チリチリリン

風にゆれる風鈴のように
こころ休まる音を届けたい

プレスリーはノー

2018年06月09日 | 西城秀樹

 

西城秀樹が好きだったのは歌が上手いからです。デビューしたてのガキンチョの頃から音程はしっかりしていて、ハスキーな声がかすれることがない声量がありました。シャウトしていても音は絶対外さないし、ビート感は天才的でもあり、聞いていて心地よかったです。リズム音痴の私は大いに憧れていました。

自分自身の歌はもちろん、松山千春だって桑田佳祐だって井上陽水だって中島みゆきだって、ヒデキは完璧に自分のものにして歌いこなしました。ヒデキの「いとしのエリー」や「時代」は泣けるほど心が入っています。

さらに言うと、彼より若い世代の歌なら、ヒデキは本人より上手く歌いました。そのヒデキの歌を、追悼とか言いながら下手っぴいな歌手が歌うのは止めていただきたい! 聞いていられません!

 

ただプレスリーに関してだけは、ヒデキにプレスリーは歌ってほしくなかったです。下手なわけではない、でも違う...

ヒデキの前はプレスリーのファンでした。レコードを買ったりできる年齢ではありませんでしたが、学生時代はテレビでいつもプレスリーの映画を流していました。スターが主役のB級映画で歌がふんだんに入っていました。そして「エルビスオンステージ」は何回も観に行きました。

プレスリーのビブラートのきいた甘い歌声や狂気のようなビート感に酔いました。それは誰にも真似できないプレスリーの個性です。正確なリズムを刻む正統派のビート感を持つヒデキが歌うプレスリーは優等生のようなプレスリーで、あの尋常でないビート感だけは表現できないのだと感じました。

プレスリーが消えてしまって、入れ違いのヒデキも消えてしまって...

歌番組も最初の一小節聞いただけでチャンネル変えたくなる歌手ばっかりで...。歌手のプライドにかけて、心揺さぶる歌を聴かせて欲しいです。