松田敏子フラワーデザイン・徒然ローズガーデン

予定より長生きしている今を憂いながら、怒りながら、笑いながら楽しむ。

子供の日・4

2015-05-05 19:47:58 | その他
天声人語より

99年前、大正5年にインドの詩聖タゴールが日本に来た。

アジア初のノーベル文学賞詩人は行く先々で歓迎され

求めに応じて短詩や警句をいくつも残した。

それらを集めた詩集「迷える小鳥」(藤原定訳)に次の言葉がある。

「どの赤ん坊も、神はまだ人間に絶望していないというメッセージをたずさえてくる。」

第一次世界大戦の戦火が欧州を覆っていた。

人類を憂えた祈りの言葉だったかもしれない。

どんな時代であれ、新しい命はそれ自体が未来そのものだ。

いつどこに生まれ、誰を父母とするかは選べない。

なのに、そのことがもたらす落差は痛ましい。

世界では小学校に通えない子が約5700万人にのぼる。

5歳から14歳の15%が児童労働に就かされている。

国内の格差もゆゆしさを増す。

子どもの貧困の話を聞かぬ日はなく、

貧しさは固定化の傾向にある。

幼くして先が見えてしまう社会に、希望はあるだろうか。

タゴール来日と同じ年、経済学者の河上肇は

「貧乏物語」を本紙に連載して反響を呼んだ。

貧乏とは何かについて、大意こう言う。

「生まれ持った天分を伸ばしていくのに必要な物資を得ていない者は

すべて貧乏人と称すべきだ。」

機会の平等に通じる言葉ででもあろう。

育つ力をもれなく支える仕組みを心底考えたいときだ。

産声とともに決まるのは親と故郷くらい。

あとは資質と努力でどうにでも。

そんな社会は大人の責任でもあろう。

きょうは新緑まぶしい季節におかれた、こどもの日である。




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