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みちるの誕生日突発SS(レイと幼馴染ヴァージョン)

2016-03-06 23:35:06 | 創作・その他CP
どこのどなたか存じませんが、清き1票を入れていただきました

幼馴染のみちるとレイの誕生日お祝いを読みたいとポチしてくださいまして
ありがとうございます。




「レイ、約束忘れたの?」
『……何よ、夜中に』
12時を過ぎて30分。
辛抱強く待っても携帯電話は鳴りそうにない。
12時を過ぎて、はるかにお誕生日おめでとうと言葉をもらい、そしてせつなからもお祝いしてもらった。
こうやって一緒に暮らして、それぞれの誕生日を祝福できるということは幸せなこと。

「誰よりも1番にお祝いするっていう約束、2年連続果たさなかったわね」
『いや、はるかさんたちと住んでいるんだから無理に決まってるでしょ?』
「お言葉ですけれど、12時になったときには部屋に籠って5分は電話を待っていたのよ」
『はるかさん、可愛そう』
「約束は守りなさい、レイ」
『そうは言っても、こっちはこっちで色々あるのよ』


みちるが5歳になった日、レイから”約束”をプレゼントされた。
2人は生まれた時からずっとずっと、一緒だった。お互いの誕生日には当たり前のように両家が揃い、ケーキを分け合い。
ママたちもそうやって2人で大人になって、同じようにみちるとレイもママたちのように年を重ねて行くのだろうと。


小指の約束をした。


『必ず、みちるの誕生日は私が一番にお祝いする。ずっと、ずっとだから』

この約束は15歳まで守られていて、16歳の時に、はるかに先を越された。
はるかには罪がないし、嬉しい感情もあった。レイはみちるがはるかと一緒だろうと思って、電話もしなければ会う約束もしてくれなかった。

どっちかを選ぶなんて考えたりしない。

その年は強くレイを責めることもしなかった。はるかが誕生日を共に過ごしたいと思ってくれることが嬉しい。
でも、レイの約束もある。

だから、次は電話でいいから頂戴って言ったのに。


「美奈子が来ているの?」
『隣で爆睡してる』
「そう」

幼馴染の誕生日と恋人、どっちが大事?

聞くに聞けない。
同じことを聞かれて、みちるも言葉に詰まるだろう。

どっちも大事。

でも、いろんな意味でレイの方が大事。
レイだってそう思ってくれているはず。



『そっちにフォボスとディモスを送っておいたから。はるかさんとの邪魔をしない程度に、お祝いするようにって』
「え?……2人が来ているの?」
慌てて部屋のカーテンを開けると、ちょうど視線の高さにレイの大切な守護戦士がいる。
「人使い荒いのね、レイは」
『私と同じ年月、その子たちもみちるの傍にいるんだし、お祝いされて嫌な気分じゃないでしょ?」
重たい硝子の窓を開けると、レイの瞳と同じ色の光を抱いたフォボスとディモスが、柔らかい笑みを見せてくれる。

みちるよりもレイの傍にいた。みちるのライバルたち。

「みちる様」
「みちる様、おめでとうございます」


「ありがとう、2人とも」


「レイ様より命を受けました。24時間は私どもをみちる様の自由にしてくださいませ」
フォボスが丁寧に頭を下げてくれる。レイったらまさか、今年のプレゼントは24時間限定のこの2人何て言うつもりなのだろうか。
「レイ、どういうことよ?」
携帯電話を切らないでよかった。受話器の向こうはシーツを擦るかすかな音。ベッドの中にいるのは確からしい。
『好きに使ってよ。パシリでも裸踊りでも。みちる、2人のこと好きでしょ?』
「…………レイは、本当に私が怒るなんて微塵も思ってないのね」
『思ってないわ。明日、そっち行くからいいでしょ?それまで、2人に遊んでもらって。じゃぁね、お休み』

一方的に電話が切られて、もうため息さえ漏らす気にもなれない。

「あなたたちの主、相変わらずよ」

生まれる前からレイの傍にいた2人。みちるよりもずっと長く、誰よりも長く、レイだけのために存在する2人。
部屋に招き入れることなどしたことがなかったが、24時間はみちるの自由にできる。
レイは彼女たちをいつも庭に待機させることはあっても、アルテミスたちみたいに部屋の中にいれたりはしなかった。
視界に入る場所に、2人を置かないのはレイの主義だ。

でも、みちるは違う。レイが傍にいないで、こうやって3人に馴れる機会なんてないのだ。
ソファーに座り、2人を膝の上に座るように命じた。


「レイ様、今日は一日ずっとみちる様のプレゼントを選ぶのに歩き回って、お疲れの様でした」
「はるか様に悪いからと、電話をしないと言っておられました。美奈子様にも気を遣っていらっしゃったご様子です」


「……そう」


「レイ様は、いつもみちる様のことを想っていらっしゃいます」
「私たちも同じ想いで、みちる様をお守りします」

彼女たちの緋彩の瞳は、レイのその瞳よりも鮮やかで、星の守護を受けた者の色だ。


「そう。ねぇ、ちょうどいいわ。せっかくだから、色々聞かせて。うちのママと葉月ママの若い頃のことも知っているのでしょう?うちのママが葉月ママの手のひらで転がされていた様子、詳しく教えてもらえるかしら。参考にしたいのよ」



「はい、では、みちる様と同じ17歳の誕生日を迎えた日の、深美さまのお話を……」
「あの日は、葉月様が深美様のために手作りのケーキをご準備されたのですが……」



ベッドルームで待っていてと告げて、1時間以上。はるかが痺れを切らしてリビングに降りてきて、中断してしまうまで、2人はとても細かくママと、そして葉月ママの話を聞かせてくれた。


本当に2人は傍を離れず、ずっとずっと幸せだったに違いない。
それぞれに愛する人がいても、2人は幼馴染を大事にしていた。



「お休みなさいませ、みちる様。レイ様、きっと明日は約束の時間よりも早く会いに来られると思います」
「だといいわね」
「みちる様のこと、レイ様は誰よりも何よりも、大切に思っておりますから」
「知ってるわ。それをちゃんと言葉と態度で見せてもらいたいわね」

部屋の中だと危険を察知しにくいと言うので、2人を窓の外に出した。

「レイの元に帰りなさい。そしてまた、明日レイと一緒に来なさい。私もレイが大事だから、あなたたちを長い時間、あの子から引き離すのが嫌なのよ」

「「承知しました」」


暗闇の空高く姿を消した2人を見送る。


「………みちるは、僕と誕生日の夜を過ごすより、レイと一緒がよかった?」

背中に優しい温もりが舞い降りた。ホッとする愛。

「まさか。そうじゃないわよ。説明するのが難しいけれど、そう言うことじゃないの」
「なら、いいけど」
「私、幸せよ。はるかとこうやって一緒にいられること」
「みちるは我儘だな。僕の愛も、レイという幼馴染の愛も、どっちも欲しいんだ」
「そうよ」
「で、どうする?」
「レイは美奈子の腕の中。私はあなたに抱かれるのよ」
「……お望み通り」


質の違う愛を求めているのだから、どっちも大事。
恋しい人の腕の中で眠り、明日はレイに会って、守れない約束について、改めて文句を言わなきゃいけない。





HAPPY BIRTHDAY


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突発、書きながら考える小説。45分仕上げ
















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