賃金が下方硬直的であることは、経済体系の安定性のための必須条件である 雇用の一般理論の次に出てくるのは経済の固有安定性の話である。我々の経済が、おおむね安定しているのはなぜか。貨幣よりも銃が幅を利かせ、一般的等価物が白い粉になり、公共インフラはとうに消滅してしまっている。そういう夜警国家ならぬ夜盗国家のような、マッドマックスの世界のような経済もあるにはあるが。なかなかそうはならないのはどうしてだろ . . . 本文を読む
賃金と物価に関係はあるのか??? 第5編 貨幣賃金と物価に入る。 第5編は、労働組合関係者にもっと読まれてしかるべき箇所である。賃金と物価の関係について一般理論は何を主張しているのだろうか。労働組合の言う「所得政策」や「逆所得政策」は理論的に成り立つのだろうか?そもそも問題の立て方が間違っているのだろうか? 実は、賃金と物価はケインズにとって周辺的な問題であった。周辺的というより、あるものの二つの . . . 本文を読む
口絵のように賃金が上がれば物価が上がり、物価が上がれば賃金も上がる。この相関関係に間違いはない。それは有効需要の水準が完全雇用に近づきつつあるか、それを越しているからだ。問題は有効需要なのである。では・・・賃金が下がると価格が下がり消費は刺激されるのか 見出しの裏には、賃金が高いから(商品の価格が高いから)消費が伸びない(景気がよくならない)という考えがある。形を変えて国際競争力が低下するという . . . 本文を読む
第19章は、不況の原因は賃金の下方硬直性にある、といういまだに見聞きする議論への批判であった。不況の原因どころか、賃金の下方硬直性は経済の安定性にとって必須の条件であるいう話だった。では、そもそも失業の原因はどこにあるのだろうか?これまで長々とピグー教授の失業理論を批判してきたが、それはなにも彼が他の古典派経済学者以上に批判を受けてしかるべきだからではなく、彼の試みが、私の知るかぎり、古典派の失 . . . 本文を読む
産出量の弾力性を検討する 心が折れること必定の章である。ケインズすら「代数を好まない(それが当たり前)人は本章の第一節を読み飛ばしても失うところはほとんどないであろう。」などと嫌味なことを言っている。裏では「僕は得意なんだけど…」と言っている。ご安心ください。ケインズの代数部分、数式の展開を、経済学説史上もっとも簡明に文章にしておきました。ただ、簡明な分、失われることもあるので、原文 . . . 本文を読む
雇用関数の非対称性というと分かりにくく、とっつきにくいが・・・要は労働者はX円以下の仕事に就かないことはありうるが、X円以下で働こうとしても仕事があるとは限らない、という立場に置かれている。ということだ。これが最低賃金規制の重要性である。賃金・物価・利潤 の関係は、あくまで需要⇒賃金・物価・利潤である ケインズの所論をまとめると 完全雇用下では労働の追加に対する労働の報酬は高 . . . 本文を読む
貨幣供給はデフレ問題を解決するのか?需要が足りないときに、いくら国債を買い上げて紙幣を供給しても景気は良くならない。問題は需要の水準、貯蓄-投資バランスである 物価は需給バランスで決まる、というのは当たり前のようだが何も言っていないに等しい。 さらに「失業のあるかぎり雇用は貨幣量と同じ割合で変化するが、完全雇用に到達すると、こんどは物価が貨幣量と同じ割合で変化する(命題 Ⅰ)」と主張すると、無意味 . . . 本文を読む
賃金を下げても完全雇用は達成できない消費性向、資本の限界効率、利子率が有効需要の総量を、従って雇用量と賃金総額を決める第五編のケインズの論理展開はわかりにくかった。それは古典派の議論の背景にはこういう「理論」があるだろうと指摘しその理論を、その「理論」そのものによって論駁するそのために古典派理論が成立する前提を吟味し実際の世界では何が起きているかを対置するという面倒な論理展開になっているからである . . . 本文を読む
現代正統派は、効率、競争を好み、浪費、無駄を嫌うが、不完全雇用とは、人間の能力の開花を妨げ労働力をドブに捨てている最大の無駄だとは気づかない労働力商品の特殊性こそ鍵となる―不況の時、操作すべきは貨幣量か?賃金か?貨幣量が事実上固定されているとしたら、賃金単位で測った貨幣量は貨幣賃金を十分切り下げることによってどこまでも増やすことができるのは明白である。しかも所得に対する貨幣の相対量は一般には大きく . . . 本文を読む
原著では以下のようになっておりBOOK Ⅴ(第五編)の次のBOOK Ⅵ (第六編)というのは存在しない。どうでもいいかもしれないが、一般理論の展開はは第五編で終わっているということだ。成し遂げたぜ!Book V: Money-wages and Prices 19. CHANGES IN MONEY-WAGES o PROFESSOR PIGOU'S 'T . . . 本文を読む