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ネット坐禅会・34・・・修証義の内容・発願利生

16条の項目の、はじめの3(三宝帰依)と次の3(三聚浄戒)は、おおまかな基本を見方を変えて示したもので、最後の10(十重禁戒)が、仏教徒として守るべき具体的な項目でした。つまり、してはいけないことです(律儀戒)。一方、(善法戒)として、善いことをすすんで行う具体的な方策は示されていません。ここは、禅の精神を示す必要があると思います。調身・調息・調心の三調こそ、重要な項目と言えます。三番目の(衆生戒)は、実は『修証義』の第4章に説かれているのです。

発願利生

第4章の冒頭です。

菩提心を発(おこ)すというは、ほとけ心に目覚めた生き方をするということは、
己れ未だ度らざる前に 自分本位の心を捨て、
一切衆生を度さんと発願し営むなり、人のため世のため、生きとし生けるもの全てのもののために尽くすという誓願をおこし、実践することである。

この心を「自未得度先度他」の心と言われ、「自分はまだ仏様のような境地には至っておらず、手助けすることはできないかも知れないが、せめてみほとけ様の心を真似て、出来得る限りの応援をしたい」という願いです。これを「発願利生」(衆生の利を願って心を発信すること)と言います。

『修証義』では、4章のほとんどを使って、道元禅師の説かれた『正法眼蔵菩提薩埵四摂法』から引用して、四つの慈悲心の行動について述べています。

一、布施 見返りを求めず、物心にわたり施しをする

二、愛語 幸せを願い、慈愛の言葉をかける 

三、利行 幸せを願い、役に立てる行いをする

四、同事 同じ目線に立って、喜びや悲しみを共有する

仏教の慈悲の精神を四つに集約したもので、1と4は、表裏一体の精神で、他人事と考えず、我がことと捉えるために(同事)、当然、損得を抜きにして何か出来ることを発する心(布施)が生ずる。さらにこの動きは、言葉や行動(愛護・利行)となって動き出さずにはいられなくなること。これが四摂法で、「摂衆生戒」の具体例をあげています。この精神は、人々の共感を呼び、『修証義』が尊ばれ、民衆に支持された大きな要素となりました。

コロナ危機の昨今、大切さを強く感じます。

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