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やまゆり園事件

2024年07月28日 23時32分04秒 | 一言
新自由主義転換し人権保障を
 相模原市緑区の知的障害者入所施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った事件から26日で8年がたちました。元職員・植松聖(さとし)死刑囚は犯行の動機について「障害者には生きる価値がない」と主張していました。優生思想を土台にして、障害者への偏見・差別が横行するなかで起きた事件です。

 同様の痛ましい事件を繰り返さないため障害者の尊厳を保障する社会をどうつくっていくのか。向き合い続けなければなりません。

■優生思想と地続き

 優生思想は、社会の役に立たない人間は排除するという考えです。日本では、「優生学」として明治期から教育に取り入れられてきました。日本国憲法のもとでさえ教育課程に組み込まれていました。旧優生保護法が1948年に制定され、96年に廃止されるまで半世紀におよびました。

 旧法は「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことなどを目的としました。その下で、障害者や遺伝性疾患のある人、ハンセン病患者などが不妊手術の対象にされました。

 国は長年にわたり優生思想を社会に広めました。優生手術を積極的に推進させたことで優生思想は社会に浸透していきました。手術の対象とされた障害者らへの偏見・差別はいまもなお深く根をおろしています。

 「立法時点で違憲だった」。強制不妊手術をめぐる裁判で最高裁大法廷は今月、旧法下で国策として優生思想を社会に広げた政府と国会を断罪しました。この判決は障害者に対する偏見・差別をなくす第一歩となるものです。これを受け、岸田文雄首相が原告らと面会し深い謝罪の意を表明したことは、あまりにも遅すぎたとはいえ、当然のことです。

 植松死刑囚は重度障害者を「社会の役に立たない」として犯行に及びました。“生産性”や“効率性”を重視する考え方は、植松死刑囚特有のものではありません。自公政権がすすめてきた新自由主義政策のなかで顕在化しました。競争社会のなかで序列化がすすみ、無意識のうちに優劣が決められていく―。優生思想と地続きになっています。

■社会保障の充実で
 さらに、新自由主義政策による規制緩和や社会保障の切り捨ては、社会福祉分野への営利企業の参入や福祉施策の質の低下を招きました。こうしたなかで起きたのが、愛知県を含め全国で障害者向けのグループホームを経営する企業「恵(めぐみ)」の事件です。施設で提供した食事の材料費を利用者から過大に徴収し、利用者には粗末な食事を出していました。

 岸田文雄首相は、優生思想や障害者への偏見・差別を根絶するとして、対策推進本部の設置を表明しています。優生思想で障害者を差別し、社会から排除しようとする事件は、やまゆり園事件や旧優生保護法にもとづく強制不妊手術、「恵」事件にとどまりません。

 すべての人の人権を保障する社会に向けて新自由主義政策を転換し、国際水準にてらしても低すぎる社会保障費の引き上げこそが急務です。そのうえで、あらゆる人の尊厳を守り、一人の人間として尊重する取り組みが求められます。


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