さてそこで、奇妙に思ったことがある。コーファックスを除くアーム式投手については、肘をやったという話を聞いたことがないのだ。
これにはいくつかの理由があるだろう。
- 手術を受ける投手が多いから、目立たない
- アメリカ人は体が丈夫にできていて、同じアーム式なら故障しない(Feltner型の負荷は異常ということになる)
- アメリカでは、速球派はFeltner型で間に合うから、球速を期待されない(日本はほとんど速球派)
- 同じアーム式でも、投げ方が違う
といったところだ。しかし当ブログとしては、やはり、4.を考えてみるべきだろう。「同じアーム式でも、日米で肘への負担がまったく異なる」なんてことがあるのだろうか?
そこで、以下のように考えてみた。
白人は背筋が強い。物を持ち上げるときこのようにするそうだ。脚を前後に開くのか・・・。日本人はもっと股を開いてしゃがみ、荷物を引き寄せ、体幹伸展筋に負荷が掛からないようにするだろう。こちらが日本人の持ち方。
白人の場合、アーム式で体幹を前屈すると、すぐに脊柱起立筋など伸展筋の収縮が起こり、前屈が止まる。サットンの投球をセンターカメラからの映像で見たときは、背中に鉄板が入っているように見えた。しかし、スローで見ると腹筋を使っているのだった。(日本人の場合、背筋の収縮は強くてもフォロースルーの段階であり、小桧山のようにギッタンバッコンになる) そして、体幹前屈の停止は広背筋の収縮へとつながってゆく。(参照)
広背筋についてあまりよいデータがない(DiGiovine(1992)の足して2で割った数字では参考にならない)こともあるし、動画で上の真偽を確かめるほかないだろう。
サットン、マダックスあたりを見ると、右肩が前に出て行かない。それに対して、高橋一三ほどではないにしても、ダルビッシュ、藤浪は出て行っているように見えるがどうだろう。できれば、ご自分でやってみて、確かめていただきたい。
もしこの見立てが正しいとなると、有原とハーシュハイザーも似て非なる動作ということになるし、日米で肘靭帯への負荷が違ってきてもおかしくはないだろう。そこで肘をやったコーファックスを見たら、左肩が前に出て行っている。かれに限っては日本式なのだ、だから…ってのは話がうますぎるか。小松辰雄はどうかな?