快読日記

日々の読書記録

「アウトサイドで生きている」櫛野展正

2020年03月05日 | アート・映画など
3月2日(月)

とにかく描いたり作ったりせずにいられない人たち18人を取材した「アウトサイドで生きている」(櫛野展正 タバブックス)を読み終わりました。

それが金にならなくても(材料費だってかかるから、経済的にはむしろマイナス)、誰にも頼まれなくても、
彼らはセルフポートレートを撮り、気の遠くなるような数の昆虫の死骸で仏像を作り、家中に絵を描き、大きな紙に細密な迷路を書き、怪獣を描き、毎日食べたものの絵を描き、家中をピンクにします。

彼らはコミュニケーションや承認を求める「表現系」と求めない「記録系」に分けられると思います。

特に胸を打たれたのは、誰かに見せようという気を全く持たないまま何年も数十年も創作を続ける後者のタイプで、
なんというか、もう「やりたいからやってる」を超えて「やめられない」「やめるきっかけを見失っている」、なんなら誰かに止めてほしいけどそうもいかない、みたいな雰囲気。

もしかしたら創作の原点ってこんなかんじなんですかね、何かに突き動かされて、やらずにおれない、っていう。
よくわかりませんが。


そして、筆者の態度も、バカにせず、媚びず、変に持ち上げることもなくて好感が持てました。

都築響一にもこの“演歌版”のような著書がありますが、都築の方が「アート側」からのアプローチが強め、という印象です。