快読日記

日々の読書記録

「文豪たちの怪しい宴」鯨統一郎

2020年06月13日 | 日本の小説
6月13日(土)

「こころ」「走れメロス」「銀河鉄道の夜」「藪の中」の新解釈を披露する「文豪たちの怪しい宴」鯨統一郎(創元推理文庫)を読了。

例えば「こころ」の“先生”と“K”は他殺で、
その犯人として「はぁ?」と言われそうな人物が挙げられるんですが、
感心するのは、その論拠の提示の仕方と順番!

“「メロス」夢オチ”説はちょっともやっとしたけど、
そのくらい矛盾だらけの作品だ(だからこそ名作)っていう証拠かもしれないです。
ここで描かれているのは銀河ではなくて○○○だと主張する「銀河鉄道」はむしろ王道な読みのような気がするし、
はっきり犯人を名指しした「藪の中」に至ってはもうこれが正解なんじゃないかと。
すぐ納得しちゃうからな~。
「そっかー」と思わされる快感、みたいな。


鯨統一郎って、「邪馬台国はどこですか」からずーっと腕が落ちないっていうか、いつ行ってもうまい店みたいでいいですよね。
そのわりにたまにしか行かない店ですが。


目次が井上陽水くくりになっているので、どこかで陽水が絡んでくるのかと気にしながら読み進めましたがわからずじまいでした。