打撃論の現在。
確実性を求めた結果、青木の言う「バットをフラットに出す」スイングに到達した。BHの引きは従来どおりだが、スイングの後半、トルクをかける局面で、インサイドアウトをやらない(こねない)。これを仮に日本式と名づけよう。
まず、同じ動機で採用されるに至ったアメリカ公認のB型と比較すべきだろう。日本はアメリカに倣うべきなのか?
スイングがコンパクトでやはりレベルに振り出すB型は長打力に欠ける。球にバックスピンをかけないと飛距離が落ちるのだ。最近のMLBがいかにも貧相になったのはドーピングの問題だけではない。日本式にも同じ懸念はある。
王、シュミット、A-ロッドがホームランを量産してきたのは、ダウンワードに振り出したり、バットに長軸まわりの回転を与えて、球にスピンをかける打法と無関係ではないだろう。
さらに日本人に合うのか?という問題もある。B型には黒人スラッガーをほとんど絶滅させた前科がある。
ところが、「日本人なら日本型を採用すべきだ」とも言えない厄介なことが起こった。B型に改良型が現れたのだ。スイング論(298) しかも、日本人がB型をやると、自然とその改良B型になる・・・、ということで、T-岡田が登場したのだった。(299)
日本式の村田らと改良B型のT-岡田が打法の優劣を賭けて競う段階に入った――と見る。
(この項おわり)
右打者の「乗せて、運ぶ」イメージの打者が体が起き上がりながら引っ張れば、ラインドライブが掛かってファールになりやすく、サード、ショートゴロになりやすいです。
言い換えれば、後肩が前に出ることが「こねる」ことになります。
体が起き上がらなければ後肩が前に出ることはありません。
Gの小笠原を筆頭に、特に日本の左打者の殆どはそうなってしまいます。
「強く叩く」外国人選手と、「乗せて、運ぶ」日本人選手の大きな違いですが、どちらかに10:0で分かれるわけではなく、割合だと思います。
「軽く振っているみたいだけどよく飛ぶ」とか、「上手く打つ」とかを好む傾向がある日本人の美学が、そうさせている部分もあるかもしれません。
マーリンさんが着目している「押す」「引く」もここのようですね。
言ってることが相変わらずよくわからないんだけど、ディマジオは、後肩が出るのに、何でバットをこねないの?(『科学する野球~打撃篇』p98)