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The World Ⅳ ~げんしけん(アニメ版)~

2004年10月20日 01時31分43秒 | 世情雑感(サブカルチュア)
 久しぶりに、この「The World」を再開して見たいと思う。本日分析の対象とするのは漫画版は以前に分析を行った「げんしけん」(原作:木尾士目、講談社)である。今回は10月からアニメ版の放送が週末地方局深夜枠で始まった事を記念して(?)アニメ版の特徴とでも言える部分の分析を行ってみたいと思う。
 対象とするのは第2話「消費と遊興による現代青少年の比較分類」という長く社会学的且つ経済学的な題名であり極めて興味深いが、この話だけに着目する訳ではない。この「げんしけん」だがアニメ内アニメである「くじびきアンバランス」の素晴らしい(独自のアニメとしても十分に通用出来るのではないかと言う)出来に視点が集まりがちであるがちであるが、よく見ると作品内部には現実世界に存在するゲームやフィギィア等が描き込まれているのである。そして、秋葉原という街、しかも現実に存在する同人誌ショップである「とらのあな」でのショッピングの描写は秀逸である。背後で流れる音楽はまさに現実に店内で流れる曲が流されている。しかし、注目すべきなのはそこではなく、この秋葉原の「とらのあな」での同人誌を買う行動と原宿で服を買う行動が、消費行動として考える場合は本質的にまったく同じであるという恐るべき真実が提起されているのである。これは、しばしばオタクと自称する人々が自身の行動を一般人と異なっていると解釈する自己中心的世界を構築することが、実際には一般社会においてもそれと同様の行動が行われている事を示しているのである。
 また、オタクというものが現実には存在しない関係性(幼馴染であるとかの部分である)というものを無意味に議論するという描写もあるが、このような会話を実際レベルでどの程度展開しているのかと言う部分には疑問がある(是は、単純に小生がそのような部分に着目しないだけからかも知れないが)。このような描写の点において秋葉系漫画とこの「げんしけん」は評される訳であるが、実際面では秋葉系と単純に言い切れない部分もあるだろう。秋葉系には単純にその作品のみに傾注し、それを否定する事が出来ないUGU(うぐぅ)と新たな地平を開拓し続けるUG(アンダーグラウンド)の二者が存在しているからである。しかしながら、UGUと言う部分を部分的に描き出しているとは言えるだろう。
 一方でこの「げんしけん」における一般人である「春日部」の存在について様々な面での指摘がなされていることは事実である。「春日部」が当初、「高坂」の家にあった年齢制限仕様のゲームの存在に気付かなかったり、秋葉原を家電を売る電気街であると思っている事等は別に可笑しい事ではない。このようなジャンルに関心がない人にとって、オタクが関心を持っている存在とはその程度の存在だからである(美少年オタクの「高坂」こそありえない存在だと言う意見もあるが、このタイプのオタクもまた厳然として世の中には存在している)。その半面で、オタクに近い(アニメや漫画、ゲームに関心を抱いている)人々こそがオタクを批判する(一種の自己弁護の為にである)という指摘もなされている。或る意味でオタクという存在を描いているこの「げんしけん」は、この作品をどのように解釈するのかと言う点において「内輪受け」世界である「The World」の住人であるか否かを峻別する踏み絵の役割を提示しているとも言えなくもないだろう。

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