石井先生の掲示板に投稿したものをここにも貼っておく。
(以下引用)
棘下筋について誤解していたのではないか?と思えてきましたので・・・。
Feltner&Dapena1986には、二頭筋の役割に関して、
"The risk of injury would force the pitcher to limit the speed of the ball prior to release. The pattern actually used by the pitchers may be a good solution to this problem: by stopping the extension of the elbow before the attainment of full extension・・・"
とありますが、棘下筋が、二頭筋と同じように、急速な肩内旋を抑えるために働くと考えるのは間違いではないでしょうか?
多くの日本人の投法では、肩内旋に続いて肘伸展で加速する時期があります。これは肘伸展トルクの数値が、F&D1986と先生のデータで著しく違うことからもわかります。
その肘伸展をサポートするのは肩内転トルクですが、その場合、肩内旋トルクは邪魔になります。そこで広背筋、大円筋の内旋を相殺し、内転を引き出すために、棘下筋の収縮がある、と考えました。
肩内旋で投げ切るアメリカの投法については、フォロースルーで肩内旋角速度を抑えるために棘下筋が使われるのかもしれません。しかし、F&Dの内旋角速度が、リリース時、約9000°/sなのに対し、先生のデータでは約3000°/sであり、しかも加速期後半で鈍化しています。日本人はアメリカ人と違うことをやっているということです。
極端な話、Gowanら1987では加速期に棘下筋は使われません。これは、肩伸展内転で投げ切る特殊な投法だからで、リリース後も内旋トルクが続くはずです。
日本にもアメリカにもあって、たとえば、甲子園の優勝投手、サンディー・コーファックス。
Gowanの被験者が偶々この投げ方だったわけですが、先生のデータから投球における棘下筋の役割を安易に引き出すことを戒めています。
御検討願います。
(以上)