ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

着物の着方って・・・

2005-11-07 05:58:04 | 昔の道具・暮らし

今日の写真は素材のCDからおとした「浮世絵」です。
ちょっと時期がズレますが、これはお正月「お年賀」の絵と思われます。
左の青い着物の女性が年始客、右の立ち姿の女性は「奥様」で、
座っているのは娘でしょう。二人の髪型は「島田髷」、娘さんは「桃割れ」と
思います。肩上げもしているし娘というより、まだ少女、でしょう。
その帯結びは、一般的だった「立て結び」真ん中に赤い帯揚げを大きく
飾っているのは、お正月だからでしょうか。
お盆の上には蒔絵の椀らしきものが載っています。
「お雑煮」をふるまうところかな?

さて、見ていただきたいのはお椀の「雑煮」・・じゃなくって!
三人の着物の「衿」です。今の着方に比べると、ヤケに半衿が出てますよね。
でも、こんなもんだったわけです。いまよりずっと「グズグズ」に着てました。
浮世絵を見るとよくわかりますが、とにかくどの絵も衿は大きく半衿を出し、
打ち合わせはえーかげんです。絵ですから「誇張」はあるでしょうが、
実際、衿に限らず「着物だけ」の暮らしをしていたころは、
いまみたいに「ピシリ」とは着ていませんでした。

幕末から明治にかけて、「写真」というものが盛んに撮られました。
「肖像画」代わりの写真のほかに、一般人のいわゆる「スナップ」とか
「風俗写真」というものもいろいろ写されました。
その写真の女性を見ると、浮世絵ほどではありませんが、
やはり現代の「着物をきた女性の写真」とはえらく違います。

もともと衿を大きくうしろに抜くのは結った髪の「つと(関西では「たぼ」)」が
後ろの衿にすれると髪油で汚れるのを防ぐため、更には「黒繻子」を
かけたわけですが、衿を大きく抜くとどうしても前の打ち合わせは浅くなります。
和装で結婚式を挙げたかたなら、体験なさっていると思いますが、
カツラをつけいざ着物・・となったとき「掛下(打ちかけの中の着物)」を着て、
えいやっと衿を抜かれましたでしょう。肩甲骨が見えるかと思うほど!
あれがそうです。そうなると、前を深く打ち合わせないと「胸元」が崩れます。
で、これで下の方に帯を結ぶと、この深い前の打ち合わせがおさえられない。
だから「丸帯」なんてぇ倍の幅のものをグルリとまくんですね。
あたしゃ「帯じゃなくてギプスだ」と思いましたよ。

つまり、ハレの飾り着ですから、そうやって美しく着付けますが、
普段はそんなに気にしないわけです。衿を抜かなきゃならないから
中のじゅばんは深めに着付けて、上はゆったり・・で半衿が多くでるわけです。
打ち合わせもグズグズ・・。それでよかったんですね。

長くなりますので、とりあえずは「昔は襟元はけっこういい加減だった」
という御話しで一度しめましょう。
次はおはしょりのことと、母の時代の「着方の手抜き?」についてです。
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1 コメント

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なるほど・・・ (さすらい)
2005-11-28 09:07:34
言われてみると「ぐずぐず」に着てますね。師匠の話は面白いです。現実には良く判らない部分もありますが、納得です。



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