快読日記

日々の読書記録

「『世逃げ』のすすめ」ひろさちや

2008年05月08日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
《苦労は人をけち臭くするって言葉にも膝を打ちました》





「世逃げ(=世間のものさしの奴隷にならないこと)」の秘訣は、
「世間を信用しないこと。世間を馬鹿にすること」だそうです。
その説法は逆説に満ち、人を食ったようで全体的にはおおらかな、
好きな人にはたまらない魅力があります。
この語り、誰かに似てると思ったら、綾小路きみまろ。
共通点は、とほほな自分でいいじゃないかという"許し"が得られるところです。
他人に非寛容でイライラしている人は大概、常に自分を誰かと比較して許すことができず、不安の中でもがいています(たぶん)。
そういう人に効きますよ~。
しかも笑いながらね。

そして、一見おもしろおかしい辻説法のようで、
すべてをあきらめろ、何も選ぶな、といった仏教の凄味、ラディカルな部分にもしっかり言及しているのもいいと思います。

■5/7読了 集英社新書 2008年刊
【宗教 人生訓 日本のエッセイ】