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ネット坐禅会・29・・・曹洞宗の教義・修証義

修証義

戒を守ることを前面に出した教化方針は、お釈迦様から正しく伝わっている「教え」であることが必然となり、その教え=→=つまり戒を受け継ぎ、守っていく誓いが大切になります。このことを発心(発菩提心)と呼び、誓いをして約束することを「得度」「受戒」「帰敬」(入信)と名付け、「血脈」を授与する慣習につながりました。実はこの手法は、葬儀儀式が一般民衆に行われるようになった室町期あたりから、「没後作僧」としてすでに行われていたものでした。これを生前に行うことで、急速に信仰心を高めようとするものでした。

そんな中で、在家向けの教化用経典として制定された『修証義』ですが、いつの間にか宗派の根本的な教えとして広く普及し、昭和20年代には、曹洞宗の教義として『修証義』の趣旨が規則にも明文化ました。しかし、この教義の根底には、只管打坐、非思量の坐禅の精神が伴っての、仏戒に生きるものでなければなりません。そのあたりの構造の仕組みを、布教展開する僧侶は、充分に自覚し、資質を備えていなければならないのです。

例えば、水鳥は、水面から見れば優雅に静かに進んでいるように見えます。しかし、水面下では足先のヒレを最大限生かして懸命に水を掻いていく行が伴わないと進めません。禅の精神は、いわば水鳥の足かきのようなものです。

『修証義』による教化に当たっては、このことは心しておかないといけないことだと思っています。『修証義』の制定に尽力された大内青巒師も、この意味を強調されていました。当時の明治期の社会的状況からも、このような流れはやむを得なかったことと思いますし、只管打坐の実践を勧めることは難しかったかも知れません。結果的に、『修証義』は、民衆に親しみやすく、生活の指針として大きな牽引の力を発し、日本最大の教団に押し上げた最大の要因と考えられるのです。

『修証義』の構成は次の通りです。

1.総序   仏教の基本(生死即涅槃、無常、縁起)を述べ、行いは必ず還元されると警告する。

2.懺悔滅罪 反省し懺悔する生き方は、自他を救うので、み仏に誓うと罪は軽減される。

3.受戒入位 三宝(悟り、その教え、教えに導く組織)を大切にし、教えにしたがえば仏となる。

4.発願利生 仏心という大切なことを願い実践することで、人々に喜んでもらえる生き方となる。

5.行持報恩 み仏への感謝の心の実践(禅の心の実践)こそが、多くの恩恵への報いとなる。

このように5章から成り立っていますが、2~5を四大綱領と呼んで、曹洞宗の教義としています。 

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