萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

登山装備:秋山遭難、気軽×危険

2017-11-18 10:04:16 | 解説:用語知識
安全確保は自己責任@山


登山装備:秋山遭難、気軽×危険

秋、遭難事故が多発しています。

「遭難したら警察or消防が助けにきてアタリマエ」

なんて安易な考えが一番の遭難原因だよって前にも書いたけど、
そんなトンデモ遭難者予備軍に先週末また遭いました、…あいたくないなあ二度と。

○下山途中の12時過ぎ遭遇(そいつら登り中)
○普段着
○運動靴
○登山装備ナシ

な、20代カップルだったんですけど、
おそらく何度も同じこと言われていたんだろうけど、

「この先は凍結ありますよ、」

と言っても笑って登っていきましたが、
アレたぶん下山時かなりエライ目に遭ったんじゃないかなあ、と。
こーゆー無謀登山から遭難事故するのは20代が多いんですよね、

若いからダイジョーブ、

なんてコト山ではありませんから、笑
ヘッドライトも無く午後から登ったりしたら、夜目が利く×ルート熟知の超プロでない限り事故ります。
この11月も2件4名の20代がソンナコトやらかして暗くなり行動不能→救助要請しています。

こーゆー奴らには救助有料化でイイと思います。
もう見かけても強いて止める気になりません、ただ「誰にも迷惑かけるなよ」だけ思います。
山はミス一瞬で危険に墜ちます、だからメンドクサイバカに巻きこまれたくない・だから救助隊員さん達も巻きこまれてほしくありません。

そんなバカップルに出遭った先週末は、遭難事故が多発しました。
山梨県警データ引用すると、

<山梨県警管轄山域2017.11.11~13の三日間>
遭難事故件数 8件
道迷い 1件・30代男性
滑落 1件・60代男性
転倒 3件・60代男性・40代女性・70代男性
体調不良 1件・70代男性
死亡 2件・40代男性・80代男性

全て標高2,000メートル以下で起きた遭難事故です。
内5件は下山時の遭難事故、体調不良1件は渓谷ルートのトレッキング中でした。
死亡2件については本人の証言がないため不明です。

登山は下山時に遭難事故率が高くなります。
登る時は体力も時間的余裕もあるけれど、下山にはドッチも減っているわけで、
ソンナ焦りが判断ミス×慎重さを欠いて結果、遭難事故になるワケです。

死亡した40代男性は写真撮影に出かけた後、連絡が途絶えました。
遺体発見は滝壺、踏み外して転落したことが直接の死因でしょうか。

写真撮影時の遭難事故は多いです、
特に三脚使用者の事故例は多く、雪山の烈風で三脚ごと吹き飛ばされた遭難死者もいます。
また三脚を据えるポイントが甘いためにカメラごと転倒・危険地帯に踏みこんだ果ての事故例も。
写真に囚われすぎた結果の遭難事故は絶えません。

死亡80代男性はキノコ狩りで入山したまま戻りませんでした。
山麓の渓谷で遺体は発見されたそうです。

この捜索に偶然あいました、
12日は当初、大菩薩嶺を登るつもりで行ったら警察がやたら出ており。
ぷらす団体ツアーも多く混雑していたので、あーこれ止めようと北奥千丈岳に登ったワケです。

キノコ狩りに限らず、タケノコ狩りなど採集目的の登山も事故が多いです。
無理な体勢で採ろうとした結果の転滑落、採集ブツを探して迷いこんだ結果の道迷い、
採集ブツ=野性獣の食料=野性獣の遭遇ポイントであるため、野性獣に襲われることもあります。
ツキノワグマも人間を狙った食害=ようするに人食いクマの事例も報告されています。

秋は冬眠前で野性獣も活発に食餌を探しています、
早朝と夕刻は活動時間なので要注意、クマ鈴やラジオ・話し声・笛などで警告しつつ歩いてください。


秋山は天候変化めまぐるしく、日没もビックリするほど速いです。
降雪もフツーにあります、先々週に登った奥白根山は雪×凍結で踏み跡すら不明瞭なルートもありました。
先週末の北奥千丈岳でも残雪・路面凍結・氷柱を見ました、もし道迷い・行動不能で夜明かしするなら装備ナシでは凍死でしょう。

そんな状況アタリマエな秋は遅くても14時には下山完了が安全原則なんですけど、
そういう基本も知らないナンチャッテハイカーや添乗員に引率されてるツアーもいます。
人任せにしていたら

キャンプや散策ついでの無防備登山も多いです。
たいがい「行けるとこまで行ってみよう」なんて安易な考えから登るらしいですけど、

行けるとこまでが果てるとき=体力限界→遭難死

山で体力限界になれば「逃げられない」死を待つしかないってことです。
特に気候の良い時季はよく無防備登山から行動不能、最悪は疲労凍死なんてこともよくあります。

汗や湿度・雨や雪に濡れる×山の強風→体温が一気に奪われる、体温が低下すると動物は動けなくなります。
登山による疲労でカロリーを失った×体温を奪われたらドウなるか?

