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イタリア史上、もっとも、効率主義な支配者・征服者として、有名な、はず、のチェザレ・ボルジアの話。
アマゾンレビューによると、第3の男のある台詞で有名とのことだが、ぼくが知ったのは、もちろん、ニッコロ・マキャベリの君主論である。
君主論には、たびたび、冷酷かつシステマティックに支配権を獲得し、安定支配を行う為政者として、チェザレおよび、ボルジア家関係者の名前が出てくる。
しかし、世界史をまともに取っていない(世界史Aで中国史まで)のボクには、イタリア史など、何のことやら、さっぱりである。
君主論は何度も読みまくり、カバンに入れっぱなし、電車が止まったりしたら取り出して読むバイブル的な扱いにもかかわらず、マキャベリ自身がある種、心酔するチェザレのことは、全く、わからないままだった。
最近、モーニングで連載されているらしく、再度、興味がわいたので、図書館で確保したのが、これ。
塩野さんの本は多分、カエサルか何かを読んだことがあるような気がするが、自信はない。
多分、歴史本を読み漁っていた大学学部時代のことだろう。
数から考えるに、有名なのは、ローマ人の物語あたりか?
ともかく、ボルジア家および、チェザレのことがざっとわかった上に、当時のイタリア情勢までわかって、なおかつ、読み物、小説としても、充分面白い本である。
高校生のころに読んでいても面白くなかったかもしれない。
大学生以上で面白い、楽しめる本だと思う。
もちろん、歴史大好き、西洋史大好き、戦記大好きノヒトは、高校生でも充分、楽しめると思うけど。
この本を読んで思ったのは、目的のために手段を選ばないを嫌われるのは、実は、直接ダメージを受ける人だけだよな、ということ。
民衆は、案外、チェザレ大好きなんだけど、後世の教会判断で悪とされているわけで、おおっぴらにスキっていえない。
だって、民衆にとって見れば、土木工事はしてくれるし、略奪は禁止するし、本人はかっこいいし、徴兵を除けば、いいとこばっか。
徴兵にしたって、為政者を気に入っているから、参加も割と積極的だったみたいだし、あれだな、こういう為政者をヨシと、すると、自分たちの立場が悪くなる人間の、考えでかなり捻じ曲げられているなーという雰囲気。
チェザレのやってることって、どこの国の封建社会を改革するときでも、起こることで、日本でも、武田信玄や斉藤道三、そして、織田信長と、ああいう人達と共通点がある。
やっぱり、近隣諸侯には嫌われているし、民衆には好かれている。
どっちの利益を削るかというのは、大変難しい問題だねーと、しみじみ思う、話だ。
そいえば、この本読んでいて、このころの傭兵隊長や傭兵って、国持ちの近隣諸侯による、割と騎士道精神的な行動(金銭報酬あり)なのね、と。
傭兵ギルド(偏見・希望)じゃないんだ(笑)。
(写真なし)