私立女子校の進化 ～共学化と高校募集のウラ側～

[2023年9月25日 更新]

中学部のある私立校は大きく3つに分けられる
 ・高校部から入学できない完全中高一貫校
・高校部から入学できるが、その割合が小さい
 ・高校部から入学でき、その割合が大きい


豊島岡女子学園は2022年度入試から、高校募集を停止した。
広尾学園小石川高校は2024年度入試から、高校募集を停止する。
東京農大第一高校は2025年度入試から高校募集を停止予定だ。

これらの学校は、高校受験がなくても中学校で生徒を集められると判断したから、高校募集を停止するのだ。
その方が全員に6年間の一貫教育ができ、大学合格実績なども出しやすくなると考えたのだろう。

逆に中学部で生徒を集められない私立校は、高校募集で集めるしかない。
2020年に中学部を廃止を決定した杉並学院。理由はズバリ生徒減だ。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/09/23/05.html


今回は、中学からの内部進学生の割合が低く、高校から入ってくる生徒(高入生)の多い私立女子校を見ていく。
要望が多ければ、男子校・共学校もお伝えする。

東京23区内の私立校のみ。数値は晶文社「首都圏中学受験案内2024年度用」から引用した。生徒数は2022年9月時点での調査のもの。

◆高入生の割合が最高なのは瀧野川女子
瀧野川女子学園　95.0％
東京女子学院　94.1％
愛国　91.8％
国本女子　86.2％
東京家政学院　85.1％
淑徳SC　84.4％
佼成学園女子　84.3％
神田女学園　84.0％
富士見丘　81.9％
東京家政大附属女子　81.7％

北豊島　78.6％
京華女子　72.2％
トキワ松学園　69.2％
文京学院大女子　64.4％
日大豊山女子　62.3％

玉川聖学院　58.0％
麹町学園女子　54.3％
慶應女子　52.0％
江戸川女子　50.0％
川村　42.6％
中村　40.8％

女子美術大附属　39.5％
十文字　28.4％

瀧野川女子が1位。中学3学年の生徒数が31名。1学年平均10名である。
それでも2023年度中学受験では、のべ32名が受験して合格は19名。面接もあり、落とすべき生徒はふるいにかけられているのだ。
15年ほど前は1学年20人以上いたのだが、近年は寂しい限りである。

2位は東京女子学院。もちろん麹町にある女子学院(JG)とは無関係。
こちらは瀧野川と違い、2023年度中学受験ではのべ71名の受験者が全員合格している。

慶應女子高校は慶應義塾中等部からの内部進学がある。高校への内部進学率はほぼ100％。
慶應義塾中等部の女子合格枠は50名強と狭い（男子は130名くらい合格する）

だから高校入学できる枠が100名ほどあるのはありがたい。
都内の女子高校では最難関。

◆女子校から共学化すると生徒が集まる
東京女子学園、星美学園、村田女子、小野学園女子、武蔵野学院女子、千代田女学園、戸板女子など、中学受験では受験生が集まらず学力面で苦戦していた私立中が学校名変更＋共学化によって生徒を集めるようになった。
ちなみに上記の8校、今の名称は分かりますか？

東京女子学園　→2023年から芝国際中学校・高等学校
星美学園　→2022年からサレジアン国際学園中学校・高等学校
村田女子　→2021年から広尾学園小石川中学校・高等学校
小野学園女子→2020年から品川翔英中学校・高等学校
武蔵野学院女子　→2019年から武蔵野大学中学校・高等学校
千代田女学園　→2018年から千代田国際中学校・武蔵野大学附属千代田高等学校（中学校は2022年から）
戸板女子　→2015年から三田国際学園中学校・高等学校

大きな生徒増があったのは東京女子学園、村田女子、戸板女子だろう。

千代田女学園は高校部共学化したときは良かったが、中学部を作った2022年度は高校部の入学数が激減。
2022年度の高1生徒数は67名しかいない。高2は173、高3は265もいるのに。

中学と高校で名前を変えるのは分かりづらい。
村田女子(現 広尾学園小石川)が小石川女子中学校・村田女子高等学校と異なる名称にしたものの生徒の大幅増には至らず。結果、中学部の募集停止に至った事実もある。

時代の流れか、女子校の共学化は進んでいる。

そんな中、難関中学と呼ばれる女子校を共学化する話はいっさい聞かない。

ここまで読んだ皆さんなら、その理由は分かるでしょう。