「メジャーの打法」~ブログ編

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ダルビッシュ(4)

2015年04月04日 | 投法

 日本では、(肘ではなく)「肩を壊す」という言い方をする。

 こちらの論文に興味深いデータがある。加速期において肩甲下筋の活動があるが、リリース近くで棘下筋、小円筋の収縮が起こるのだ。肩甲下筋はわかるが、棘下筋は腕の振りにブレーキをかけているようにも思えるが…。
 風井論文に、それについての記述がある。

他の肩関節筋群では、連続型(A.K)では棘下筋に放電が認められたが、非連続型(N.K)では認められなかった。連続型にのみ放電が認められたのは前額面内で上腕が前方向に力を入れられているため、上腕が幾分回外方向に力が入れられたものと思われる。

してみると、金子論文の被験者は連続型ということになるのかな?
 非連続型は、三角筋肩峰部、棘部を使い後方向に力を入れる(風井)。いずれもフォワードスイング終期に腕を前額面内で振り下ろすために動きを調節するわけだ。
 アメリカの投法では、JobeにしろFeltnerにしろ、棘下筋の収縮は弱い。これは、DiGiovineでわかる。(三角筋は弱いとは言えないかな?)リリース期における肩内旋角速度を見ると、Feltner論文では8,000度/秒。それに対して、石井壮郎では3,000となっている。

 要するに、日本の投手は肩でずいぶん複雑なことをやっているわけだ。壊しても不思議はない。斉藤佑樹は大学時代に肩をやったらしく、非連続型からアーム式に変えた。プロに入りたてのころはそのまま誤魔化しの投球をやっていたが、去年あたりから元に戻したらしい。

 しかし、この調節がすぐさま肘の負担軽減につながるというわけではないようだ。石井の肩内旋トルクを見ると、平均値は70Nm程度で、Wernerの120よりは小さいが、Feltner論文と同じ程度だ。
 マー君も肘を故障した。オールスターと重なって、タイミングが良過ぎたから、てっきり三味線を弾いたのだと思ったが、そういうわけでもないのだろう。藤川はじめ、非連続型がトミージョンを受けるケースも多い。

 肩にも肘にも負担が掛かるとなると、トミージョンなど受けずに、丸々1年休むってのもアリだと思うがなぁ。マー君は似たようなことをやったわけだし、ライアンも「手術を勧められたが断って、休んで治した」と書いていた。



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