とんとんのヒトリゴト

のんびり成長中のムスメの成長記録と趣味や日々の徒然話など。

講演会を聞いて思う

2009-11-03 | 学校生活(2年生)
あっと言う間に11月に突入しましたね。すっかりブログがお留守になってすみませんでした(汗)

さて、先日PTA主催の講演会を聴く機会に恵まれました。PTA主催とはいえ、都知P連(東京都知的障害特別支援学校PTA連合会)としての講演会だっただけに、用意されたのは学校ではなくちゃんとしたホールでびっくり!
なかなか大がかりな講演会でした。

で、今回の講師は長年地域で障害児を対象とした療育を行っている発達クリニックの所長でもあるA先生。
テーマは「人とかかわる力を育てる」という所から、コミュニケーションスキルの一つとして取り入れているAAC・・・具体的にいうと、マカトンなどのサインやPCSなどのシンボル(カード)などによる支援方法についてでした。

何度かこのブログでもぼやいたことがありますが、障害児に対しての指導方法として、様々な物があります。TEACCHやABA,マカトンもその一つですが、基本にあるのは「カードやサインによる視覚的な要素を使う」って事なんですよね。

ただ、カードやサインを見ると言うことが苦手なぶーちゃんには、この指導法はあまり向かないのではないか・・・というSTの先生の意見もあり、我が家では一切この手の絵カードを使ったことがありませんでした。

とはいえ、興味が消えたわけでもありません。
なので、今回の講演をとても楽しみにしていたんですよね~。

さて、講演の内容ですが・・・興味深いポイントをいくつかピックアップしてみました。

まず、一つ目。
表面的な言葉にだまされずに、その裏に隠されている子供の気持ちを代弁する。

例えば、子供が病院で「プールに行きたい!」とだだをこねたとする。
でも、これは本当にプールに行きたい訳ではなくて、病院にいるのがイヤで仕方がないからそんな風に言っているだけなんだそうなんです。
そして親は本当はここにいるのがイヤだからそう言っているのを理解しているけれど、「プールはやっていないからまた今度ね」みたいな感じで受け答えする。
一見やりとりが出来ているように見えるけれど、これではだめだという話なんですね。

こういう場合は子供の隠された気持ちを「本当は病院がイヤなんだね」ということをきちんと言葉で代弁してあげて、その上で「そう言うときは「イヤだ」って言うんだよ」と正しい伝え方を教えてあげる。

なるほどね・・・耳の痛い話です(汗)
ついつい私も頭ごなしに言ってしまうことがあるし、分かっていてもそんなに優しく応対できないことも多いのでね・・・。
でも、そういうやりとりを繰り返していくことで、正しいコミュニケーションの取り方を覚えていくと言うことには納得です。

二つ目が音声によるコミュニケーションの取り方

障害があるお子さんで、コミュニケーションを取るときに問題になるパターンとして

1.相手の言っている音声言葉自体は理解できているが、自分からは気持ちを言葉にして伝えることが苦手
2.相手の言っている音声ことばを理解することが難しいし、自分から音声言葉を発することも難しい

があるそうなんですが、カードやサインなどの視覚的要素を取り入れると良いタイプは2番目のタイプだそうです。

ぶーちゃんはどっちかなぁ・・・と思ったのですが、最近は大分私たちが言っている言葉を理解して動いてくれている感じがするので、どちらかといえば1番のような気がするんです。

あら、やっぱりサイン系はイマイチって事なのかもしれないなぁ~(苦笑)

で、その後は具体的にどんな支援方法があるかを説明し、実際どんな風に使っていくかの話になりました。
まぁ、どんなサインがどんな意味を持つかとか、イラストと言葉を組み合わせたボードなど、色々あったのですが正直な気持ち・・・どの支援方法もある程度のレベルを要求される物ばかりで、自分自身がこれをやったらいいんじゃないか!って思えるような物はなかったんです。

絵カードだって見ないし、あいうえおボードなんてもってのほか。

以前学校で言語アセスメントと呼ばれるテスト(厳密に言うとテストではなく、現時点の能力を評価するものらしいのですが、これについてはまた後日)を受けたことがあります。
その時、実物のコップやバナナを見たぶーちゃんに「コップはどれ」と聞けば、ぶーちゃんはぱっとコップを選んでくれました。
けど、コップやバナナの絵カードを見せて「コップはどれ」と聞いても、反応しないんです。
それは単なる「カード」であって、ぶーちゃんはそれを叩いて楽しむだけなんですよね。

