「メジャーの打法」~ブログ編

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ナックル(9)

2008年05月23日 | ナックル
 指で弾く。

 ナックルというと、必ず指で弾くという表現が使われる。ウィキペディアには、
ボールを指から離す際に、手首を固定しボールに突き立てた指で弾き回転を殺しながら投げる。

とある。NHKの解説も、

立てた指で球を弾いて投げる

だった。
 
 そもそも指で弾くとはどういう動作なのか?

 丸めた鼻クソを飛ばす動作には指で弾くという表現がピッタリだ。これや、これは「指で弾いている」と言いたいのだろう。こちらのページには以下のような記述がある。

They push the ball out (kind of like flicking those three fingers to close a door) ・・・


 「ドアを閉めるときのように三本の指で弾く(flick)」とあるが(ここでは親指の参加を強調している)、指立て伏せと同じ力の入れ方と解釈していいだろう。

 このような例から推測すると、指で弾くという動作を特徴づけるのは虫様筋だと考えられる。虫様筋の収縮によって第三関節は屈曲し、第一、第二関節は伸展する。この動画の動作がそれだ。これを「弾き型」と呼ぶことにしよう。


 ではこの写真はどうか? ウィルヘルムのりリースの瞬間だが、指で弾いているようには見えない。
 ニークロについてはどうかというと、フォロースルーを見れば確かに指が突っ張っていて、いかにも指で弾いているように見える。しかし、フォロースルーはあくまでフォロースルーであって、リリース時の動作を正しく反映したものとは言えない。こんな写真もある。
 ウェイクフィールドの動作についても指で弾くという表現はあたらない。インタビューでは「押し出す」と訳していたが、「弾く」にあたる言葉は使われなかったはずだ。

 つまり、ウィルヘルム、ニークロ、ウェイクフィールドは(上に述べた意味で)指で弾いてはいない可能性が高いのだ。少なくとも、「指で弾かなくてもナックルは投げられる」と考えた方がいいだろう。

 ウェイクフィールドのような動作を「押し型」と呼ぶことにする。このとき使うのは虫様筋ではなく浅指屈筋だ。第二関節も屈曲に働く。

ウィルヘルムのフィニッシュの写真(0:30頃)も同じ動作の結果だろう。これは写真用のポーズだが、むしろその方が動作を正しく伝えていることもある。




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