簡単に疲労凍死に陥ります。
実際、駐車場から200メートル地点で疲労凍死した例もありました。
ある山寺で「なんとなく紅葉に誘われて」参道を逸れ登山道に入り・迂回ルート悪路に力尽きて死亡に至ったものです。

ルート把握×装備×体力レベル把握ちゃんとしていれば防げたことです。
この遭難者はドレも備えておらず、気軽に登山道に入りこんでしまった結果の死でした。

平地と山地は気象の別世界、
特にこれから11月の山は降雪があたりまえ、雪山装備+車もタイヤチェーン必携です。
昨シーズンも11月初旬、標高2,000あたりから雪道になった林道で立ち往生している車いっぱい見ました。
登山道でもアイゼンなしで登っちゃって立ち往生、なんて迷惑ハイカーもよく見られます・見たくないけど、笑
そんな11月初旬@北奥千丈岳の山頂はコンナカンジです。


○単独行
○地図なし
○登山計画なし
○道迷いの対処も知らない←迷ったら「元来た道を戻る=登り返す」大原則を知らない。
○装備不足&レベル不足←各自装備・安全確保は自己責任

上の5つは警察・消防・民間どの山岳救助隊でもNGに挙げています。
これ5つ全部当てはまって遭難したら、そりゃー救助隊員に怒られてアタリマエ。
山の常識ワキマエナイ危険と恥をキッチリここで覚えないと、次は死ぬからです。

こーゆートンデモ遭難者は遭難時の対応をまったく出来ません。
対応できない=救助する側が無理を強いられます、そのために救助隊員が重傷・殉職した例は少なくありません。
それでもトンデモ遭難者は「救助隊員が死んだけど登山自体は楽しかった」なんて言っちゃったりします、
それくらい無謀遭難者は「自分が悪かった」自己責任が皆無です。

なぜダメなのか反省しない=学習能力が無い

ってことです、反省しないから欠点克服も出来ないワケです。
そのため同じように遭難して、次は死んでしまったなんて例いくつもあります。

なんで上5つダメなのか?っていうと、

1.単独行=アクシデント対応が困難。

山は危険な場所、アクシデントが普通に起きるところです。
たとえば「道迷い」のとき二人だと話し合うことで冷静になれます。
もっと差があるのは「野性獣との遭遇」クマなどに襲われる危険度は単独だとかなり高いです。
転滑落でも複数人数なら、無事なほうが救助対応&通報できるため生還できるパーセントが高くなります。

2.地図なし・登山計画なし・道迷い対処も知らない

この三つそろえば「道に迷う」条件コンプリート、笑
道迷い遭難の行く先は→崖や滝を無理に降りようとして転滑落→遭難死、
なんてこと珍しくありません。

で、こういう遭難事故は低山に多発しがちです。

標高が低い=安全、っていう誤解が事故直結なワケです。

標高が低い山は仕事での入山も多い=作業道が多い。
標高が低い山は野性獣も多く棲む=獣道が多い。

こういう道は登山図に載っていないものも多いです、
そのため登山ルートを知らず歩いて迷いこむ、なんてよくある話。
実際、行方不明看板よく見るのは標高2,000メートル未満の山域が多いです。

あと、よくあるのが「赤テープ」の誤認です。
登山ルートを示す赤テープだと思って辿ったら、途中で消えてしまった。
なんてよくある話で、元来た道を引き返せばいいのに無理に下るから迷います。

3.装備不足&レベル不足

水筒も各自で持たず、運動靴でジーパンで、帽子も被らず、

悪天候の予兆も無視・午後からでも無理に登る。
コースタイム知らず日没までに下山できない。

なんてヒトたまに見ますけど、ホント迷惑なんで止めてください。
こういう迷惑ハイカーは救助したくありません、それはマジメな登山者の誰にも共通する本音です。
先週末もそんなご家族連れを見ましたけど、

「〇〇山ではオマエが滑落したろ、あんときは連れて来なきゃよかったと後悔したよ、」

なんて息子に言ってたオトウサンがいましたけど、
だったら息子のジーパン×運動靴×手ぶらを今日もナントカシテカラ来いよ思いました。
あーゆーことやらせた結果「山なんて装備ないほうがカッコイイ」なんてバカ発想して結果、迷惑遭難者になるんだろうなあと。

また登山ツアーは要注意です、
登山ツアーは初対面同士+レベル違いも多く、引率の添乗員自身が山の知識皆無なんてことも。
実際に今夏、1時間以内に雷雨がくるだろうトコをムリに登っていく登山ツアー団体を見ました。

その30分後に麓でも雨が降りだしました、山は黒雲に覆われていたので視界も足場も危険だったと思います。

こーゆー団体がいると、自分は場合によってコース変更もします。
理由は・集団遭難なんかされたら面倒ハッキリ言って見きれないから・で、マイナーだけど自分は慣れたルートに避けます。

ここ近年、登山がファッションみたいに流行って、
イケメン俳優がボルダリングや登山をやってる俺カッコイイーみたいなこと言ってたり、
テレビ企画で登山させて感動するでしょうカッコいいでしょうみたいなこと演じちゃったりして、

そうだ山に登ろうWEBちょっと検索、

なんてヤマレコやハイカーブログとか見て、
軽装備カッコいいとか・無理矢理コースタイムがデキルヤツとか勘違いして、
そんなこんなで無謀無防備ハイカーになっちゃって結局、迷惑かけたくせに逆ギレしたりなんかする。

そうなりそうなヤツを先週末に見た&遭難事故多発していたので、朝からUPしてみした。

山に関してはホントに「無知は有害」バカしちゃった結果、遭難死とか哀しい結果を招きます。
もっと哀しいのは無知無謀のバカ行動に巻きこまれた救助者まで、ケガや死に至ることです。

山を歩きたい誰もが・自己責任ちゃんと自覚して、無事安全平和に山を楽しめるといいですね。
聞いてください14ブログトーナメント

撮影地:山梨県、栃木県、東京都

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