「メジャーの打法」~ブログ編

野球、ゴルフを中心とするスポーツ動作論
『究極の打法』オースチンからボンズまで
 Amazonにて発売中

続・投球のバイオメカニクス(21)

2011年09月28日 | 投法

 黒人の投球動作。

 迂闊にも、J.R.リチャードが非連続型だということに気付いてなかった。ライアンと並ぶ速球派で、ともにアストロズに所属して話題になったことがある。気になって、サッチェル・ペイジを見たら、やはり彼も非連続型だった。黒人投手に多いのか? そこで、知っている数少ない黒人投手について調べてみたら・・・・・


 つまり、「肩外転90度を保ちながら、からだのひねりで投げる」というF&D1986の投げ方をしている投手は一人も(!)いない(現役には何人かいるかもしれないから、確認していただきたい)。Feltner論文が描いて見せた投法は白人にとっては標準的だというだけであって、全ての人種にとって理想の投法などではなく、少なくとも黒人の体には合わない投法であることが、これで明らかになったろう。

 しかし、アメリカの指導者はあの投法のなかで合理性を求めることしかできない。そこに悲劇が生まれる。
 ABFのサイトの投球レッスンで取り上げているふたりの黒人少年はどちらも非連続型だ。字幕で'torso collapse'を欠点としているのはアメリカン投法(および連続型)限定の話で、非連続型(およびアーム式)では体幹の倒し込みこそが動作のエンジン部分なのだ。これを抑えた時点でその投手は潰れる。
 これまで、「長身の黒人青年はバスケットをやるから、野球にいい投手が少ないのか?」と思っていたがそうではなかった。指導の段階で潰されるのだ。打撃のB型について同じことを述べたが、投球についてはそれよりずっと前から悲劇は続いていたわけなのだ。

 アメリカの文化で取り立てて見るべきものなどないが(※個人の感想です)、黒人の身体操法は数少ない財産のひとつだと思う。それを上の連中が食い潰しているのだ。




コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。