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第13章 利子率の一般理論 (利子率は流動性選好とのかねあいで決まる)

2022年05月15日 | 一般理論を読む 改訂版
流動性選好という概念 消費性向とは所得のうちいくらを消費に回すか、その割合である。消費に回さない分はすなわち貯蓄である。その貯蓄のうちいくらを流動性として保持するのか?が流動性選好と呼ばれる。消費性向は変化しにくく、産出量(=雇用量)を決めるのは投資額であった。その投資額は、資本の限界効率を通して、利子率に左右される。流動性選好が高まれば貯蓄は投資に回らず流動性として保持される。資金の余剰と化すの . . . 本文を読む

第14章 古典派の利子率理論 上 (マイナス金利でも借り手が増えない理由)

2022年05月14日 | 一般理論を読む 改訂版
異次元の金融緩和の指導理論 この章では、古典派の利子率理論批判を通して、ケインズ自らの利子率の一般理論を展開している。その批判されている古典派の利子率理論が「異次元の金融緩和」の指導理論である。また一般理論で「唯一のグラフ」が登場することでも有名?である。この章と次の付論を筆者自身は「一般理論」のなかで最も難解だと思う。この章を理解できなければ、マイナス金利でも借り手がいないのは何故か?なぜ貯蓄が . . . 本文を読む

第14章 古典派の利子率理論 下 (資金の需給バランスで利子率は決まらない)

2022年05月14日 | 一般理論を読む 改訂版
人は、なぜ価格によって資金の需給すら均衡すると考えてしまうのか 前項で見た古典派の利子率理論はまさに新古典派・現代正統派の基本的考え方・異次元の金融緩和の理論的根拠そのものである。市中銀行の日銀預金を増やせば利子率が低下し投資に用いられる、と想定する。 ここで「一般理論」唯一のグラフが登場する、ので触れない訳にはいかない。古典派の利子率理論を視覚化したものだ。ケインズがなぜグラフを嫌うのか?グラフ . . . 本文を読む

第14章への付論 マーシャル『経済学原理』、リカード『政治経済学原理』その他に見られる利子率について (経済学におけるコペルニクス的転回)

2022年05月13日 | 一般理論を読む 改訂版
利子をいくら下げても、それだけでは、需要は生まれない マイナス金利の陥穽リカードの利子率理論とは   リカード『政治経済学原理』より引用貨幣に対する利子を規制するのは5パーセント、3パーセント、2パーセントといったイングランド銀行(the Bank)の貸出利率ではなく、利潤率である。利潤率は資本の雇用によって決まり、貨幣量あるいは貨幣価値とはなんの関係ももたない。銀行が100万貸そうが、 . . . 本文を読む

第15章 流動性への心理的誘因と営業的誘因 上 (公開市場操作の提案)

2022年05月12日 | 一般理論を読む 改訂版
 新古典派・現代正統派の利子率理論はどのようなものだったか。資金の需給は利子率という資金の価格によってバランスする(はずである)。つまり不況局面においては投資が減退し資金需要も減退するから利子率は下がる。それもただ下がるだけではなく資金需要が復活するところまで下がるはずである。不況局面において投資は減退するが、利子率の低下によって投資は復活し景気は反転していく。これが新古典派・現代正統派の景気循環 . . . 本文を読む

第15章 流動性への心理的誘因と営業的誘因 下 (流動性の罠)

2022年05月11日 | 一般理論を読む 改訂版
異次元の金融緩和論者がどうしても理解できないこと=利子率操作が無効になるとき ただ、ケインズは利子率の操作だけで完全雇用が達成できるとは考えていない。公開市場操作の限界について指摘している。ここに「流動性の罠」についての言及(347文字)があり、まさに日本の現実である。 先述した理由によって、利子率がある水準まで低下すると、たいていの人々が利子率のきわめて低い債権を保有するよりも現金のほうを選好す . . . 本文を読む

第16章 資本の性質に関するくさぐさの考察 (自由放任では完全雇用を達成できない 資本主義の非営利化という課題)

2022年05月10日 | 一般理論を読む 改訂版
個人の貯蓄打為は言うなれば今日は夕食をとらないと決意することである by ケインズ  本章冒頭の文章だが、この比喩は秀逸だ。明日二回夕食を摂るわけにはいかない。今日摂らなかった夕食の分は永遠に失われた消費である。これはこの二年間のコロナ禍で散々経験したことだ。貯蓄は現在の消費需要を将来の消費需要に振り替えることではない。それはこのような需要を全体として減少させてしまうことなのだ。&nbs . . . 本文を読む

第17章 利子と貨幣の本質的特性 上(人々はなぜこんなに貨幣が好きなのだろう)

2022年05月09日 | 一般理論を読む 改訂版
貨幣利子率が最強になるとき 第4章末尾で指摘しておいた「一般理論の中でも後に詳述されるので、ここではこれ以上触れないが、貨幣が様々な財やサービスの一般的等価物である、ということは一般理論の重要な前提となっている」の解明である。全ての商品にはその商品固有の利子率がある。しかし貨幣利子率だけが資本の限界効率の下限となるのはなぜだろうか?ここから利子率の本質について流動性選好とは違うアプローチから迫って . . . 本文を読む

第17章 利子と貨幣の本質的特性 下 (貨幣はコントロールできるのか?)

2022年05月08日 | 一般理論を読む 改訂版
 表題の問いの正解は「できることもある」である。21世紀にもなって金価格が高騰しているのをみると難しいなあと思う。ケインズもそう思っていたに違いない。この章のここまでの節の結論は面白いので全文掲げる。こうして、貨幣-利子率が上昇しても貨幣の生産量を刺激することはなく(貨幣の生産は完全に非弾力的だと想定されている)、その上昇は生産が弾力的なあらゆる生産物の産出量を抑止する。貨幣-利子率は他のすべての . . . 本文を読む

第18章 雇用の一般理論―再論  上 (ケインズ自身の手になる一般理論の要約)

2022年05月06日 | 一般理論を読む 改訂版
 この本は「雇用・利子および貨幣の一般理論」である。雇用量の決定要因を探るために書かれた。つまり「第18章 雇用の一般理論」とは一般理論そのものであり、この章は、経済体系の操作可能性の探求である。と同時にケインズ自身の手になる一般理論の要約でもある。その要約を紹介する前にケインズ一般理論の「理論」とはどのようなものか自ら語っている部分を紹介する。経済体系の決定因を所与の要因と独立変数との二群に分類 . . . 本文を読む