「メジャーの打法」~ブログ編

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投球のバイオメカニクス(5)

2011年01月30日 | 投法

 Fleisigの論文。

 投法に多様性があるとは言うものの、Feltnerが論文を書いた1980年ごろは、大学生被験者の8人が8人とも外転・水平内転型であることからすれば、MLBにおいてもアメリカ式が圧倒的に優勢だっただろう。ところが最近、内転・水平外転の変則型が増えてきている気がするのだ。去年のワールド・シリーズを見てもそう感じた。

 原因は、ひとつは、ペドロ・マルチネスの活躍で、あの投法(アーム式)を真似る者がアメリカ人のあいだにも出てきた。T・ハドソンはペドロ二世と呼ばれているし、R・ハラディ、R・オズワルトも似た投げ方をしている。そしてそれに加えて、アメリカ式の肩肘にかかる負担を考えて、連続型が注目され始めたのではないか?と思っている。アーム式よりも腕の振りがしなやかだし、アメリカ式からの乗り換えも容易なのだ。

ダルビッシュのやわらかい腕の振りを、なんとなくギクシャク感のある、アメリカ式と比べていただきたい。


 しかし、見た目で判断するのは余りにも不確かで説得力がない。アメリカ式のドライスデールについて、ついこのあいだまで肩内転トルクを考えていたくらいだから。動作解析法を用いた肩トルクのデータがないものか・・・?

 そこで、Feltner以降のバイオメカニクス論文を読んでみることにした。Fleisigはかなり有名のはずだ。『ピッチング動作のバイオメカニクス』(平野裕一、2001臨床スポーツ医学)にはFleisig(1999)からの引用として、

子どもから成人選手、各レベルのピッチング動作を比較して、ボールスピードの増加は関節トルク増とレバーアーム増によってもたらされることを示し・・・

とある。この文章はアメリカ式を描写したもののようで、それならばFeltnerと変りはないのだが、とにかくデータが欲しい。論文は下の2本で、どちらも国会図書館にあった。

Fleisig,G.S. et al. : Kinetics of baseball pitching with implications about injury mechanisms. Am.J. Sports Med. 23(2): 233-239, 1995

Fleisig,G.S. et al. : Kinematic and Kinetic comparison of baseball pitching among various levels of development. J. Biomech. 32 : 1371-1375, 1999


 Feltnerから10年余りを経た論文に変化の徴候を見い出すことができるだろうか? 打撃のような激変があったわけではないから、多くは期待できないのだが・・・。




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