ま、そんな子にカードでの支援と言われてもねぇって気分になった訳です。

ただ、この手のグッズを作成するときに気をつけなくてはいけないことがあるそうなんです。
それは「本人が意思表示する為に必要な物」なのか、それとも「親や支援者が本人に自分達の意志を伝える為に必要なのか」と言うことをはっきり分けて作成しなくてはいけないってこと。

コミュニケーションノートを作ったときに「親が伝えたい事」ばかりじゃ、子供はコミュニケーションを取る気にはなりませんよ・・・と言った時には、さすがになるほどなぁって思いました。
そしてどちらかと言えば「子供が自分の意志を伝える為に使えるもの」を作ることが大切なんですよ・・・と講師の先生も言っていました。

コミュニケーションノートを作りたいとは思いませんでしたが(だってとても大変そう~)、子供の意志を尊重すると言うことに関しては、反省しきりって感じでしたかね。
最近はぶーちゃんの言いたいことが随分分かりやすくなったので、あまり困らないと言うこともありますが、それでもぶーちゃんの意見を聞こうとせずにこちらで決めてしまうことも多々あったんで・・・

色々出来ない事も多いし、まだまだだから・・・と決め込まずに、一人の人間としてきちんと向き合うことは例えこういう障害のある子だとはいえ必要なことなのだと改めて考えるきっかけになりました。

そんな感じであっと言う間に講演会終了。
その後、質疑応答になったのですが・・・この時、一人のお母さんが手を挙げた。

今回の講演を聴いて思ったのは、こんな指導方法が出来るのはある程度出来る子なんじゃないでしょうか?
最重度の障害を持つ中学生の息子は、カードがどうこう以前にそんな物を見る落ち着きもなければ、身辺自立もままならない状態で日々戦争である。そう言う子供に対してはどういう支援をするべきなのか教えてほしい

と、まぁ多少記憶違いがあるかもしれないけれど、こんな感じの事を話したんです。
全く同じとはいえないけれど、私自身先生の講演で色々話した具体例について、どれもこれもぶーちゃんには無理と思える話だっただけに、何となく共感した部分があったんです。

講師の先生は少し考えながらも誠実に話してくださいました。
確かに今回話した例は「すごく成功した例」であることは間違いないという事。
そして実際にはそんな例ばかりではなく、20年近くこの仕事している中で本当に「困難を極める例」というものにもぶちあたり、うまく行かなかったこともあった。
だから、その質問に対する正しい回答は自分には出来ないと思っています。
でも全員とはいわないけれど・・・大多数の子供はちいさい頃からの支援の積み重ねと、親を含めた他人とのコミュニケーションを繰り返したことが力となり、例えそういう「困難な時期」が来たとしても、なんとか乗り越えてくれたお子さんも確かにいたのを自分は見てきた。
だからこそ、やはりこういう支援活動は必要なのだと思うし、有効であるのではないかと自分は考えている。

と、これまた記憶違いがあったら申し訳ないのですが、こんな感じのことを言っていたような気がします。

私たちは療育に行って、先生のアドバイスを受ければ何とかなると思いがちだけれど、決してそうじゃないんですよね。
先生方だって神様じゃない。沢山の事例を見てそこからはじき出す指導法やテクニックはあるかもしれないけれど、それだけでは全部対応できるわけじゃないんですよね。
だからこそ、先生も「どうにも出来なかった事」がある訳です。
それを素直に話してくださった講師の方に、私はこの日一番共感じました。

もちろんそんな話だけでは終わりません(汗)
講師の方は時間がなくて説明できなかった部分にこういうのがあって・・・と言って、新しいスライドを提示しました。

言語の理解そのものが困難なケースの場合

伝えたい気持ち・共有したい気持ちを育てる
サインだけではなく、写真や実物での予告を取り入れる
拒否と要求伝達を最優先で伝えていく

この3軸を中心に「人と関わる力や、自分の意志を伝える力」を日常生活で繰り返し教えて続けていく事が大切だと言っていました。

ちなみにこれ、ぶーちゃんの個別指導要項にもよくかかれていた内容でした・・・(汗)
やっぱり重度のお子さんなのねぇ~とこう言うとき思いますね。

ま、色々勉強になったし、行ってよかったです。

ちなみに、後からゆっくりレジメを読んだところ、さっきの困難なケースのほかにもぶーちゃんのような「視覚認知が難しい子供の場合」などもスライドがあったんです。
講師の方が「時間が足りずに途中になりましたが・・・」と言っていましたが、是非こちらの話も聞いてみたいと思ったとんとんなのでしたvv





最新の画像もっと見る