昨年、BSハイビジョンで放送された「21世紀仏教への旅」を5夜連続で見た。
仏陀が悟りを開いたインドからブータン、さらに韓国、中国を巡りフランス、アメリカと仏教の教えが世界でどのように浸透し、受け継がれてきたか、他力本願の教えが今の世界に通用するのかなど各国の仏教徒を中心に取材をされた。
私はその時の五木寛之さんの奥深い仏教の知識とこれまでご自分が思索を続けてきた思いをダブらせながら精力的に対話を続けている姿にこそ感動を覚えた。
彼は2度ほど休筆している。
私はおそらく「うつ病」なのだと思っていたが、今日の話ではほぼそんな状態だったらしい。
今日の話の中で「うつ」はエネルギーが低下しているのではない。エネルギーが満ち溢れているけどそれが鬱積した状態なんだと言われる。無気力では無いのだ。
そこからの脱出は、カチカチに固まった心を和らげる為に最初は「よろこびノート」をつけ、次に「悲しみノート」をつけ感情の起伏を呼び起こした。
しきりに「今の時代は鬱の時代」と言われる。
そうかも知れない。経済成長期は躁の時代。
あの頃から比べるとまさに鬱の時代であり、今の時代を生きる人間も隣を見れば「うつ病」
五木さんの作品で言うと「凍河」
そして、憂いを帯びたこの時代を遊行することこそ大事だと話された。
作家でいてまるで「僧」のようによどみなく話されると「そうだ」とうなづかされる。
龍谷大学で学ばれ僧籍ももたれていると聞いたことがある。
「親鸞」を書くに至ったのもこんな思いで「他力で引き寄せられて書けと言われたので書く」と、一年間の連載もあまり「苦」ではない様子。
こんな話を聞くと明日からも又楽しみになった。<o:p></o:p>
80歳近いお年で世界を股に遊行される五木寛之さん、益々持って魅力的だなあ。