空と土のあいだで
どこまでも根は下りてゆく。どこまでも
枝々は上がってゆく。どこまでも根は
土を掴もうとする。どこまでも
枝々は、空を掴もうとする。
おそろしくなるくらい
大きな樹だ。見上げると、
つむじ風のようにくるくる廻って、
日の光が静かに落ちてきた。
影が地に滲むようにひろがった。
なぜそこにじっとしている?
なぜ自由に旅しようとしない?
白い雲が、黒い樹に言った。
三百年、わたしはここに立っている。
そうやって、わたしは時間を旅してきた。
黒い樹がようやく答えたとき、
雲は去って、もうどこにもいなかった。
巡る年とともに、大きな樹は、
節くれ、さらばえ、老いていった。
やがて来る死が、根にからみついた。
だが、樹の枝々は、新しい芽をはぐくんだ。
自由とは、どこかへ立ち去ることではない。
考え深くここに生きることが、自由だ。
樹のように、空と土のあいだで。
高級な吟醸酒のような雑味のない呑み心地で、ついつい、どれだけでも呑めてしまうようなスピリットの酔い心地はいかがでしょうか。飲んでいるときは、酔っているのですが、なぜか後には何も残らないのは、酔い方が下手なんでしょうか。それとも、叙景詩の透明な風のような雰囲気がなせるわざでしょうか。
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