てんちゃんのビックリ箱

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あいちトリエンナーレ 愛知県芸術文化センター分 感想

2019-08-24 01:20:48 | 美術館・博物館 等
開催概要:愛知県芸術文化センター 他 3カ所
開催日時;2019.08.01~10.14
テーマ:情の時代 (情によって情を飼いならす時代)
新たな芸術の創造・発信により、世界の文化芸術の発展に貢献します。
現代芸術等の普及・教育により、文化芸術の日常生活への浸透を図ります。
文化芸術活動の活発化により、地域の魅力の向上を図ります。

今回の訪問場所;愛知県芸術文化センター
訪問日:2019.08.20



 先日来、あいちトリエンナーレは「表現の不自由展」の展示中止に関わって、大騒ぎになっている。その結果として数人の作家も抗議によって自分の作品展示を中止させた。
 私個人の意見としては、「表現の不自由展」は誰かが自分の芸術的視点によって、自信を持って展示しているならば中止すべきではなく、事前に対策を準備しておくべきだった。しかし、今回プログラム等を見たら誰かがこっそりとはめ込んだことは明らかである。またそれも展示全体を下請けに丸投げしているような状態である。
 たぶん誰かがごまかしをしようとたくらんだのが事件のスタートで、発覚後はだれもが展示に自信がなくておろおろし、日本人は美術を知らなかったということが世界に晒されたようなものだった。

 騒ぎが収まるのを待っていたが一向に収束せず、今後展示中止が拡大する恐れもあるので、慌てて見に行った。

 私自身は、現代美術の展示会に行くのは好きである。なぜ好きかというと、展示を見る人の反応を見るのが好きだからである。また今回の芸術監督の津田大介さんは、その役割にふさわしくないと思っているが、作家を男女の比率各50%としたのは大英断であると思っている。その効果がどのように出てくるのかを興味を持っていた。
 
 愛知県芸術文化センターにあった作品は36点、ここで不自由展はまとめて1点となっている。そのうち展示中止になったのは4点ある。またビデオ作品は9点ある。現代美術は音や映像を使おうとする複合芸術で、かつての美術展などの場所だけではなく、見る人の時間をも音楽や映画のように拘束する。かつては作品への時間が見る人側で選択できたので、そのつもりで行くと面倒臭くなる。まだ外れのほうが多いから、時々時間をかけて付き合ってなあんだと言うことにもなる。

 今回の展示で、印象に残ったものをいくつか下記に示す。



(1)ウーゴ・ロンディノーネ作 「孤独のボキャブラリー」
 大きな空間に45体のピエロが、孤独な人間の24時間に行うふるまいをしているとして配置されている。笑うとか泣くとかもあるのだけれど、総じて悲しそうである。
 この展示がこのトリエンナーレの目玉になっているが、確かにこの空間に来るとドキッとする。作者は個人の48態と言っているが、私は実は全然ちがうもの、ポンペイで灰に埋もれた人達の集団をイメージした。そしてこの間を歩いている時、とても厳粛な気持ちになった。下の写真は、全体を2枚で俯瞰したもの。

 


 でも、個々は確かに生きた人の気持ちを感じる。下にお気に入りの2つの像を示す。

 


 これらの内1体に、今度の騒ぎについてインタビューしてみましょう。

<インタビュー>
 


インタビュー
されても言葉
紡げない
誰が決めるの
芸術ってやつ



(2)今村洋平作「tsurugi」「peak」
 プリントの作家。シルクスクリーンという印刷技術を1万回も積み上げることで、下図に示すような立体構造を作りだしている。作業も展示され、いわば人間3Dプリンティングのよう。でも、作品は作業上の偶然の積み重ねで作られているそうだ。



 壁には普通のシルクスクリーンの作品があったが、それも下図のように数枚を積み重ねて展示されていた。ちょっとカレンダーみたいと思ったので、写真の1番向こうにいる人に、時々一番前に来るのを入れ替えるのかと聞いたら、そんなことはしていないとのこと。


<隠されたけれども、そこにあるもの>



積み重なる
過去の美意識
存在の
上っ面だけを
人は見流す





(3)伊藤ガビン 「モダンファート 創刊号特集 没入感とアートあるいはプロジェクションマッピングへの異常な愛情」

 映像作品。小さな部屋で雑誌のような形で、プロジェクションマッピングの生まれる背景や簡単なテクニック、小品などをマッピングにより紹介している。その紹介内容がわかりやすい。そんなに難しいマッピング技術をやっているわけではないが 狭いところでやっているのでとても臨場感がある。






(4)袁廣鳴(ユェン・グァンミン)作 「日常演習」
 これも短時間で繰り返し写される映像作品。
  台湾では春先に30分の防空演習が実施され、全住民が屋内に退避するとのこと。 ドローンが人気のいない大都市の町並みや高速道路を映してゆく。  一見なんともない風景ですが、大都市で人がいず自動車も動かない風景をずっと見せられると、不気味です。

 
<台湾 ゼロアワー>


 
チヒョウカラ
ソウインタイヒ
カンリョウス
夢見たくない
白い輝き




この人は別に遊園地が爆破されてまた逆回りでもとに戻るという作品も、展示しています。これも面白い。


(5)文谷有佳里 「なにもない風景を眺める」
 従来の絵画芸術にやや近い。しかし違うのは、一部屋ぐるりの壁に絵画のように線画が飾ってあるけれども、それをカバーするウィンドウにも線画が書かれていて、2重構造になっていること。その線が、非常にリズム感があって楽しい。下図なしで、鼻歌のように線が湧き出るそうだけれど、羨ましい




(6)2679 加藤翼
 これも、映像作品。ミュージシャンたちが身体をゴムで縛られた状態で、力を振り絞って楽器を演奏する姿を映像で流している。簡単なフレーズがブツ切れの音になり、合奏のリズムがずれて流れてくる。 悪環境で演奏することの連帯感や達成感を表現しているとのことだが、重力が大きい星での人の動きってこんなものだろうなと思った。また身体障碍者や高齢者の動きの制約というものも考えた。




他にもいくつか紹介したいものもあるが、フリーパスを持って時々通うつもりなので、またの機会にする。ただ女性半分にしたのは、女性の緻密さが感じられて成功なのではと思った。





 


 

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