歳をとると話題は病気や終活にかかわる話が多くなるらしい。というのは人ごとのように思っておりました。ワシはいままでその手の話には興味がなかったし、もともとなるようにしかならないのであって、今を充実させることに目を向けていたのですけれど、きっかけがあってよんでみました。日本人の半分近くが癌で死ぬという時代です。医学の進歩はめざましいものがあって、癌も治る時代に来ているだろうという予断もありました。しかし、この本を読んでみて、まだまだ癌は不治の病であるということがわかりました。ふだんは文系の本しか読まないので、この手の本はよく擬似科学で別の目的に沿って書かれるものがあると警戒しながら、眉につばをつけてかからなければという気持ちがまず先に立って、読む気がしなかったのと、正統な医学の本というのはグラフや数式で埋め尽くされているのだろうという思い込みで、これも読む気がそがれる理由でどちらにしても、読むことはなかったのです。しかしこの本はワシみたいな素人にも読みやすく理解できるような構成となっており基本的に正統な医学的知見を元にかかれておりました。つまり、いかがわしい本ではないと判断しました。
内容として
1章 抗がん剤は効かない
2章 対談:患者代表立花隆、近藤誠に質す
3章 「効く」とは何か
4章 すべての批判に答えよう
5章 なぜ錯覚するのか
6章 どんな毒性があるのか
7章 抗がん剤臨床試験データの補足
8章 分子標的薬臨床試験データの補足
9章 では、どうしたらいい?
10章 がんもどき総決算
というような、テーマで書かれています。この本を読んで最大の疑問はなぜ効きもしない抗がん剤を医者はつかうのかということです。科学の最先端といってもいい医学の現場でそんな矛盾がどうして起きるのか不思議に思うのです。その答えを著者は指摘しています。つまり癌産業とも言うべき、製薬会社とその影響下にいる医者と国の医療行政をつかさどるものの共通の利害関係だというのです。ぶちゃけた話、製薬会社の利益のために、効きもしない抗がん剤をいまだに主要な治療法としているわけで、これを知ると、ああ、またかという暗い気持ちになるのです。抗がん剤は毒物、劇物です。何年か前、同じようなことがありましたね。アメリカではすでに抗がん剤は主要な治療法ではなくなっているのに、世界の先進国はみんなその方向に変わっている。韓国でさえといったら失礼な言い方かもしれませんが、抗がん剤治療を見直しているのに、日本はガラパゴス化していまだに抗がん剤優先の体制です。日本という国は国民より組織組織より国家を優先する官僚のDNAこそ癌のもとであるという悲しい落ちです。抗がん剤の効く効かないは生存率をみるのですが、そのデータを有効なものと見えるようにいろいろあの手この手で操作をして厚生省の許可を取るのだそうです。日本にはそれを精確に審査する機関がないのだそうです。つまりみんな身内でなあなあでやっているのですね。不正入学でテストの点に下駄をはかすようなことです。患者は命がかかっているから、わらをもつかむ気持ちで、高額な薬毒薬劇薬をうち続けて、苦しみながら死んでいくというわけです。ただし、血液系の癌である急性白血病や悪性リンパ腫には効果があることははっきり述べています、効果がないのは臓器にできる固形癌、肺がん、胃がん大腸がん、など臓器にできる癌です。誤解を避けるために興味のある方は直接本を読んでください。この本は2011年に発行されております。
この間新しい医学的進展があったのかなかったのかは、知りません。
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