投法の多様性。
Feltnerらが学生投手の中から被験者8人を選んだら、8人ともが外転・水平内転型だった。選ぶにあたって多少の作為があったかもしれないが、宮西の描く理想的投法とも重ね合わさるこの投法をアメリカ式とすることに異存はないだろう。しかし、アメリカの投手がみんなそのような投げ方をしてきたわけではない。
コーファックスを同僚のドライスデールと比較していただけば十分だろう。
キネマティックな情報から受ける違和感をキネティックス(動力学あるいはエネルギー生産様式)的仮説によって解消することが比較(投球)動作論のはじめに来なくてはならない。他のスポーツ動作(やり投げ、クリケット、相撲、柔道の投げ)から類推することもできるだろう。末端加速様式として使えることがはじめから保障されている。しかしこの場合一番手っ取り早いのは風井の描いた日本式法を当てはめてみることだ。
野球理論家の村上豊はかつて、トム・シーバーについて、「日本人のような投げ方だから、よくない」と書いた。映像情報の限られた時代に指摘した観察眼はさすがだと思う。トム・シーバーはストラスバーグより稲尾和久に近い。これが風井の非連続型で、澤村栄治からマー君まで日本プロ野球の本格派エースの多くはこのような投げ方をしてきた。シーバー以外にも、ノーラン・ライアン、今年殿堂入りしたバート・ブライレブンあたりは同じ非連続型だろう。
村上の言うことが的外れなのはエネルギー生産様式の理解が不十分だからで、左股関節トルクの活用に対する認識がないからだ。だから「体を倒し込む動作には無駄がある」と書いたりする。腸腰筋の存在自体知らなかったろう。相撲の上手投げとの関連はスイング論(284)に書いた。
そして連続型の投手ももちろんいる。この投法は、アメリカ式の下半身の動作をそのままに、腕の振りにしなやかさを持たせたようなものだから、こちらの方が数は多いかも知れない。さらにこれも日本に昔からあるアーム式(はじめに挙げたコーファックス、他にD・サットン、G・マダックス)。これについては何度も書いた。
アメリカ式投法から見れば変則型と言える投法にもいろいろあるわけだ。ただ共通点があって、
動作解析法でデータを取れば、肩内転・水平外転となる局面が存在する
だろうということだ。アーム式についても、マダックスを見ればあきらかだ。シーバーよりも引き下ろす感じは顕著。
変則型を挙げておく。ドライスデールやクレメンス、ストラスバーグらのアメリカ型と比較していただきたい。各投手は連続型、非連続型、アーム式のどれに属するのだろうか?
D・ロウ、D・へーレン、Z・グレインキ、J・ラッキー、C・パバーノ、S・ベーカー、J・ガーランド、T・リンスカム
往年の速球投手ボブ・フェラーも体重移動から股関節あたりの使い方がシーバーと似てると思うのですが、どうでしょう?
http://www.youtube.com/watch?v=PMgBvjzRdyU
シーバーの連続写真
http://www.geocities.jp/tokyomarlin/tseaver.jpg
http://pitcher.your-wants.com/?cid=59207
郭泰源
こっちの方が特徴を示してますかね。それにしてもいい球投げますね。
当方の理解不足で見当違いであったらすみません。。
http://www.youtube.com/watch?v=pg1lpgdTRuo
お名前を間違っていました。「マン」じゃなくて「マソ」だったんですね。