快読日記

日々の読書記録

「もぎりよ今夜もありがとう」片桐はいり

2015年08月03日 | アート・映画など
《☆☆ 8/2読了 幻冬舎文庫 2014年刊(2010年にキネマ旬報社から刊行された単行本を文庫化) 【日本のエッセイ 映画 映画館】 かたぎり・はいり(1963~)》

マイペース(って実は悪口で言われることが多い気がするけど、ここは100%褒めてる)で、フットワークがよくて、文章は装飾過多気味だけどそこもおもしろいし、こういう親戚のお姉さんがいたら最高。

何度も出てくる学生時代のもぎりのバイトの話、同僚のもぎりたちとの思い出もクスクス笑いながら読みました。
その場面を想像すると、片桐はいりって単独より“みんな”の中にいる方がおもしろさが増す人だなあ、と思いました。

笑ったり驚いたりする話ばかりでなく「ハウスダスト・メモリー」に登場するアラガキさんのエピソードみたいな鼻の奥がツンとする切ないものもあって、映画や映画館に対する熱く暑苦しい思いも伝わって、胸がザワザワする1冊です。

「帰りの電車の中、過ぎる車窓をながめていたら、なるほど、行きと帰りじゃ逆向きの景色を見ることになるのだな、と当たり前のことに気がついた」(94p)

この前、ピース又吉をくどいて小説を書かせた編集者のお手柄!みたいな話がありましたが、次はぜひ片桐はいりに小説を書かせてほしい。
絶対読む!

/「もぎりよ今夜も有難う」片桐はいり