発見者

2011年07月10日 12時07分44秒 | Weblog

 

長井長義(ながいながよし)さん

ぜんそくの特効薬 漢方薬から化学式導く

 日本薬学の父と呼ばれ、薬学研究者らでつくる「日本薬学会」初代会頭をつとめた長井長義(ながいながよし)さんは、ぜんそくの特効薬として世界中で使われている「エフェドリン」の発見者です。

 有機化学の専門家で、同学会の前常任理事平井功一(ひらいこういち)さんは「わたしたち研究者にとって、超伝説的な人」と評します。

 幕末の徳島藩に仕えた医師の家に生まれた長井さんは、誕生間もない明治政府の第1回国費留学生としてドイツに渡り、約13年間、有機化学を学びました。

 1884年帰国。東京帝国大(現・東大)教授や大日本製薬合資会社(現・大日本住友製薬)技師長などに就いていた長井さんは、翌85年に、古くから漢方薬として使われていた「マオウ」と呼ばれる植物からエフェドリンを分離し、分子構造を突き止めて化学式を決定、人工的な合成にも成功しました。

 ただし、気管支ぜんそくの発作を抑えるなどの効果があることは、さらに40年近くたった1924年に海外の研究者が明らかにしました。

 これを機に27年、名前にちなんだ気管支拡張・せき止め剤「エフェドリン『ナガヰ』」が発売され、今でも一般のかぜ薬などに改良型のエフェドリンが入っています。

 平井さんは「化学式が正しいか、簡単に確かめられなかった時代の成果ですごいことです。エフェドリンの化学構造は基本的なもので、これを基に改良や薬効のメカニズムの解明など、その後の化学研究につながっていきました」と話します。

 故郷の徳島大薬学部が中心となって製作された、半生をえがいた映画「こころざし」が今年3月に完成したばかりです。

【静新平成23710()「発明発見伝」】