指で弾く。
ナックルというと、必ず指で弾くという表現が使われる。ウィキペディアには、
ナックルというと、必ず指で弾くという表現が使われる。ウィキペディアには、
ボールを指から離す際に、手首を固定しボールに突き立てた指で弾き回転を殺しながら投げる。
とある。NHKの解説も、
立てた指で球を弾いて投げる
だった。
そもそも指で弾くとはどういう動作なのか?
丸めた鼻クソを飛ばす動作には指で弾くという表現がピッタリだ。これや、これは「指で弾いている」と言いたいのだろう。こちらのページには以下のような記述がある。
They push the ball out (kind of like flicking those three fingers to close a door) ・・・
「ドアを閉めるときのように三本の指で弾く(flick)」とあるが(ここでは親指の参加を強調している)、指立て伏せと同じ力の入れ方と解釈していいだろう。
このような例から推測すると、指で弾くという動作を特徴づけるのは虫様筋だと考えられる。虫様筋の収縮によって第三関節は屈曲し、第一、第二関節は伸展する。この動画の動作がそれだ。これを「弾き型」と呼ぶことにしよう。
ではこの写真はどうか? ウィルヘルムのりリースの瞬間だが、指で弾いているようには見えない。
ニークロについてはどうかというと、フォロースルーを見れば確かに指が突っ張っていて、いかにも指で弾いているように見える。しかし、フォロースルーはあくまでフォロースルーであって、リリース時の動作を正しく反映したものとは言えない。こんな写真もある。
ウェイクフィールドの動作についても指で弾くという表現はあたらない。インタビューでは「押し出す」と訳していたが、「弾く」にあたる言葉は使われなかったはずだ。
つまり、ウィルヘルム、ニークロ、ウェイクフィールドは(上に述べた意味で)指で弾いてはいない可能性が高いのだ。少なくとも、「指で弾かなくてもナックルは投げられる」と考えた方がいいだろう。
ウェイクフィールドのような動作を「押し型」と呼ぶことにする。このとき使うのは虫様筋ではなく浅指屈筋だ。第二関節も屈曲に働く。
ウィルヘルムのフィニッシュの写真(0:30頃)も同じ動作の結果だろう。これは写真用のポーズだが、むしろその方が動作を正しく伝えていることもある。